刑法・条文から論点を考えよう(名誉毀損罪を例にして)

【前回のあらすじ】

刑法の論点を前回は考えました。争点をだすために、論点が大事。
そして、条文から論点を意識することが基本だという話をしました。
今日は、具体例を入れて説明しますよ。

では、はじまり、はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

普通ですね。

スク東先生:ふーん、まあ、何事もないのが一番ですかね。じゃあ、早速、前回の続きで条文から論点を出すことを少しやってみましょう。

考えている

よろしくお願いします。

スク東先生:では、この条文で確認やっていきましょう。

(名誉毀損)
第230条
1.公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2.(略)

東花子さん

なるほど、名誉毀損罪ですね。

スク東先生:そうですね。では、この条文にある「人の名誉」の「人」に法人は含まれますか。

東花子さん

そうですね。含まれるようです(大判大15.3.24、最決昭58.11.1)

スク東先生:はい、あってますね。それでは、どのあたりがポイントなりますか。

東花子さん

条文の文言ですね。普通「人」っていったら自然人を指すと思います。今回は、比較的、分かりやすいですね。

スク東先生:よかったです。いきなり難しいことやると大変なのですからね。ただ、細かな内容ではなく論理の筋を追っていきましょう。この基本パターンは結構使えますよ。
では、なぜ230条1項の「人」は、自然人ではないのでしょう。

花子さん

えっと、法人が人に当たらないとすると、単純に法人の名誉毀損行為を刑法上、処罰できなくなるからです。

スク東先生:そうですね。確かに法人は、個人よりは強そうです。ただ、それでも名誉が害されるとブランドイメージが壊れますね。

東花子さん

はい、そうなると影響が大きいので、刑罰を使って抑止する必要がありそうです。

スク東先生:いいですね、あとはどう説明すればいいですか。

考えている

230条1項の保護法益は外部的名誉です。そこで、法人も法が作った「人」といえるのでこれにあたるといえばいいと思います。

スク東先生:そうですね。説明の仕方は、いろいろあるでしょうが、大事なことは保護法益を出すことです。

東花子さん

はい、法益を守るために構成要件があるので、その流れにしたがって、拡大解釈します。

スク東先生:おおいいですね。刑法の文言解釈は、罪刑法定主義があるので、拡大解釈です。類推はできないので気を付けましょう。

東花子さん

なるほど、あくまでも、条文から、なんとか読もうと思ったら読める感じを出すのがポイントですね。

スク東先生:はい、条文の文言をすごく意識しているのが出せると、よい印象を読み手に与えられるでしょう。

考えている

ありがとうございます。何事も基本が大事ですね。

スク東先生:そうですね。勉強しようと条文から離れて、知っていることを書いてしまう傾向になります。そうならないように、ぜひ気を付けましょう。

では、今日はこんなところで終わりします。それでは、この続きは、また来週お楽しみに。

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刑法・論点を考える(そもそもな話)

【前回のあらすじ】

前回は、モチベーションを上げるためにちょっと雑談をしました。
今日から、また、勉強のこと少しずつ再開するようですよ。
では、はじまり、はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

まあ、まあですね。

スク東先生:なるほどね、波がないのが一番ですからね。平常心で淡々とやっていきましょう。
早速ですが、今日は、論点のことについて、ちょっと話していきましょう。

考えている

そうですか、わかりました。

スク東先生:では、大前提ですが、そもそも、なぜ論点が大事なんでしょう。

花子さん

えっ。・・・・、すいません。当たり前になりすぎて考えたことなかったです。

スク東先生:そうですか、意味もわかってないのに、論点落としたとか言っている場合じゃありませんね。じゃあ、少しヒント、実際の裁判ってどうなってます?

東花子さん

うーん

スク東先生:いやいや、そんなに難しく考えないで・・・。ほら、裁判って当事者対立構造になってますでしょ。

東花子さん

そうですね。なるほど、わかりました。結局、当事者が互いに自分の有利な主張をして、議論がぶつかる点が、いわゆる論点になんだ。

スク東先生:そうそう、この争点を解かないと問題解決できない。だから、論点が大事なんですよ。

花子さん

ふーん、ポイントわかりました。

スク東先生:よかった。じゃあ、次に、実際の論点を作るには、どこをまず意識すべきでしょう。

東花子さん

なるほど、これはわかります。条文ですね。

スク東先生:おお、その通り!もちろん判例の射程など、争点をだす方法は他にもありますが、とやかく他に行く前に、まず基本を押さえたいです。なんでわかったんですか。

考えている

だって、よく話しているじゃないですか。

スク東先生:そうですかね・・・。まあ、よかったです。変な勉強をすると、教科書の言葉に引っ張られて条文をあまり見ない傾向になるので気を付けましょう。

東花子さん

なるほど、わかりました。

スク東先生:はい、絶対この点は押さえましょう。じゃあ、次にこの後、実際の具体例どうなんだとなりそうですが、今日はこの辺りで締めたいと思います。

東花子さん

ふーん、なんか残念。

スク東先生:はい、まあ一気にあれやこれやと話すと、結局、よくわからなくなってしまいますから・・・。
次回は、簡単な具体例で今日の話を詰めていきたいと思います。それでは、また来週お楽しみに。

