予備試験29年7問(民法)肢オを検討する 第8回 民法591条1項を考えよう(大判昭5.1.29) その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢「オ.期限の定めのない金銭消費貸借契約の借主は,貸主が相当の期間を定めずに催告をしても,相当の期間を経過した時から履行遅滞の責任を負う。」を検討することになりました。
結論としては,正しいことは分かったのですが,591条1項に文理上反しているようです。催告そのものを無効とすることは現実的にまずい利益状況なのはわかったのですが,法的に説明してくださいとスク東先生にいわれました。
花子さんは,果たして説明を考えることができたのでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速ですが考えてきましたか。

東花子さん

まあ,一応まとめてきました。

そうですか。では,初めて行きましょう。条文も確認の意味で,載せておきます。

(返還の時期)
民法第591条
1.当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
2.(略)

結局,相当の期間を定めず催告しても,催告そのものは有効とする必要があるのはわかったのですが,法的にどう説明するかという話でした。どの辺りを説明知れば良いでしょうか。

考えている

そうですね。そもそも,なぜ591条1項が「相当の期間を定めて返還の催告をすることができる」としているかを考えると良いと思いました。

その通りです。それで,要件の意味は,分かりましたか。

東花子さん

はい,借主が目的物を調達できる機会を確保するためです。

いいですね。この場合の消費貸借契約の目的物は金銭です。貸主からいきなり返せと言われても借主は手元に目的物(金銭)がないことが考えられますからね。

考えている

そう思いました。

ポイントは大丈夫そうです。軽く触れておきますが,一般的には,期限の定めがないときは履行の請求(催告)を受けた時から遅滞になる(412条3項)ので違いも押さえておきましょう。

東花子さん

わかりました。

そうすると,相当の期間を定めずした催告を591条1項は無効とする趣旨でしょうか。

東花子さん

そうですね。期間経過すれば,借主の目的物の調達期間が確保されているので,その場合にまで催告を無効とするものではないと思いました。

いいですね。イメージとしては,「期間を定めず催告」をしても,目的から見れば催告を無効にするほどの重大な瑕疵ではないと見るのでしょう。なので,催告が有効であることを前提に,相当の期間経過後に遅滞になると説明できます。

東花子さん

良くわかりました。

はい,こんなところで大丈夫でしょう。基本的なところから,考えられると良いと思います。
それでは,今日はここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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予備試験29年7問(民法)肢オを検討する 第7回 民法591条1項を考えよう(大判昭5.1.29) その1

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢オを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第7問(民法)肢「オ.期限の定めのない金銭消費貸借契約の借主は,貸主が相当の期間を定めずに催告をしても,相当の期間を経過した時から履行遅滞の責任を負う。」を検討していきましょう。

この肢は,正しいですか,間違ってますか。

東花子さん

正しいですね。

そうですね。どうしてでしょう。

考えている

判例があるようです(大判昭5.1.29)。

なるほど,良くご存知ですね。でも,それだと結局,忘れたらアウトですね。

東花子さん

はい,そう思います。

なので,しっかり意味づけをしていきましょう。

東花子さん

よろしくお願いします。

まず,問題の所在は,わかりますか。

考えている

うーん,条文でしょうか。

そうですね。確認して見ましょう。

(返還の時期)
民法第591条
1.当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
2.(略)

