刑法 予備試験令和5年第12問肢1を考えてみよう

【前回のあらすじ】

今日から,刑法予備試験令和5年第12問を検討することになりました。
まずは,肢1からです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあです。

スク東先生:そうですか。寒くなってきましたので,体調管理気を付けましょう。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

刑法予備試験令和5年第12問肢1です。

「1.自己が被告人となっている窃盗被告事件につき、知人を教唆して偽証行為を行わせた場合、他人の行為を利用して自ら虚偽を述べたに等しく、被告人が自己の刑事事件につき虚偽を述べても罪にならないから、偽証罪の教唆犯は成立しない。」

正解はどうでしょう。

誤りです。

スク東先生:なんででしょう。

判例があります。大判大3.6.23

スク東先生:なるほどね。ただ,それだと記憶しているだけですね。どのあたりが問題点でしょう。

うーん,被告人は,偽証罪の正犯になりません。だから,共犯にもならないのでは,ということだと思います。

スク東先生:そうですね。条文も確認しましょう。

(偽証)
刑法第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3か月以上10年以下の拘禁刑に処する。

スク東先生:確かに,被告人は証人にはなれません。したがって,偽証罪の正犯にはなりえません。だから,肢のとある通り,「他人の行為を利用して自ら虚偽を述べたに等しく、被告人が自己の刑事事件につき虚偽を述べても罪にならないから、偽証罪の教唆犯は成立しない」のではという問題意識がでますね。

そうですね。ただ,他人を巻き込むのは,問題のように思います。偽証罪の保護法益である国家の司法作用に影響が出るでしょう。

スク東先生:いいですね。被告人が,防御することは当然できますが,他人を巻き込でまでの防御までは認められないと考えるべきです。

はい,だから判例も偽証罪の教唆犯は認めるわけですね。

スク東先生:そう理解できるでしょう。これで無事検討が終わりました。今日はこれで終わりにします。この続きは,また来週お楽しみに。



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