刑法・令和2年第1問を考えてみよう その6

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第1問肢4を検討しました。今日は、刑法令和2年第1問肢5をやります。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

考えている

そうですね。まあまあですね。

スク東先生:なるほど、体には気を付けたいですね。では、早速、問題の続きを検討していきましょう。

〔司法試験令和2第1問・予備試験令和2年11問〕
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
5.甲は,Xが管理する工事現場に保管されている同人所有の機械を,同人に成り済まして,甲をXであると誤信した中古機械買取業者Yに売却し,同人に同機械を同所から搬出させた。この場合,甲に,Xに対する窃盗罪の間接正犯が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:正解はどうですか。

東花子さん

正しいです。

スク東先生:そうですね。どこがポイントでしょうか。

東花子さん

はい、中古機械買取業者Yは、人なので道具とはいえないのではということだと思います。

スク東先生:いいですね。間接正犯が成立するにためには、一方的に道具として利用していることが必要です。

東花子さん

そうですね。ただ、Yを窃盗罪の正犯とすることはできません。Yは、甲をXであると誤信しているので、故意(38条1項)ないからです。

スク東先生:そうなります。そうすると甲を共犯として処罰することはできなくなってします。共犯が成立するには、正犯に構成要件、違法性まで必要ですからね。

東花子さん

はい、そうすると窃盗の原因を作った甲を処罰できなくなります。これは、法益保護の点から見て問題です。

スク東先生:いいですね。ただ、甲を処罰する必要があるからという理由だけで犯罪を成立させるのはまずいですね。

東花子さん

そうですね。そこで、本件のYは、反対意思の形成が難しい。一方的に利用されている点で道具と同視できると説明するわけですね。

スク東先生:はい、そういうことです。中古機械買取業者なので、買ったら機械を持っていくのは当然ですからね。やめるという判断は難しいわけです。

花子さん

そこで甲に窃盗罪の間接正犯が成立ということで、結論としても妥当となります。

スク東先生:いいですね。そんな形で整理していけばよいでしょう。では、今日も時間となりましたので、この辺りで終わりします。この続きはまた来週、お楽しみに。

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刑法・令和2年第1問を考えてみよう その5

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第1問肢3を検討しました。今日は、刑法令和2年第1問肢4をやります。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

考えている

そうですね。まあまあですね。

スク東先生:なるほど、体には気を付けたいですね。では、早速、問題の続きを検討していきましょう。

〔司法試験令和2第1問・予備試験令和2年11問〕
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
4.甲は,日頃から暴行を加えて自己の意のままに従わせて万引きをさせていた満12歳の実子Xに対し,これまでと同様に万引きを命じて実行させた。この場合,Xが是非善悪の判断能力を有する者であれば,甲に,窃盗罪の間接正犯は成立せず,Xとの間で同罪の共同正犯が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:正解はどうでしょう。

東花子さん

誤っています。

スク東先生:そうですね。どこがポイントでしょう?

東花子さん

そうですね。満12歳の実子Xが是非善悪の判断能力を有する者なので、道具ではないということでしょうか。

スク東先生:いいですね。間接正犯が成立するにためには、一方的に道具として利用していることが必要です。

東花子さん

はい、ただ、日頃から暴行を加えて自己の意のままに従わせて万引きをさせていたので、Xは甲に逆らえないので実質、道具といえそうです。

スク東先生:そうですね。少なくても、肢のように共同正犯(60条)は違います。共同正犯が成立するためには相互利用補充関係が必要ですからね。

東花子さん

そうですね。しっかり理解をしていれば解けると思いました。

スク東先生:いいですね。ポイントをしっかり押さえられればそれで大丈夫でしょう。それでは、簡単ではございますが今日は、これで検討を終わりします。この続きはまた、来週お楽しみに。

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刑法・令和2年第1問を考えてみよう その4

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第1問肢2を検討しました。今日は、刑法令和2年第1問肢3をやります。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

考えている

そうですね。ぼちぼちでしょうか。

スク東先生:なるほど、そうですか。体調管理には気を付けたいですね。では、早速、問題の続きを検討していきましょう。

〔司法試験令和2第1問・予備試験令和2年11問〕
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
3.甲は,財物を奪取するために,当該財物の占有者Xに対し,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて,当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で,当該財物を差し出させた。この場合,甲に,Xに対する強盗罪は成立せず,窃盗罪の間接正犯が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:正解はどうでしょう。

東花子さん

えっと、強盗罪が成立すると思います。ですので、誤っている。

スク東先生:いいですね。ポイントはどこにでしょう?

東花子さん

そうですね。一応、窃盗の間接正犯が成立するかという点でしょうか。

スク東先生:まあ、そうですね。問題文が、そうですからね。問いに一旦は、あわせるのが、よいでしょう。

東花子さん

まあ、本肢で甲は「財物を奪取するために,当該財物の占有者Xに対し,反抗を抑圧するに足りる程度の暴行や脅迫を用いて,当該財物を差し出すしかないとの精神状態に陥らせた上で,当該財物を差し出させ」ています。被害者は、抑圧されいるので反対意思形成が困難ですね。

スク東先生:そうそう。ですので、被害者を道具と見ることもできるのではということなのでしょう。そして、意思に反して財物の占有を移転しているわけだから窃盗ということを言いたいのでしょうね。ただ・・・。

東花子さん

ええ、窃盗罪だと刑が軽いような気がします。。

スク東先生:そうですね。条文も確認しておきます。

(窃盗)
第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(強盗)
第236条
1.暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2.(略)

花子さん

はい、甲は犯行抑圧する程度の暴行を加えて、財物を奪う行為を一連の流れで行っております。まさしく、危険で身勝手な犯行なので、強盗罪を成立させて重く処罰すべきだと思いました。

