司法試験29年8問(民法)肢エを検討する 第10回 混同(所有権と賃借権) その1

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年8問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年8問(民法)肢「エ.AとBは,建物所有目的で,CからC所有の甲土地を賃借した。その後,Cが死亡してAが単独で甲土地を相続した場合,Aの賃借権は消滅しない。」を検討していきます。
結論はどうでしょうか。

考えている

正しいですね。

いいですね,あってます。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

うーん,混同の条文でしょうか。

そうですね。確認して見ましょう。

(混同)
民法第179条
1.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2.(略)
3.(略)

何か,気付きませんか。

考えている

どうでしょう。179条1項ただし書により消滅しないのではないでしょうか。

なるほど,方向性は合っているのですが・・・。よーく,条文を見てください。

東花子さん

えっと,えっと,なんだろうな。

いやいや,条文をじっくり見てください。179条1項は,所有権及び「他の物権」です。
ここまで言えば分かるんじゃないんですか。

東花子さん

なるほど,賃借権(601条)は「債権」ですね。

その通り,「物権」と「債権」は,別です。
したがって,179条1項は直接適用できません。

考えている

確かに。先生,179条1項ただし書を類推適用している判例(最判昭46.10.14)がありました。

なるほど,良く調べましたね。ただ,それよりも,どうして判例が直接適用ではなく,類推適用しているかを理解しないといけません。

東花子さん

やはり,条文がポイントなんですね。

はい,類推適用という答えを押さえるのではなく,大前提として条文から視点をぜひ,持ちましょう。

考えている

わかりました。

これで,最終的に持っていく方向性が確認できましたが,なぜ判例は,本件と類似の事案で179条1項ただし書を類推適用したのでしょうか。

東花子さん

うーん,賃借権を消滅させると困るからだと思うのですが・・。少し考えて見ていいですか。

そうですね。ぜひ,利益状況を考えて見てください。
では,今日も時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年8問(民法)肢ウを検討する 第9回 混同(民法179条1項)(地上権と抵当権の例)その3

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年8問(民法)肢「ウ.A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ,甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に,甲土地にCのための抵当権が設定され,その旨の登記がされた場合には,その後にAが単独でBを相続したときでも,その地上権は消滅しない。」を検討することになりました。
花子さんは,地上権を消滅しないという利益状況は,説明できましたが,最後,条文に当てはめるように求められたのでした。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,初めて行きましょう。

参照条文を載せておきます。

(混同)
民法第179条
1.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2.(略)
3.(略)

昨日まで,確認した利益状況(詳細は,こちら)を踏まえて,ただし書をうまく適用したいのですが,どうしましょう。

考えている

そうですね。条文の趣旨を出して,それを使って解釈,適用すれば良いと思いました。

そうですね。趣旨を自分なりに出すことが大事です。
本件の場合,どんな感じで説明しましょうか。

東花子さん

はい,179条1項ただし書で,第三者の権利の目的であるとしたのは,第三者の権利利益に影響がある場合に消滅させないことを予定している。したがって,この場合,ただし書にあたるとすれば説明になると思いました。

まあ,この辺りは,概ね筋が通っていれば大丈夫です。
試験的には,現実の利益状況を踏まえた上で,それに併せて解釈する運用をすれば十分でしょう。

考えている

実際,本件の抵当権は,地上権の負担付きです。したがって,抵当権の権利の目的といえるようにも感じました。

なるほど,シンプルでいいですね。ポイントは,どう説明するにせよ条文の文理に寄せていく発想です。

東花子さん

確かに,考え方が大事ですね。良くわかりました。

はい,勉強したことを書こうとすると,条文から離れてしまいがちです。ぜひ気を付けてください。
では,今日も,時間となりましたのでこことまでとします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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司法試験29年8問(民法)肢ウを検討する 第8回 混同(民法179条1項)(地上権と抵当権の例)その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年8問(民法)肢「ウ.A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ,甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に,甲土地にCのための抵当権が設定され,その旨の登記がされた場合には,その後にAが単独でBを相続したときでも,その地上権は消滅しない。」を検討することになりました。
結論は,正しいのですが,なぜかを確認することになりました。
179条1項本文かただし書かどちらを適用すべきかの判断が大事です。
花子さんは,本問の利益状況をしっかり説明できるでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,初めて行きましょう。

確認のために条文を載せておきます。

(混同)
民法第179条
1.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2.(略)
3.(略)

結局,本文かただし書,どちらを適用するかは,本件の場合に,地上権を存続させる意味があるかないかでした。

考えている

そうでした,そうでした。

それで,結論でましたか。

東花子さん

はい,この場合に地上権が消滅するとCの抵当権の価値が増えて,Aが害されると思いました。

おお,いいですね。もう少しそこを,丁寧に説明してもらえますか。

考えている

えっと,Cが抵当権を設定した時点で,すでに甲土地について,乙建物の地上権の登記が入っています。したがって,Cは地上権の負担付で甲土地の交換価値を把握していますね。

