民法・司法試験令和3年第1問(予備試験令和3年第1問)肢アを検討しよう

【前回のあらすじ】

今日から,民法司法令和3年1問(民法予備令和3年1問)を検討することになりました。
まずは,肢アからですね。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

うーん,少しいいかも。

スク東先生:なるほど、そうですか。寒くなってきたのに元気ですね。それはなによりです。
では、早速、今日から問題の検討を始めていきましょう。

民法司法令和3年1問肢ア(民法予備令和3年1問肢ア)です。

「ア.不在者の推定相続人は,家庭裁判所に失踪宣告の請求をすることができる。」

正解はどうでしょう。

正しいです。

スク東先生:そうですね。なんでですか?

条文でしょうか?

スク東先生:なるほど,確認してみましょう。

(失踪宣告)
第30条
1.不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。

「利害関係人」に推定相続人が含まれます。

スク東先生:うーん,結論からいうと,確かにそうなんですが・・・。

はい,条文をただ覚えるのは難しいですね。

スク東先生:そうですよね。やみくもに抑えるのは,大変です。やっぱり意味を考えないと。

そうですね。うーん,あまり勉強しないところなので,いまいちピンときません。

スク東先生:なるほど,そうですよね。それでは,考えていきましょう。そもそも,失踪宣告って何のためにあるですかね。

考えたことないなぁ。

スク東先生:そうですか。じゃあ,質問しますが,失踪宣告がされたら,どうなります。

えっと,失踪者は死亡したものとみなされます。(31条)

スク東先生:いいですね。じゃなんで,そんなことする必要があるんでしょう。

えっ,死亡したと取扱わないと困るからでしょうか?

スク東先生:いや,その回答は,ちょっと漠然としすぎてますね。もうちょっと,説明が欲しいです。

うーん。

スク東先生:なるほど,ちょっと難しく考え込んでしまいましたか。こういうときは,失踪宣告という制度が仮になかったら,原則どういうことになるかを考えるとすっきりしますよ。どうでしょうか。

なるほど,不在者の財産管理という取扱いになります。(25条~28条)

スク東先生:いいですね。不在者の財産管理だと,どうでしょう問題ありませんか。

そうか,できることが限られてきます(28条,103条)

スク東先生:そうなんです。いない人の財産をいつまでも,不在者のものとして管理しつづけるのも管理者にとって負担です。

なるほど,だから,その負担を軽くするために,失踪宣告を使って財産の権利関係を安定させるわけだ。

スク東先生:そうそう。よくよく見ると,民法には,「第五節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告」の項目があります。2つの制度の密接な関連性が伺えますね。

なるほど,そこまで考えると,死亡により相続させて権利を取得するのは,推定相続人です。権利関係を安定される利益はありそうなので,当然に請求ができそうですね。

スク東先生:はい,そういうことです。結局,失踪宣告がなぜあるかというような大枠から抑えていれば,正解にたどり着けると思います。こんな感じで大丈夫でしょう。それでは,今日は,キリがいいので,ここまでとします。この続きはまた来週,お楽しみに。

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民法・司法試験令和3年第1問(予備試験令和3年第1問)を考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑訴の令和3年第26問を前回まで検討しました。次は、何をやるのでしょうか。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通ですね。

スク東先生:なるほど、そうですか。それはなによりです。
では、早速、今日も問題をやっていきましょう

〔第1問〕
失踪宣告に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.不在者の推定相続人は,家庭裁判所に失踪宣告の請求をすることができる。
イ.死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が,その危難が去った後1年間明らかでないことを理由として失踪宣告がされた場合には,失踪宣告を受けた者は,その危難が去った時に死亡したものとみなされる。
ウ.失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAから甲土地を相続したBが,Cに甲土地を売却した後に,Aの失踪宣告が取り消された。この場合において,CがAの生存につき善意であったときは,Bがこれにつき悪意であったとしても,その取消しは,BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼさない。
エ.失踪宣告が取り消された場合,失踪宣告によって財産を得た者は,失踪者の生存につき善意であっても,財産を得ることによって受けた利益の全額を失踪者に返還しなければならない。
オ.失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAが,失踪宣告が取り消される前に,Bから甲土地を買い受けた場合,この売買契約は,失踪宣告がされたことにつきBが善意であるときに限り効力を有する。
1.ア イ 2.ア エ 3.イ オ 4.ウ エ 5.ウ オ

