予備試験29年1問(民法)肢イを検討する 第5回 事案を正確に把握しよう(民法5条3項を題材にして) その1

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年1問(民法)肢イを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第1問【司法試験29年1問】(民法)肢「イ.Aの親権者が,新聞配達のアルバイトによりAが得る金銭の処分をAに許していた場合において,Aがそのアルバイトによって得た金銭で自転車を購入したときは,Aがその売買契約を締結する際に親権者の同意を得ていないときであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。」を検討していきましょう。なお,前提条件として,Aが19歳で,親権に服する男性です。

この肢は,正しいですか,間違ってますか。

東花子さん

正しいですね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

条文にあったように思います。

そうですね。確認してみましょう。

(未成年者の法律行為)
第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3.第1項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(取消権者)
第120条
1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2.(略)

なるほど,どれでしょう。

花子さん

5条3項が適用できる場面だと思います。

そうでしょうね。「Aの親権者が,新聞配達のアルバイトによりAが得る金銭の処分をAに許していた場合」というのが,「処分を許した財産」なんでしょう。したがって,5条3項が適用できそうです。

考えている

はい,そう思います。

結論は,そうなのですが,なぜ,5条3項が規定されているのでしょうかね。

東花子さん

うーん,せっかくアルバイトして,お金をためて欲しいものを買ったのに,親権者の同意がないことを理由に,後で取消される可能性が残るなんて,私だったらグレちゃうな。もし,取消されたら,せっかく買ったものが無くなっちゃうじゃないですか。

確かに,そうです。東さんのご指摘の通り,仮に,取消しができると一般に未成年者のモチベーションも下がりそうです。ですので,未成年者の意思も尊重して取消権を発生させいないようにする必要がある。まあ,一般論としては,間違ってはいないのでしょうが・・・。

東花子さん

おかしいですか。

あれ,気付きません?その解答だと,当該問題の解答としては,間違ってますよ。どうしてか,わかります。

東花子さん

あれ,わかりません。おかしいなぁ。

なるほど,それでは,考えてもらいましょう。ヒントは,事案を注意深く読んでみてください。そうすると,間違いに気付けると思いますよ。では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験29年1問(民法)肢アを検討する 第4回 取消権者を考える(民法120条1項)

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年1問(民法)肢「ア.Aがその親権者から営業を行うことを許可された後に親権者の同意を得ずに売買契約を締結した場合には,その売買契約がその営業に関しないものであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。」を検討することになりました。なお,前提条件として,Aが19歳で,親権に服する男性です。

取消権について,確認が終わりました。本日は,取消権者について確認していきます。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,続きをやっていきましょう。
条文も一応,載せておきますね。

(未成年者の法律行為)
第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3.(略)

(未成年者の営業の許可)
第6条
1.一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2.(略)

(取消権者)
第120条
1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2.(略)

今日は,取消権者に,なぜ,本人も入るかという問題ですね。

考えている

はい,相手方からすれば,自分で法律行為をやって取消すのは,矛盾のように映るからですね。

そうですね。もちろん,120条1項で明らかに,「制限行為能力者」も入っているのですが,どうしてでしょうか。

東花子さん

確かに,法定代理人や同意権者も取消権を行使できるので,それで足りるように思いますが,手続上迂遠ということでしょうか。

まあ,それで大丈夫でしょう。あと,制限行為能力者にも取消権を認めた方が,制限行為能力者の保護という法目的が達成されるのでしょうね。ただ・・・。

東花子さん

あれ,どうかされましたか?

相手方への配慮も触れときたいです。民法は,制限行為能力者の相手方保護についても規定していますが,わかりますか。

花子さん

21条でしょうか。

あれ,あってます。良く勉強します。どうして分かったのですか。

東花子さん

いや,質問を予想して準備していました。

そうですか。それは,非常にいいことです。本番でも,過去問の知識を前提に一歩先(半歩先)のことが聞かれます。実は今回,取消権者に触れている意味も,そこにあるのですが,事前の準備がとても大事です。条文も確認してみましょう。

(制限能力者の詐術)
第21条
制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。

取消権を制限しているのが,相手方への配慮ですね。なお,「詐術」は,少なくとも他の言動と相まって,相手方を誤信させることが必要と解されてます。
黙秘では詐術に当たりません(最判昭44.2.13)。

東花子さん

確かに,黙っているだけで「詐術」に当たるとしたら,大半が取消せなくなり,逆に制限行為能力者の保護が図れず問題ですね。

はい,その通りです。判例を押さえる際にも,なぜそのような結論を取っているかを理解することが大事です。意味を押さえないと,すぐに忘れてしまうので気を付けましょう。

東花子さん

わかりました。ありがとうございます。

はい,短答を勉強する時も単純に正誤の確認ではなくキチンと理解したいですね。こんな感じでしっかり押さえていきましょう。では,今日はこれで終わりにしたいと思います。この続きは,また明日お楽しみに。



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予備試験29年1問(民法)肢アを検討する 第3回 取消権を考える(民法5条1項・6項1項) その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年1問(民法)肢「ア.Aがその親権者から営業を行うことを許可された後に親権者の同意を得ずに売買契約を締結した場合には,その売買契約がその営業に関しないものであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。」を検討することになりました。
なお,前提条件として,Aが19歳で,親権に服する男性です。
条文を見れば,答えが誤っていると分かるのですが,条文の意味を丁寧に確認することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,続きをやっていきましょう。
昨日,上げた条文も載せておきます。

(未成年者の法律行為)
第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3.(略)

(未成年者の営業の許可)
第6条
1.一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2.(略)

(取消権者)
第120条
1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2.(略)