なるほど,いいところに目をつけましたね。説明を続けてください。

花子さん

はい,そこで,地上権が消滅すると,Cは,地上権の負担がない抵当権を取得したことになると思いました。

その通り!!AがBを相続した事情で,なんでCが得をするんだという話です。
したがって,地上権を残す必要がありますね,いいじゃないですか。

東花子さん

やったぁー,よかったです。

後は,このことを条文を使って説明しましょうか。

花子さん

あら先生,すいません。Aを保護する理由が分かった時点で,嬉しくなってしまって,そこまで考えていませんでした。少し時間を貰っていいですか。

そうですか,わかりました。ぜひ,そうしてください。
では,今日も時間となりましたので,ここまでとします。この続きはまた明日,お楽しみに。



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司法試験29年8問(民法)肢ウを検討する 第7回 混同(民法179条1項)(地上権と抵当権の例)その1

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年8問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年8問(民法)肢「ウ.A所有の甲土地についてBが建物所有目的で地上権の設定を受けてその旨の登記がされ,甲土地上にBが乙建物を建築して所有権保存登記がされた後に,甲土地にCのための抵当権が設定され,その旨の登記がされた場合には,その後にAが単独でBを相続したときでも,その地上権は消滅しない。」を検討していきます。

結論は,どうでしょう。

考えている

正しいですね。

そうですね,なぜでしょうか。

東花子さん

今回の場合は,179条1項ただし書が適用されると思います。

なるほど,確認して見ましょう。

(混同)
民法第179条
1.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2.(略)
3.(略)

確かに,ただし書が適用されるのであれば地上権は消滅しません。
でも,考えて見ると,別に甲土地の地上権は,抵当権者Cの権利の目的でないように思うのですが・・・。

考えている

そうですね。Aが抵当権を設定したのは,甲土地の所有権です。地上権は関係ないように見えます。良く考えると分からなくなってきました。

いいですね。そこが分からずに,179条1項ただし書で地上権が消滅しないなんて言おうもんなら・・・。

東花子さん

なるほど,ただの暗記ですね,わかってない。

その通り!したがって,しっかり考える必要があります。
結局,179条1項本文とただし書の適用に関してどう考えれば良かったですか。

東花子さん

はい,結局,他の物権を残す意味があるがないかが大事だったと思います。

いいですね。昨日やりました(詳細はこちら)。
良く復習できてます。
ということは,本件の場合,地上権を消滅させるのはまずいということを,自分の言葉で言わないといけませんね。

考えている

そうですね。それが,地上権を存続させる理由にもなります。

その通りです。考える方向性が分かったところで,改めて,地上権が消滅せず存続するのでしょう。
なぜか,その道理を説明して貰えませんか。

東花子さん

うーん,ちょっと考えさせてください。

そうですね。ぜひ,考えて見てください。それでは,今日も時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日,お楽しみに。



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司法試験29年8問(民法)肢イを検討する 第6回 混同による消滅 (民法179条1項)その4

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年8問(民法)肢「イ.A所有の甲土地には,第一順位の抵当権を有しているBと第二順位の抵当権を有しているCがおり,他には抵当権者がいない場合,CがAから甲土地を譲り受けたときでもCの抵当権は消滅しない。」を検討することになりました。
その際に,179条1項本文とただし書の適用場面の違いをしっかり勉強することになったのでした。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,続きを行きましょう。
条文も載せておきますね。

(混同)
民法第179条
1.同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2.(略)
3.(略)

結局,179条1項本文は,どういう場面を想定しているかわかりましたか。

東花子さん

わかりました。結局,他の物権を存続させる意味がない場面が想定されてますね。

その通り,所有権と抵当権を具体例して,確認しました。(詳細はこちら
キチンと,思い出せたようですね。

考えている

はい,なんとか。

ここまで説明すれば,179条1項ただし書の適用場面が見えるのではないですか。

花子さん

そうですね。179条1項本文と逆で,他の物権を存続させる意味があるということですね。

その通り。ただし書は,消滅によって,第三者との関係に影響があることが想定されてます。

東花子さん

なるほど,良くわかりました。ということは,第二順位の抵当権を消滅させることで,本件の第一抵当権者Bに影響が生じるかを見れば良いわけですね。

そういうことです。混同の問題は,ごちゃごちゃになりがちですが,そこが一番のポイントになります。
本件の場合,第二抵当権が消滅して,第一抵当権者Bに影響がでますか。

東花子さん

そうか,Bの権利に全く影響を与えません。だから,存続させる意味はないので,本文で消滅するんですね。

その通り。この辺りの状況を踏まえて,179条を当てはめれば,大筋として説明が通ります。

花子さん

良くわかりました。

良かった。なお,仮に第一抵当権者Aで第二抵当権者Bの場合で,Aに所有権が帰属した場合,第一抵当権は消滅しません。

考えている

なるほど,消滅すると,関係ない第二抵当権者Bの順位が上昇して利益を受けてしまいますからね。

そういうこと!こんな感じで,利益状況を踏まえて,条文の目的を理解しましょう。
そうすれば,混同の問題もしっかり正解出せると思いますよ。
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



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