前回までのあらすじ:
平成29年度第1問肢1「甲が、Vの胸部、腹部及び腰部を殴打したり足蹴りしたりする暴行を加えたところ、それに絶えかねたVは、その場から逃走した際、逃げることに必死の余り、誤って路上に転倒し、縁石に頭部を打ち付けたことによって、くも膜下出血により死亡した。この場合、甲の暴行とVの死亡との間には、因果関係がある。」
について花子さんはスク東先生と検討することになりました。
因果関係を理解するには、危険の現実化をしっかり押さえる必要があります。
前回、そこを途中までやりました、今日はその続きです。
では、はじまり、はじまり。
スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。
スク東先生:ありがとうございます。とになく、淡々とつづけるしかないですね。それでは、早速、先週の続きいきましょう。話覚えてますか?
東:はい、一応。確か、①行為の危険性②介在事情の異常性③介在事情の寄与度を総合的に判断するのが危険の現実化の話でした。
スク東先生:そうでしたね。あと、どんなことしましたっけ。
東:えっと、①③を通して、直接の死因が、本人(本件でいう甲)か、第三者(V)か確認するという話でした。
スク東先生:いいですね。そして、本件では、V自身が誤って路上に転倒した行為が直接の死因であることを確認しました。
東:はい、したがって、③が死の結果に対して影響大です。そこで、甲にVの死の結果を帰責するには①②を慎重に検討すべきという話で、前回終わりました。
スク東先生:そうですね。よく流れ押さえてます。それで、具体的にやってみましたか。
東:まあ、一応。
スク東先生:そうですか、じゃあ聞かせてください。
東:はい、まず①なんですが、甲は、Vの胸部、腹部及び腰部を殴打したり足蹴りしたりする暴行をしており、まずまず危険な行為をしていると思いました。
スク東先生:そうですね。確かに、甲は、直接の原因を作っていないです。ただ、胴体部分を足蹴にしており、その行為で死亡する危険性もありそうですね。
東:はい、そう思いました。その上で、②ですが、耐えかねたVが焦って転倒しております。この行為は、甲が誘発してますね。したがって、甲から見て、異常性は低いように思います。
スク東先生:その認定で大丈夫です。なお、異常性が低いと予見可能性があったというのは、方向性は同じと考えておけばよいしょう。
東:そうですね。結局②を使って、例外的に甲に死の結果を帰責するわけです。したがって、今回は、特別にこの事情があるので甲を処罰するは、不当じゃないということが言いたいわけですから。
スク東先生:よく整理できました。②の異常性の判断ですが、第三者の故意行為が介在していた場合は、高い。過失行為の場合は、低いという方向性で大丈夫でしょう。
スク東先生:その通り!!規範を抑えても使えなければ、間違えてしまいます。この辺りは問題を通して勘所をつかむしかいないですね。ぜひ、演習をやってみください。それでは、ちょうど切りよくいきましたので、本日は、このあたりで終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。
ブログ再始動されたのですね!これから楽しみです。
今回の刑法、因果関係の有無は、当初の身体への直接暴行以外の被害者側の行為による因果の切断がありうる場面なので、もう少し丁寧な因果関係があるかの検討が必要ではないでしょうか。
疑問なのですが、異常性と予見可能性の部分は同じ概念でしょうか?
いいねいいね