司法試験29年18問(民法)肢ウを検討する 第7回 通知を怠った連帯債務者の求償の制限(民法435条) その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢「ウ.AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において,Aが債務全額の弁済をしたが,Bに対する通知を怠ったため,Bは,Aの弁済を知らなかった。この場合において,その後CがBに対し債務の履行を請求し,これに応じてBが債務全額の弁済をしたときは,BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができる。」を検討することになりました。結論は分かったのですが,利益状況を確認することになったのでした。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

早速,始めていきましょう。
条文も載せておきますね。

(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
民法第443条
1.連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2.連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

結局,本件の利益状況を考えてきましたか。

東花子さん

はい,一応。Aも通知してませんが,Bも通知してません。それなのに,Bが一方的に保護されるのはおかしいと思いました。

そうですね。Bより先にAは弁済してます。本来であれば,Aの弁済が有効になるのが一般ですからね。
ですので,この場合のBを保護するのは,あまりに行き過ぎという発想があります。

考えている

そう思いました。っていうか一番悪いのは,二重請求した債権者Cでしょう。

おお,いいところに着目しました。結局,AもBに通知してませんが,まさかCがそんなことをするって思っていないでしょう。

東花子さん

それは,そう思います。あと一般的に,443条1項・2項も知らないはずです。

その通りです。そこを踏まえても,リスクをAに負担させるのは問題でしょう。あとは,この結論に向かって解釈すればよいです。

東花子さん

そうですね。443条2項は,誠実に弁済した債務者の信頼を保護するもので,事前の通知(443条1項)を行った場合を前提としている。したがって,この場合,443条2項は適用されないのが相当だと,すればよいですね。

いいですね。利益状況を捉えた上で解釈を併せる感じを出せば,大丈夫でしょう。
では,時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

広告
カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 民法 | コメントをどうぞ

司法試験29年18問(民法)肢ウを検討する 第6回 通知を怠った連帯債務者の求償の制限(民法435条) その1

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年18問(民法)肢「ウ.AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において,Aが債務全額の弁済をしたが,Bに対する通知を怠ったため,Bは,Aの弁済を知らなかった。この場合において,その後CがBに対し債務の履行を請求し,これに応じてBが債務全額の弁済をしたときは,BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができる。」を検討していきます。

結論はどうでしょう。

考えている

誤っていますね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

判例があるようです。(最判昭57.12.17)

なるほど,そうですね。
あと,関連条文があります。こちらも確認してみましょう。

(通知を怠った連帯債務者の求償の制限)
民法第443条
1.連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2.連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。

この条文から,どういうことが言えますかね。

東花子さん

うーん,CがBに対し債務の履行を請求し,これに応じてBが善意で債務全額の弁済をしております。Aが債務全額の弁済をしたが,Bに対する通知を怠っているので,443条2項が適用されると思いました。

いいですね。その結果,Bは,Aに対し,自己の弁済が有効である旨主張することができるとなりそうです。

考えている

はい,そう思いました。

でも,それだと,肢の結論は正しいになってしまいませんか。

東花子さん

あれ,そうですね。確か,誤っているが正解でしたね。

はい,この場合は443条2項が適用されないということになります。

東花子さん

なるほど,なぜででしょうか。

えっと,そこを考える必要があります。どうしましょうか?

東花子さん

うーん,そうですね。一旦,落ち着いて考えてさせてもらっていいですか。

そうですね。ぜひ,やって見てください。方向性としては,443条2項を適用した場合の利益状況をイメージするとよいでしょう。では,時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 民法 | コメントをどうぞ

司法試験29年18問(民法)肢イを検討する 第5回 連帯債務の更改(民法435条) その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢「イ.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,他の連帯債務者は従来の債務を免れ,更改によって新たに発生した債務について責任を負わない。」を検討することになりました。
条文があることはわかるのですが,イメージが大事なようです。一緒に考えていきましょう。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。忘れないように条文を載せておきますね。

(連帯債務者の一人との間の更改)
第435条
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

連帯債務者の一人が債権者と更改するというのは,どういった利益状況が考えられるでしょうか。
イメージしてこられましたか。

考えている

はい一応,結局,共同活動していたものが途中で抜けたい場合が考えられると思いました。

いいですね。連帯債務の利点は,債権者の回収をしやすくすることで,金銭を借りやすくなる。
その結果,共同活動もしやすくなるという話でした。

東花子さん

ええ,分割債務との違いが大切です。

そうすると,途中で,共同活動の内容が変わった場合,当初のメンバーも入れ替わることが考えれます。

東花子さん

そんな場合に債権者と間で更改をすることが想定されますね。

はい,関係ないメンバーは共同活動の利益を得ないわけですから,債務を引き受けたくないはずです。
一方で,債権者から見ると,そんな事情は偶然の事情です。
そこで,適正にものごとを運ぶために更改ということが考えられます。