591条1項よれば,「相当の期間を定めて返還の催告することができる」とあります。
本件は,相当の期間を定めずに催告をしているので,法律の文理に反してます。

東花子さん

確かに,そのようです。

なので,催告そのものが法律に反しているので,無効ではないかという問題が生じます。

東花子さん

そう思います。ただ,判例の結論を踏まえると,そうは考えていないようです。

どうしてでしょう。

考えている

うーん,催告が無効だと,貸主が有効するために相当の期間を定めて改めて催告しなければいけなくなります。このことは,手続的に煩雑だと思いました。

そうですね。また,催告を無効とすると,借主は貸主から返還の意思の通知を受けているのに返さなくても,遅滞にならないことになります。

花子さん

まあ,位置づけとして催告がないとの同様になりますからね。

はい,ただ,貸主としては言い方が少し足りないだけで,これら不利益を受けるのは負担が大きいように思います。

考えている

そうですね。なので,相当の期間を定めずに催告をしても,催告そのものは有効とする必要がある。

まあ,それが,結論として求められるのでしょう。ただ,それだと不十分です。

東花子さん

591条1項との,整合性を図る必要があるということですね。

いいですね。どう説明しましょう。

東花子さん

うーん,どうでしょう。

なるほど,そうですか。ここは,しっかり考えてもらいたいですね。なので,ここで一旦切りましょう。

東花子さん

わかりました。キチンと理解することが大事ですから・・・。

そうですね。ぜひ,頑張ってみてください。それでは,今日はここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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予備試験29年7問(民法)肢エを検討する 第6回 賃貸借契約解除後の転貸借関係

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第7問(民法)肢「エ.AがBに建物を賃貸し,BがAの承諾を得てCに同建物を転貸した場合において,AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは,AがCに建物の返還を請求しても,Aが転貸借を承諾していた以上,BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能とはならない。」を検討していきましょう。

この肢は,正しいですか,間違ってますか。

東花子さん

間違ってますね。

そうですね。どうしてでしょう。

考えている

判例があるようです(最判平9.2.25)。

なるほど,それだと,ただ結論を知っているだけで,忘れたら即アウトですね。

考えている

はい,そう思います。

なので,しっかり意味づけをしていきましょう。

東花子さん

よろしくお願いします。

まず,本件のように,AB間の賃貸借契約が債務履行により解除された場合,BCの転貸借契約はどうなりますか。

東花子さん

当然に終了すると思いました。解除により,転貸できなくなるので・・・。

なるほど,確かに,解除されると存立基盤が失われますからね。ただ,契約関係は,相対効です。賃貸借契約と転貸借契約はあくまでも,別契約です。

東花子さん

確かにそうです。ということは,当然には終了しないと考えべきですね。

いろいろな考え方があるようですが,それで大丈夫でしょう。他人物賃貸借も債権的に有効です。これらも踏まえると,当事者間では契約関係が終了しないこともイメージできるでしょう。

東花子さん

わかりました。

それでは,いつBのCに対する債務が履行不能になるのでしょう。

東花子さん

それは,AがCに建物の返還を請求をしたときだと思いました。

その通りですね。どうしてでしょうか。

考えている

うーん,問いの答えから考えてなんとなくそう思いました。

なるほど,それだと暗記的になります。では,一緒にそこを考えていきましょう。
まず,契約終了後,BはCのために転貸人としての義務を履行できそうですか。

東花子さん

なるほど,一度契約が終了した後でも,再度AB間で賃貸借契約を結ぶことはあり得ると思います。

そうですね。AもBとの契約解除後,新たな賃借人を探すのが面倒な時に,Bが反省して賃料を払ってくれれば再度契約することはありえます。

東花子さん

そう考えると転貸借契約が直ちに終わらないこともうなづけます。まだ,Bが転貸人の義務を履行する可能性もあるので・・・。

はい,そしてAB間で再契約さえ結べれば,かつてAはBに転貸の承諾していたのだから,Bは転貸人としての義務を果たすことができそうです。

東花子さん

そう思います。

しかし,ここまで踏まえて,AがCに対して建物を返還請求した際はどうでしょう。

考えている

その場合は,AはBとの契約をしない可能性が極めて高いですね。もちろん,AB間の再契約も0ではないでしょうが。

そうですね。0ではないので,履行「不能」ではないといいたいのでしょうが,AはCに返還請求を行っている時点で,転貸借を前提としたBとは,再契約をしないという意思が外形上あらわれていると見れそうです。
したがって,この時点で,BのCへの債務が社会通念上履行不能となります。

東花子さん

良くわかりました。契約解除後でも再契約の可能性も一応あるというのが,面白いなと思いました。

はい,ここは本当にイメージをしないとわからないと思いますので,ぜひ意識してみましょう。それでは,今日は,ここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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予備試験29年7問(民法)肢ウを検討する 第5回 民法547条を考えよう その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢「ウ.AB間で売買契約が締結され,Aが債務不履行に陥っている場合において,AがBに対して相当の期間を定めて契約を解除するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず,Bがその期間内に解除の通知をしないときは,Aは,以後債務不履行責任を負わない。」を検討することになりました。
547条で解除権は消滅するようです。「解除権」と「債務不履行責任」で,制度が違うので,債務不履行責任は負うという結論は分かったのですが,「それだと条文忘れたら困りますでしょ。」キチンと意味を確認しないと,という議論になったのでした。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。547条の意味を考えてこられましたか。