6条1項で,「その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」としてある意味はわかりましたか。

考えている

うーん。イメージして来たのですが,営業上の取引は,迅速性が要求されます。あとは,数が多そうですね。

そうですね,続けてください。

東花子さん

はい,したがって,つど,法定代理人の同意を必要とすると,手続が煩雑になって,取引の迅速性が害されるのではないでしょうか。

そうですね。相手も意思決定が遅くなると,未成年者と取引をしずらくなります。そうすると,未成年者の営業も制限されてしまいますね。
この辺りをうけて,「その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」となっています。

東花子さん

はい,ですので,営業に関係ないものは,5条1項で処理します。

その通りです。迅速性などは関係ないですからね。大丈夫です。今のように,キチンと理解していれば,瞬時に判断できますね。
単純に覚えようとすると,すぐに分からなくなるので,気を付けましょう。

東花子さん

わかりました。取引も,必要なものはできなければいけませんので・・・。

その通りです。制限行為能力者の制度は,一般に取引から制限行為能力者を保護するためにあると考えられます。ただ,勘違いしてはいけないのは「取引」そのものが悪ということではありません。「取引」は,社会にとって必要です。
もっとも,不当な取引もあるので,その危険から制限行為能力者を保護するとイメージください。

考えている

なるほど,そうすると,必要な取引は,できる限り,自由にさせろという発想につながります。

まあ,そうですね。このことは,生活の中でも感覚的に分かると思います。これを勉強しようとすると,正直かなりきつくなると思いますので,気を付けましょう。取消権の話は,こんな所で良いでしょうね。明日は,東さんが昨日触れた取消権者の話も触れて見ましょう。

東花子さん

わかりました。今回,取消ができるとして,Aが自分で取消せるのはなぜ?という話ですね。

はい,そうです。しっかり,その点も理解しましょう。では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験29年1問(民法)肢アを検討する 第2回 取消権を考える(民法5条1項・6項1項)

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年1問(民法)肢アを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第1問【司法試験29年1問】(民法)肢「ア.Aがその親権者から営業を行うことを許可された後に親権者の同意を得ずに売買契約を締結した場合には,その売買契約がその営業に関しないものであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。」を検討していきます。なお,前提条件として,Aが19歳で,親権に服する男性です。

方針をいろいろ考えて見たのですが,とりあえず,1肢ずつ丁寧に検討しようと思ってます。

考えている

わかりました。

では,この肢は,どうですか。

東花子さん

誤ってます。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

たしか,条文から判断できるように思います。

そうですね。確認してみましょう。

(未成年者の法律行為)
第5条
1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3.(略)

(未成年者の営業の許可)
第6条
1.一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2.(略)

(取消権者)
第120条
1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2.(略)

確かに,6条1項に,「その営業に関しては」とあります。本件の場合は,営業に関していないものですので,5条1項,2項により同意がなければ,取消すことができますね。

東花子さん

そうですね。あと,120条1項も上がってますが,法律行為を行った未成年者Aが自分で取消できますね。

まあ,相手方からすると,矛盾に見えます。
ただ,「取消権者」の話をすると,議論が錯綜するので,「取消権」の後に触れていきましょう。

考えている

わかりました。

では,5条1項で未成年者(制限行為能力者)を保護するため法定代理人の同意を必要とするのは,良いとして,なぜ,6条1項があるのでしょうか。

東花子さん

うーん,営業に,法定代理人の同意を必要とすると問題だからではないでしょうか。

そうですね。抽象的には,合ってますが,実際,どのような問題が想定されますか。

東花子さん

あれ,どうでしょう。さらっと流してしまってました。

なるほど,そこは,イメージしておかないといけませんね。
まあ,一気に説明しても良いのですが,今回は,新シリーズの最初なので,少し考えてもらいましょう。

考えている

わかりました。

頑張ってください。改めて,申し上げますが,丁寧に理解することで,正確に解答ができるようになります。
何となく分かっていても高得点には結びつきません。腰を据えてやっていきましょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験29年1問(民法)を検討する 第1回 導入編

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こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年第1問【司法試験29年1問】の検討を終えました。今日からは,予備試験28年13問(民法)を検討していきます。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。調子はどうですか。

考えている

今日から,29年を検討するので気合入ってます。

そうですか,まあ長丁場なので,淡々と検討していきましょう。

早速,今日からは,予備試験29年第1問【司法試験29年1問】(民法)です。では,問題はこちら

予備試験29年第1問【司法試験29年1問】(民法)
Aが19歳で,親権に服する男性であることを前提として,次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

  • ア.Aがその親権者から営業を行うことを許可された後に親権者の同意を得ずに売買契約を締結した場合には,その売買契約がその営業に関しないものであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。
  • イ.Aの親権者が,新聞配達のアルバイトによりAが得る金銭の処分をAに許していた場合において,Aがそのアルバイトによって得た金銭で自転車を購入したときは,Aがその売買契約を締結する際に親権者の同意を得ていないときであっても,Aは,その売買契約を取り消すことができない。
  • ウ.Aがその親権者の同意を得ずにAB間に生まれた子を認知した場合であっても,Aは,その認知を取り消すことができない。
  • エ.Aが精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合でも,Aが成年に達するまでは,家庭裁判所は,Aについて後見開始の審判をすることができない。
  • オ.Aが相続によって得た財産から100万円をBに贈与する旨の契約を書面によらずに締結した場合において,書面によらない贈与であることを理由にAがその贈与を撤回したときでも,Aが贈与の撤回について親権者の同意を得ていなかったときは,Aは,贈与の撤回を取り消すことができる。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

東花子さん

うーん。なるほど,未成年者Aに関する問題ですね。

はい,そうですね。しっかり,確認していきましょう。
では,早速,肢アから検討しようと思ったのですが,時間がかかりそうなので,ここまでといたします。
それでは,また,明日。お楽しみに。



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