刑法 予備試験令和5年第12問肢2を考えてみよう

【前回のあらすじ】

前回は,刑法予備試験令和5年第12問肢1を検討することにしました。
次は,肢2です。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあです。

スク東先生:そうですか。寒くなってきましたので,体調管理気を付けましょう。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

刑法予備試験令和5年第12問肢2です。

「2.証人が殊更記憶に反する陳述をした場合、その他の証拠からその陳述内容が真実と認められるのであれば、国の審判作用は害されないから、偽証罪は成立しない。」

正解はどうでしょう。

誤りです。

スク東先生:なんででしょう。

判例があります。(大判大3.4.29〔刑百選Ⅱ-120第8版〕)

スク東先生:なるほど,結論は正しいのですが,それだと意味がわかっていないで,正解を出してしまっております。どのあたりが,問題の所在でしょう。

えっと,条文ではないでしょうか。

スク東先生:そうですね。条文を確認しましょう。

(偽証)
刑法第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは,3月以上10年以下の懲役に処する。

証人は,殊更記憶に反する陳述をしておりますが,その他の証拠からその陳述内容が真実と認められておりますね。したがって,客観的に見て「虚偽の陳述」にあたらないのではないかという問題意識です。

スク東先生:いいですね。ただ,判例は偽証罪の成立を認めております。それは,なぜでしょう。

いや,もしこれで偽証罪にならなかったら,証人は記憶に反したことをいってもいいということになってしまいます。たまたま,あってばいいみたいな話しになってしまいます。

スク東先生:そうですね。偽証罪の保護法益は,国家の司法作用です。裁判において,証人に期待されることは,自己の記憶に基づいて陳述することです。

はい,だから「虚偽の陳述」も,「記憶に反した陳述」と解釈します。したがって,偽証罪が成立することになりますね。

スク東先生:はい,いいでしょう。これで無事検討が終わりました。それでは,今日はこれで終わりにします。この続きは,また来週お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 刑法 パーマリンク

コメントを残す