東花子さん

はい,一応。

わかりました。早速初めて行きましょう。条文も載せておきます。

(催告による解除権の消滅)
民法第547条
解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。

結局なぜ,このような制度があるのでしょう。通常,解除権は債務不履行ならない(541条,543条)と発生しません。債務不履行をしている債務者が悪いので,わざわざ債務者を催告の制度で保護する必要はないんじゃないですか。

考えている

確かに,本件Aは債務不履行していますし。

そうですよね。なのに,なぜ催告を認めているかを考える必要があります,どうでしょう。

東花子さん

解除権の自由な行使を認めると問題だからだと思います。そうじゃないと催告を認める意味がないので・・・。

なるほど,方向性はあってますが,もう少し考えてみたいですね。

考えている

うーん,良くわかりません。

そうですか,では,少し質問しましょう。解除権が行使されると,その後,どうなるでしょう。

東花子さん

原状回復(545条1項)をすることになると思いました。

いいですね。そうすると,解除権の行使が遅れた場合,どうなるでしょう。考えて見てください。

東花子さん

原状回復が難しくなるということでしょうか,時間が立つと事情も変更しますので。

その通りです。解除権の行使が遅いと,債務者に余分な負担発生します。なので,催告によって権利関係の早期確定を図っています。

東花子さん

そうか,債務不履行を行ったAは悪いです。しかし,解除権を有するBも必要以上に債務者Aを困らせる権利はないですからね。

いいですね,この辺りをイメージしていないと,解除権が催告で消滅することを分からないと思います。

考えている

良くわかりました。また,催告で債務不履行責任の減少を認めると,債務者を保護しすぎと思いました。

そうですね。契約をしている以上,債務者は債務を履行すべきです。解除権を遅く行使されて余計に困るのとは意味が違います。ぜひ,この機会にイメージをしておきましょう。それでは,今日は,ここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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予備試験29年7問(民法)肢ウを検討する 第4回 民法547条を考えよう その1

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花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第7問(民法)肢「ウ.AB間で売買契約が締結され,Aが債務不履行に陥っている場合において,AがBに対して相当の期間を定めて契約を解除するかどうかを確答すべき旨の催告をしたにもかかわらず,Bがその期間内に解除の通知をしないときは,Aは,以後債務不履行責任を負わない。」を検討していきましょう。

この肢は,正しいですか,間違ってますか。

東花子さん

間違ってますね。

そうですね。どうしてでしょう。

考えている

Bが債務不履行をしている事実は変わらないからだと思いました。

なるほど,とりあえずの解答にはなっていると思います。
ただ,問題文に事実もあるので,この辺りを踏まえて考えたいですね。
本件Bは,Aに解除をするか否かの催告をしてますが,何を意味しているのでしょうか。

東花子さん

たしか,547条に条文があったと思います。

いいですね。条文を載せておきましょう。

(催告による解除権の消滅)
民法第547条
解除権の行使について期間の定めがないときは、相手方は、解除権を有する者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知を受けないときは、解除権は、消滅する。

この条文を踏まえると,どのあたりがポイントでしょうか。

東花子さん

そうですね。547条には,「解除権は,消滅する」とあり,「債務不履行責任は消滅する」とは書いてません。

良い指摘です。「解除権」と「債務不履行責任」は,別ものですね。
では,なぜ547条の催告があるのでしょう。

東花子さん

よく分かりません。

そうですか。条文のポイント指摘できても,意味がわかっていなければ,効果も気づけませんね。

考えている

はい,本番では,条文は見れないので間違える可能性があります。

よく分かっているじゃないですか。では,この機会に意味を考えて見てください。

東花子さん

うーん。

なるほど,しっかり理解してもらいたいので考えて見ましょう。考えることは,理解のための重要なステップだと思いますよ。
ぜひ,頑張ってみてください。それでは,今日は,ここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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