刑事訴訟法・令和2年第15問肢イを考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑事訴訟法の令和2年第15問肢アが終了したので、肢イを検討することになりました。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

東花子さん

まあまあですね。

スク東先生:なるほど、そうですか。早速、前回の続きいってみましょう。問題はこちら。

〔予備試験令和2年15問〕
GPS捜査(車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付け,情報機器でその位置情報を検索し,画面表示を読み取って当該車両の所在と移動状況を把握する刑事手続上の捜査)に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。

イ.GPS捜査は,その実施に当たり,処分を受ける者の反対意思が現実に表明されているわけではないため,個人の意思を制圧することはなく,任意処分として行うことができる。

(ア、ウ以下省略)

どうでしょう。

考えている

誤ってます。

スク東先生:そうですね、結論は大丈夫です。どう考えていきましょう。

東花子さん

やはり、前回と同様、強制処分の定義でしょう。「個人の意思を制圧して、身体、住居、財産などに制約を加えて、強制的に捜査目的と実現する行為など、特別の規定がなければ許容することが相当でない手段」です。

スク東先生:そうですね。問題肢にもありますが、「個人の意思を制圧することはなく」というのは、強制処分の定義をうけての指摘とわかります。

東花子さん

はい、その上で設置が密かに行われるので、「処分を受ける者の反対意思が現実に表明されているわけではない」という話がくるわけですね。

スク東先生:おお、なんか調子いいですね。

花子さん

はい、っていうか、前回このあたりを少し触れましたよね。

スク東先生:そうでした。その上で、プライバシー権への制約の程度が大きいので、強制処分にする必要があることを確認しました。

東花子さん

そうです。そこで、合理的に推認される個人の意思に反するとして強制処分だということで前回、落ち着いたはずです。詳細はこちら

スク東先生:その通り、よく復習できてます。そこがわかると、任意処分としている肢イが誤りだと判断できますね。

花子さん

はい、やはり定義を使って理解することポイントだと思いました。

スク東先生:そうですね。基本を大事に勉強しましょう。
それでは、今日も時間となりましたので終わりします。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑事訴訟法・令和2年第15問肢アを考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑事訴訟法の令和2年第15問を検討することになりました。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

東花子さん

まあまあですね。

スク東先生:なるほど、そうですか。早速、前回の続きいってみましょう。問題はこちら。

〔予備試験令和2年15問〕
GPS捜査(車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付け,情報機器でその位置情報を検索し,画面表示を読み取って当該車両の所在と移動状況を把握する刑事手続上の捜査)に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
ア.GPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって行われるため,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法といえ,刑事訴訟法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制処分に当たる。
(イ以下省略)

どうでしょうか。

考えている

正しいですね。

スク東先生:そうですね、結論は大丈夫です。どう考えていきましょうか。

東花子さん

まず、強制処分の定義ですね。「個人の意思を制圧して、身体、住居、財産などに制約を加えて、強制的に捜査目的と実現する行為など、特別の規定がなければ許容することが相当でない手段」です。

スク東先生:なるほど、よく勉強されてます。ざっくり、個人の意思を制圧(反)する、あとは重要な権利に制約を加えて捜査目的を実現する行為としておけばいいでしょう。本件の場合は、どうでしょう。

東花子さん

密かに装着しているので個人の意思には影響を与えていないような気もします。

スク東先生:そうですね。ただ、GPSによって、取り付けられた者は移動情報がとられてしまいます。プライバシー権に関わる制約が大きそうです。

花子さん

なるほど、令状なしできると、人権侵害の危険がありそうです。

スク東先生:その通り、実際に肢にもありますが「個人のプライバシーの侵害を可能とする機器」といってます。そう考えると、令状なしでGPS捜査を行えないようにする必要がありそうです。

東花子さん

うーん。判例を(最大判平29.3.15)を勉強する際にも、なぜを考える必要があると思いました。

スク東先生:はい、判旨を読んですぐに押さえられれば苦労はありません。どうして、そう判断したのかを自分なりに組み立てることは、記憶に残すうえで大事ですね。

東花子さん

そこで、判例は肢の通り、合理的に推認される個人の意思に反するとして強制処分だとしてます。

スク東先生:わざわざ、意思のことを指摘しているのも強制処分と定義を受けてでしょう。定義の理解は大事です。

花子さん

はい、利益状況を踏まえた上で、定義を使って調整するのがポイントだと思いました。

スク東先生:いいですね。判例を読む際にも、ただ確認するのではなく、定義なども踏まえて勉強しましょう。そうすれば、この肢は正しいと判断できますね。
それでは、今日も時間となりましたので終わりします。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑事訴訟法・令和2年第15問を考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑法の令和2年第2問を検討しました。次は、何をやるのでしょうか。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