スク東先生:いいですね。まあ、実際に問題を解く際には、こんなこと考えなくても、強盗罪が成立することは判断できます。ただ、検討の段階では、問いに配慮しましょう。はい、今日も無事検討が終わりました。とにかく、コツコツ考えながら勉強していきましょう。それでは、この続きはまた、来週お楽しみに。

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刑法・令和2年第1問を考えてみよう その3

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第1問肢1を検討しました。今日は、刑法令和2年第1問肢2をやります。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。新年あけましておめでとうございます。

花子さん

あけましておめでとうございます。

スク東先生:よかった。今日は元気そうですね。

東花子さん

まあ、新年早々は、一応明るくいかないと。

スク東先生:なるほど、私もぜひ見習っていきたいと思います。では、早速、問題の続きを検討していきましょう。

〔司法試験令和2第1問・予備試験令和2年11問〕
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
2.甲は,追死する意思がないのにあるように装い,その旨誤信したXに心中を決意させた上で,毒物を渡し,それを飲み込ませて死亡させた。この場合,甲に,Xに対する殺人罪は成立しない。

(肢1、3以下は省略)

スク東先生:正解はどうでしょうか

考えている

えっと、殺人罪が成立するので誤っていると思います。

スク東先生:そうですね。問題点はどこにあるのでしょう。

東花子さん

はい、自殺教唆じゃないかという話だと思います。

スク東先生:いいですね。条文を確認していきましょう。

(自殺関与及び同意殺人)
第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

(殺人)
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

スク東先生:殺人罪も、併せて載せておきました。結局、Xは自殺することを認識しているので自殺教唆罪ではないかという問いです。ただ、この場合は、どうでしょうね?

花子さん

はい、Xは、甲が追死する意思がないのにあるように装っているのでそれを信じています。しかし、結果だまされてますね。この場合にも自殺教唆罪というのは刑が軽すぎるように思います。

スク東先生:そうですね。202条は、199条よりも刑が軽いです。したがって、202条が適用されるには、それなりの事由が必要でしょう。

東花子さん

そうです、そこで202条が適用されるには自殺者が真意に基づいて自殺をしたことが必要で、このような場合は、それと異なるわけですね。

スク東先生:はい、いいでしょう。真意であって、違法性、責任が類型的に減少したといえそうですからね。こんな感じで整理すれば大丈夫でしょう。それでは、無事検討しましたので、この辺りで終わりにしたいと思います。
それでは、この続きはまた、来週お楽しみに。

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刑法・令和2年第1問を考えてみよう その2

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第1問を検討することになりました。本日は肢1です。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

東花子さん

まあ、普通です。先生、今日はクリスマスですね。

スク東先生:そうですね。ちなみにクリスマスって、どんな日かご存知です?

考えている

えっ、イエス・キリストの誕生日でしょうか?。

スク東先生:うーん、なるほど。私も最近までそう思っていたのですが、どうやら違うみたいです。キリストの生誕を祝う日のようですよ。詳細はこちら

花子さん

へぇ、初めて知りました。

スク東先生:よかったです。まあ、なんとなくあることも、疑問に思うと意外な発見がありますね。
さっそく、本日の問題を検討していきましょう。

それでは、前回の続きです。

〔司法試験令和2第1問・予備試験令和2年11問〕
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
1.甲は,Xに対し,暴行や脅迫を用いて,自殺するように執拗に要求し,要求に応じて崖から海に飛び込んで自殺するしかないとの精神状態に陥らせた上で,Xを崖から海に飛び込ませて死亡させた。この場合,甲に,Xに対する殺人罪は成立しない。

(肢2以下は省略)

スク東先生:正解はどうでしょうか

東花子さん

そうですね。誤っています。殺人罪が成立するので。

スク東先生:なるほど、結論はあってます。どこが、本問のポイントでしょうか。

花子さん

えっと、甲は自殺を促しているので、自殺教唆罪(202条)ということでしょうか。

スク東先生:いいですね。条文もあげておきましょう。

(殺人)
第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

(自殺関与及び同意殺人)
第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

スク東先生:確かに、改めてですが自殺関与罪とだと、殺人罪より刑が軽くなるので、甲にとって有利ですね。

考えている

はい、ですので自殺関与罪と主張することは甲に意味があるわけです。ただ・・・。

スク東先生:おや、どうされました?

東花子さん

えっと、やっぱりこの状況を踏まえると、甲はXに対して「自殺を執拗に要求し,要求に応じて崖から海に飛び込んで自殺するしかないとの精神状態に陥らせて」おります。したがって、罪状から見ても、自殺関与だと刑が軽すぎるように思います。

スク東先生:なるほど、いいですね。法益保護を図るためにも、甲には殺人罪が成立するとしたいところです。では、このことを、どう説明しましょう。

花子さん

結局、被害者自身が反対意識の形成が難しい状態です。したがって、いわゆる道具といえそうです。ですので、甲は殺人の(間接)正犯だと説明できるように思いました。

スク東先生:そうですね。自殺関与罪とするには、被害者自身が、自由な意思にもどいて自殺をすることが必要でしょう。
それがあって、初めて構成要件レベルで、刑を軽くできるはずです。

東花子さん

確かに、無理やりだと、違法性も責任も類型に減少する合理性がないです。

スク東先生:その通り!!そんな感じで、整理しまょう。よかった、端的にポイント確認することができました。単に正解を出すのではなく、論理的に正解を導きたいですね。それでは、今日も時間となりましたのでこの辺りで終わりにします。
この続きはまた、来年お楽しみに。

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