考えている

そう考えると,435条の結論もはっきりイメージできます。

その通りです。もちろん,この他にも考えられる例は無数にあるでしょう。
ただ,大事なことは明らかに予定されることを具体的にイメージすることです。

東花子さん

なるほど,条文だけだと抽象的で分かりづらいですからね。

はい,その時は具体的に自分でケースを設定して合理的に考えていく。
そうすると,道理が見えてくるので,しっくりくるということです。

東花子さん

そうですね。良くわかりました,いろいろ自分なり試してみようと思います。

いいですね,ぜひやって見てください。コツコツ工夫することが大事です頑張っていきましょう。
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 民法 | コメントをどうぞ

司法試験29年18問(民法)肢イを検討する 第4回 連帯債務の更改(民法435条) その1

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢イを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年18問(民法)肢「イ.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは,他の連帯債務者は従来の債務を免れ,更改によって新たに発生した債務について責任を負わない。」を検討していきます。

結論はどうでしょう。

考えている

正しいですね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

条文でしょうか。

なるほど,関連条文を確認していきましょう。

(連帯債務者の一人との間の更改)
第435条
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

確かに,条文がありますね。消滅するとなっているんでしょうか。

東花子さん

うーん,良くわかりません。

なるほど,それだと,ただ知っているだけになります。

考えている

そうですね。でも,どう考えていけばよいのでしょう。

ここで考えていくのが利益状況です。連帯債務ってどういう状況を想定しておりましたかね。

東花子さん

確か,共同活動を予定しておりました。

その通り,しっかり把握されてます。そこまで,分かっていれば話は見えてきたも同然です。
更改というのは債務の要素を変更すること指しますね(513条)。
なぜ,そんなことを当事者はしたのでしょう。

(更改)
第513条
1.当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。
2.条件付債務を無条件債務としたとき、無条件債務に条件を付したとき、又は債務の条件を変更したときは、いずれも債務の要素を変更したものとみなす。

東花子さん

うーん,どうだろう。

こういうところを,具体的にイメージすることが大事です。そして,イメージは,典型的で分かりやすい事例を考えるとよいでしょう。

東花子さん

なるほど,難しいことはやらないわけですね。そうか,ちょっと考えて見ていいですか。

そうですね。一気に説明してもいいのですが,考える訓練になるので,ぜひやってみてください
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 民法 | コメントをどうぞ

司法試験29年18問(民法)肢アを検討する 第3回 連帯債務の弁済期 その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢「ア.連帯債務者の一人について弁済期を他の連帯債務者と異にすることはできない。」を検討することになりました。一応の説明ができたのですが,何か説得的ではないとスク東先生に指摘されました。もっと分かりやすくするには,どういう時に連帯債務が使われるかからイメージしなければならないようです。
花子さんは考えることができたのでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
連帯債務がどういう場面で使われているか,考えてきましたか。

考えている

はい,一応。結局,連帯債務者間で共同活動を予定していると思いました。

おお,そうですね。そこは,しっかり押さえたいところです。
典型例は,複数の者が共同活動をする際に,債権者から金銭を借りやすくなることがあげられます。

東花子さん

そうですね。例えば300万円を債務者3名で借りる場合,分割債務だと債権者は,100万ずつ回収しなければいけません。しかし,連帯債務だと誰に対しても300万円全額を回収できますからね。

その通りです。債権者に利益を与えることで,債務者が金銭を借りやすくしているわけです。
共同活動をしているので,回収のリスクは債務者間(仲間内)で調整するということです。

東花子さん

連帯債務の利益状況は,概ねわかりました。ただ,本問の弁済期を別にするのと,今の説明は何の関係があるのでしょう。

いやいや,それを東さんに考えてもらいたいんですよ。私が説明しても勉強にならないでしょ。

東花子さん

うーん。結局,債務者において事情がそれぞれ違います。弁済期まで併せないといけないと,連帯債務が利用しづらくなると思いました。

そうですね。連帯債務が利用できないということは,共同活動もしづらくなるということですので,社会的にも不利益が大きそうです。

考えている

はい,ですので私的自治を尊重して,弁済期の異にすることもできるのですね。

そういうことです。最終的に私的自治というのは間違っていないのですが,実際の場面を想定して説明しているのと,ただ,なんとなく結論だけ言っているのでは,理解度が多く違うわけです。

東花子さん

でも,結果的に同じであれば良いようにも思うのですが・・・・。

なるほど,確かに,この問題を解くだけなら差は生まれにくいです。しかし,なんとなく結論だけ覚えている人は,知識を点で押さえているので,少しひねられるとすぐ分からなくなるわけです。

東花子さん

確かに,そうですね。

はい,一方で理解をした形で押さえると,面で押さえているので,応用できる範囲も広がります。
検討レベルが表面的か否かで,雲泥の差がでますね。

考えている

なるほど,気を付けたいと思います。

はい,ぜひ,こんな感じでやってみてください。では,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 民法 | コメントをどうぞ