東花子さん

まあ、普通ですね。

スク東先生:なるほど、そうですか。新年度も始まり、少し暖かくなってきましたが、体調管理を気を付けていきましょう。では、今日は、予備令和2年15問を検討しましょう。

〔予備試験令和2年15問〕
GPS捜査(車両に使用者らの承諾なく秘かにGPS端末を取り付け,情報機器でその位置情報を検索し,画面表示を読み取って当該車両の所在と移動状況を把握する刑事手続上の捜査)に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。(解答欄は,[№8])
ア.GPS捜査は,個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって行われるため,合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法といえ,刑事訴訟法上,特別の根拠規定がなければ許容されない強制処分に当たる。
イ.GPS捜査は,その実施に当たり,処分を受ける者の反対意思が現実に表明されているわけではないため,個人の意思を制圧することはなく,任意処分として行うことができる。
ウ.GPS捜査によって生じる個人のプライバシーの侵害とは,GPS端末を秘かに装着した車両の位置情報を,継続的,網羅的に取得し,これを蓄積,分析することにより,その車両を使用する者の交友関係をはじめとする私生活上の情報全般を把握することをいい,一定期間にわたり車両の位置情報が取得された後初めてそのGPS捜査は強制処分と評価される。
エ.GPS捜査は,その実施に当たり,被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制する必要があるが,刑事訴訟法上,検証は10日を超えて実施できないとの規定があるため,検証許可状を取得すればこれを行うことができる。
オ.GPS捜査は,被疑者らに知られずに秘かに行うのでなければ意味がなく,処分を受ける者に対して事前の令状呈示を行うことは想定できないが,刑事訴訟法は,令状により行われる各強制処分について,令状を示すことができない場合に備え,処分の終了後遅滞なく,処分を受けた者に処分実施の事実を通知する手続を規定しているため,適正手続の保障という観点から問題が生じることはない。
1.0個 2.1個 3.2個 4.3個 5.4個 6.5個

考えている

あれっ!!

スク東先生:えっ、どうかしたんですか?

東花子さん

いやいや、刑法の問題を司法令和2年第1問、令和2年第2問としていたから、次は第3問とばかり思っていました。

スク東先生:そうですよね。ちょっと、びっくりしましたか。実は、スク東の勉強会を毎月やっているんですが、そこで取り上げた問題を今回、取り上げたんですよ。

東花子さん

へえ、そうなんですね。

スク東先生:いやぁ、東さん勉強会来てたでしょう。ちなみに、次回は、4月25日で民事訴訟法をやります。詳細はこちら

花子さん

なるほど、ありがとうございます。。

スク東先生:ということで、早速検討していこうと思うのですが・・・。

東花子さん

わかりました。今回、予告したので次回まで整理するようにということですね。

スク東先生:そういうことです。少し感が良くなりましたね。ということ、今日は、前振りということにしましょう。それは、この辺りでということ致しましょう。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑法・令和2年第2問肢5を考えてみよう  その1

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第2問肢4を検討しました。次は、肢5を考えていきましょう。

それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうです。

考えている

普通です。

スク東先生:なるほど、そうですか。淡々とやるしかないですね。
では、前回の続きをやっていきましょう。問題はこちら。

〔司法試験令和2第2問・予備試験令和2年8問〕
5.甲は,自己が所有し,その旨登記されている土地を乙に売却し,その代金を受領したにもかかわらず,乙への移転登記が完了する前に,同土地に自己を債務者とし丙を抵当権者とする抵当権を設定し,その登記が完了した。この場合,同抵当権が実行されることなく,後日,その登記が抹消されたとしても,甲には,横領罪が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:これは、どうでしょう?

東花子さん

えっと、横領罪が成立します。よって、正しいです。

スク東先生:いいですね。どのあたりが、ポイントでしょうか。

東花子さん

そうですね。甲は、乙に売却した後に乙に登記を移転することなく、勝手に、丙のために抵当権をつけてます。この辺りでしょうか。

スク東先生:いやいや、そこは、自己の占有する他人の物(本件でいう乙に所有権が移った不動産)に対して、委託信任関係に背いて所有者でなければできない行為(抵当権設定)をしているわけだから、横領罪にあたるとはずです。

花子さん

なるほど、失礼しました。「同抵当権が実行されることなく,後日,その登記が抹消されたとしても」とあります。こっちですね。

スク東先生:そうですね。本肢における特殊事情になります。ここに触れないと、問いに答えたとならないでしょう。では、この事情をどう考えていきますか?