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勉強のモチベーションを上げた方へ、環境を変えてみよう

【前回のあらすじ】

刑法の各論問題(平成22年第13問肢4)を前回まで検討しました。
今日は、何か少し別のことやるようですよ。
では,はじまり,はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

うーん、少し中だるみしている感じですね。

スク東先生:なるほど、それわかります。暑い上に、本番も終わって発表待ちの状態ですからね。

考えている

そうなんです。そわそわしちゃって、どうも集中できなくて・・・。

スク東先生:うーん、そうしたら、どうやってらやる気がでてくるかを少しご紹介しますかね。

東花子さん

はい、お願いします。

スク東先生:いろいろ、方法はあるでしょうが、環境を変えてみるのはどうでしょう。

東花子さん

なるほど、どういうことででしょう?

スク東先生:いやー、黙々とやれればいいのですが、それをやろうとすると、もろもろのことが気になっちゃうわけでしょ。
そうしたら、嫌でも勉強できる環境に置くのどうかなという提案ですよ。

東花子さん

ふーん、確かに運動するときにジムいったりする人いますもんね。

スク東先生:そうそう。勉強する環境は大事ですね。

花子さん

それで、スク東先生は、何かがいいたいんでしょう。

スク東先生:なるほど、笑顔でそんなこと言ってくるなんて、東さんも人が悪いですね。いやー、今更なんですが、受験生にモチベーションを上げてもらうために、いろいろイベントなっているんですよ。

考えている

なるほど、スク東無料勉強会ですね。

スク東先生:はい、そうです。9月27日にスク東メソッド(応用編)をやります。参加は無料です。

東花子さん

へぇ、そうなんだ。でも、応用編って難しそう。大丈夫かな?

スク東先生:いやー、別に応用といっても、特別難しいことをやるのではなく、実践的なアプローチをご紹介したいと思っております。実は、8月にスク東メソッド(基本編)をやったのですが、そこを知らなくてもついていける内容なので心配しないでくださいね。

東花子さん

なるほど、普段やっているスク東フォローゼミや、このブログでやっているエッセンスをやる感じですかね。

スク東先生:まあ、そうですね。もし、東さんも、環境を変えて刺激がほしかったら来てくださいね。

花子さん

わかりました。ぜひ、行きたいと思います。

スク東先生:そうですか。ぜひ、無料なので、来てみてくださいね。また、少し紹介に上がったスク東フォローゼミも無料体験受講やってます。もし興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

はい、それでは、今日も時間となりましたので終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑法各論・法益の大枠から考える(22ー13を題材にして 第4回)

【前回のあらすじ】

「平成22年第13問肢4 共同親権者の1人が、他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪は成立し得ない。」を検討することになりました。
結論は、誤ってますのはいいのですが、検討する上で、争点を意識したいという話になりました。
何か、争点をコツみたいのがあるのですかと話になって、一緒に考えてみることになりました。
では,はじまり,はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

まあ、ぼちぼちですね。

スク東先生:そうですか。ボチボチなんて、頑張っているじゃないですか。結構、暑くて疲れている話よく聞きます。
とにかく、体調管理しながら、この暑い夏を乗り越えましょう。では、前回の問題を載せておきますね。

例 平成22年 第13問
4 共同親権者の1人が、他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪は成立し得ない。

スク東先生:結局、裁判は、当事者の対立構造なので、争点を意識することが大事という話をしましたね。

考えている

はい。だから、一見考えられる、別の筋を出すのがポイントでした。

スク東先生:いいじゃないですか、それでコツがあるという話をしていたのですが、考えてみましたか。

東花子さん

えっと、一応やってみたのですが、よくわかりませんでした。

スク東先生:なるほど、そうでしたか。では、一緒に考えていきましょう。結局、このような問題の場合、法益侵害の「程度」が極めて小さいので、謙抑性の観点から犯罪が成立しないのではと、すればいいわけです。

東花子さん

うーん、どういった意味でしょう?