東花子さん

そうですね。結局、損害は発生していません。これでも犯罪が成立するのは、自由保障との関係で行き過ぎではということでしょうか?

スク東先生:いいですね。最終的に横領を成立されるとしても、特殊事情に対しては、それっぽいことをぶつけてたいですね。ただ、どうでしょうかね。

考えている

うーん、甲は、所有者でなければできない行為をすでにやっています。たまたまの結果で免責されるのは、危険な行為を防止できないと思います。

スク東先生:そうですね。特殊事情に気付いたうえで、それを考慮することの問題点を逆に指摘できると、悩んでいる感じでますね。その上で、どう説明しますか。

東花子さん

はい、横領罪の法益である委託信任関係と所有権を登記移転の段階で侵害しているので、横領罪が成立するとなります。

スク東先生:いいですね。そのように整理すればよいでしょう。最終的に登記が消滅した事情は、個別具体的な事情として量刑では考慮されうるでしょう。

東花子さん

そうですね。構成要件は、違法有責類型です。特殊事情は、類型判断になじまないことはしっかり、確認したいですね。

スク東先生:はい、いいでしょう。問題を解くうえで大事な視点ですね。この機会にしっかり押さえましょう。それでは、今日も時間となりましたので、このあたりで終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。

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刑法・令和2年第2問肢4を考えてみよう  その1

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第2問肢3を検討しました。次は、肢4を考えていきましょう。

それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうです。

考えている

まあまあですかね。

スク東先生:なるほど、そうですか。体が資本ですので体調管理をしましょう。
では、前回の続きをやっていきましょう。問題はこちら。

〔司法試験令和2第2問・予備試験令和2年8問〕
4.甲は,乙から某日までに製茶を買い付けてほしい旨の依頼を受け,その買付資金として現金を預かっていたところ,その現金を確実に補填するあてがなかったにもかかわらず,後日補填するつもりで自己の遊興費に費消した。この場合,甲がたまたま補填することができ,約定どおりに製茶の買い付けを行ったとしても,甲には,横領罪が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:これは、どうでしょう?

東花子さん

えっと、横領罪が成立するので正しいですね。

スク東先生:なるほど、結論はあってます。どのあたりが、ポイントになりますか。

花子さん

えっと、甲は約定どおりに製茶の買い付けを行ってします。したがって、乙の委託信任関係に背いていないように思うのですが・・・。

スク東先生:そうですね。確かに、途中で甲は「その買付資金として現金を預かっていたところ,その現金を確実に補填するあてがなかったにもかかわらず,後日補填するつもりで自己の遊興費に費消し」てます。
この時点は、委託信任関係に背いて所有者として振舞っているのですが。

東花子さん

はい、結果的に「たまたま」ではありますが補填して、約定を守ってます。だったら、別にわざわざ刑罰を科すのは、いきすぎではということですね。

スク東先生:まあ、そういうことですね。イメージできると、ポイントに気付けるでしょう。ただ、本件の場合でも、横領罪が成立します。どうしてでしょうかね。

東花子さん

うーん、結果よければすべて良しとすると、危険な行為を防止できないですね。

スク東先生:そうですね、いいでしょう。あとは、法的安定性の問題もあるでしょう。

考えている

はい、その辺りも含めて、やはり横領罪を成立させる必要がある。

スク東先生:そうですね。その上で、補填されたのは、横領罪がいったん成立したあとの事情なので、犯罪成否には影響がないと理解すればよいでしょう。

東花子さん

なるほど、結論はわかりました。ただ、やっぱり甲が約定を守ったことに関してなんら考慮しないのはかわいそうな気もするのですが・・・。

スク東先生:なるほど、確かにそれはそうです。これらの事情は、責任に影響があるので、個別具体的な自由として量刑で考慮されるでしょう。

東花子さん

そうか、犯罪成立の段階では、構成要件が類型判断なのでざっくり判断する。細かな具体的な事情は、違法性や責任で考慮して量刑で判断するわけですね。

スク東先生:そうですね。この辺りの理解は、各論全体として役立つはずです。しっかり、この機会に整理しておきましょう。それでは、今日も時間となりましたのでこの辺りとします。この続きは、また来週お楽しみに。

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