スク東先生:いやー単純な話で、素直に条文読んだら構成要件に該当するわけです。しかし、今回の特殊事情において犯罪を成立させるのは、いきすぎなのでとするわけです。

(未成年者略取及び誘拐)
第224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

東花子さん

なるほど、条文にあたるから犯罪が成立するでは、話が終わりですからね。世の中に完全の物は存在しないので、本件の場合は適用を予定していないみたいなことをいうわけですね。

スク東先生:そういうことです。実際、この考え方は、可罰的違法性で採用されてます。例えば、「他人のティッシュ1枚、盗んだ」という場合、235条の構成要件に形式的には該当しますが、謙抑性から窃盗罪は成立しません。

東花子さん

そうか、実際にあるわけですね。

スク東先生:はい、だから、この考え方を拝借して、本件でも使えないかという話がでるわけです。

東花子さん

なるほど、ありえそうなことを言わないとダメですね。

スク東先生:そういうこと。まあ、この考え方は、いろいろなところで応用できるので、ぜひ使ってみましょう。ただ、実際は、原則通り犯罪を成立させてしまってます。これはどう理解しますか。

東花子さん

結局、今回の特殊事情でも、可罰性ある。すなわち、法益侵害のそのものはあるということしょうか。

スク東先生:いいですね。法益侵害の「有無」からみれは「有」るいえるので犯罪が成立すると説明します。構成要件は、そもそも違法有責「類型」なので、細かい事情は拾わないんですよ。

東花子さん

確かに、個別具体的な事情は、類型判断にはなじまないですものね。

スク東先生:はい実際、こういった事情は、法益侵害の「程度」ということで、違法性、責任の強弱に影響することになります。
そこで、犯罪の成否ではなくて、量刑の判断で考慮するわけですよ。

花子さん

なるほど、よくわかりました。

スク東先生:はい、この区別はとても重要なのでしっかり押さえましょう。ただ、例外として法益侵害の「程度」が極めて小さいと、「無」にほぼ等しいとして、構成要件レベルで考慮しうることも押さえましょう。

東花子さん

そこを理解しないと、今回の意味がわかりませんからね。

スク東先生:そういうことです。刑法の体系的理解をしっかり、この機会に抑えるようにしてください。
はい、それでは、今日も時間となりましたので終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑法各論・法益の大枠から考える(22ー13を題材にして 第3回)

【前回のあらすじ】

「平成22年第13問肢4 共同親権者の1人が、他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪は成立し得ない。」を検討することになりました。
家庭内でも、いろいろな事情があるので、一切、犯罪が成立しないとするのはまずいという事情を確認しました。今日は、そこを法的に考えていくことにします。
では,はじまり,はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

まあ、大丈夫ですが、暑いですね。

スク東先生:そうですね。とにかく、体調を崩さないように気を付けて過ごしましょう。早速、本題いきましょう。この問題ですね。

例 平成22年 第13問
4 共同親権者の1人が、他の共同親権者の監護下にある未成年の子を略取する行為については、未成年者略取罪は成立し得ない。

前回は、家庭内であっても、常に犯罪が成立しないのは、まずいのではということを確認しました。
そして、そこを法的に考えるのが宿題でしたね。やってみましたか。

考えている

はい、一応。結局、この場合も、未成年者略取罪の保護法益が害されうる。そして、条文の要件にもあたると説明すればいいと思いました。

スク東先生:なるほど、いいですね。条文も確認しましょう。

(未成年者略取及び誘拐)
第224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

未成年者略取罪の保護法益は、なんでしょう。

東花子さん

未成年者の自由及び親権者の監護権です。

スク東先生:OKです。今回の共同親権者の1人は、他の共同親権者の監護下にある子を略取しているわけだから、相手方の監護権(法益)を侵害しているといえますね。

考えている

はい、そして特に条文も「略取した者」としか書いていないので、共同親権者の1人もこれにあたるとすればよいと思います。

スク東先生:おおいいですね。特に刑法には、罪刑法定主義がありますので、条文の要件はしっかり意識したいですね。

東花子さん

わかりました。でも先生、今回の場合、なんか普通に224条構成要件に該当するように思えるんですけど、いままでの問題意識をとうやって紙面などで示すんでしょう?

スク東先生:いい質問ですね。簡単に説明すると、以下の流れで整理できるでしょう。

共同親権者の一人でも、224条の構成要件に文理上、該当する。したがって、成立されるべき。(原則)

ただ、家庭内の事情、謙抑主義。この場合に犯罪成立は行き過ぎでは(一見の不都合性・問題意識)

しかし、一切、犯罪が成立しないと法益保護の目的が達成できず問題(反対利益からの問題意識)

そこで、法益保護を図るため、文理通り成立。条文も、あらゆるものも含むとする趣旨。(許容性、原則に合わせて解釈)

東花子さん

なるほど、一見の不都合性ということで、問題意識をぶつければいいわけですね。

スク東先生:はい、実際、刑事裁判は、検察官と被告人で当事者が対立構造になってます。したがって、何かしら争点をだして、ぶつける感じを出しましょう。

考えている

わかりました。ただ、やみくもに争点をぶつけても、方向性を間違えてしまいそうです。何か、コツみたいのがあるんですか。

スク東先生:いい質問ですね。まあ、この続きもどんどん行きたいのですが、少し議論が複雑になるので、この辺りで終わりにしましょう。
では、今日も時間となりましたので終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。

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