ふーん、今日は今年の民法司法令和3年1問(民法予備令和3年1問)を取り上げるんですね。

スク東先生:そうですね。淡々とやっていきましょう。

今回も以前のスク東の勉強会で取り上げた題材ですね。

スク東先生:はい、勉強会で取り上げた問題を議論できればと思います。

ふーん、今度、勉強会いつでしたっけ。

スク東先生:えっと、11月28日(日)16:00~17:30ですね。今年の民事訴訟法を検討します。詳細はこちら、ぜひ、興味がある方はいらしてください。

わかりました。

スク東先生:はい、早速、やっていこうと思ったのですが、本日はとりあえず、予告だけにしておきます。次回から肢アを一緒に考えていきましょう。それでは、今日も時間となりましたので終わりします。
この続きは、また来週お楽しみに。

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刑事訴訟法・令和3年第26問肢オを考えてみよう 

【前回のあらすじ】

刑法の令和3年第26問肢エの検討をしました。本日は肢オです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあですかね。

スク東先生:なるほど、そうですか。いずれにしても,淡々とやるしかないですね。それでは、早速、肢を検討しましょう。予備試験令和3年第26問肢「オ.上告審は法律審であるが,上告裁判所である最高裁判所は,上告趣意書に包含された事項を調査するについて必要があるときは,検察官,被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調べをすることができる。」です。

結論は、どうですか。

正しいです。

スク東先生:そうですね。どうしてでしょう。

条文があります。

スク東先生:なるほど、確認してみましょう。

【調査の範囲】
第392条
1 控訴裁判所は、控訴趣意書に包含された事項は、これを調査しなければならない。
2(略)

【事実の取調べ】
第393条
1 控訴裁判所は、前条の調査をするについて必要があるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で事実の取調をすることができる。但し、第382条の2の疎明があったものについては、刑の量定の不当又は判決に影響を及ぼすべき事実の誤認を証明するために欠くことのできない場合に限り、これを取り調べなければならない。
2~4(略)

【控訴に関する規定の準用】
第414条
前章の規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、上告の審判についてこれを準用する。

【原判決破棄の判決】
第411条
上告裁判所は、第405条各号に規定する事由がない場合であっても、左の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
1~2(略)
3 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
4~5(略)

なるほど,上告審は法律審ですが,393条1項が準用されるということですね。したがって,正しい

スク東先生:確かに,そうなんですが・・・。

はい,ただ,こんなことわかりますかね。

スク東先生:そうですね。正直,なかなか難しいように思いますが,やはり大枠から,知識を整理していきたいですね。
どうして,法律審なのに事実の判断もできるのでしょう。

うーん。

スク東先生:なるほど,悩んでしまいしたか。じゃあ,質問しますが,法律審だからということで,逆に全く事実について審理できないとどうなりますか。

そうか,正義に反する結果になりますね。

スク東先生:そうそう。事実が間違っているのに刑罰を発動するのはさすがに,問題です。だから,411条3項がある。

なるほど,そのために必要に応じて事実を調査できることも認めているわけですね。

スク東先生:はい,上告審が法律審ですが,能力的には事実もできるわけです。ただ,訴訟経済などから,基本的に法律審であると整理すると本肢も解けるでしょう。

そうですね。よくわかりました。

スク東先生:なかなか,細かいことは抑えきれません。肢を検討する際は,こんな感じで,大きなところで知識を整理しましょう。それでは,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また来週お楽しみに。

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刑事訴訟法・令和3年第26問肢エを考えてみよう 

【前回のあらすじ】

刑法の令和3年第26問肢ウの検討をしました。本日は肢エです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:なるほど、そうですか。寒くなってきたので体調には気を付けましょう。それでは、早速、肢を検討しましょう。予備試験令和3年第26問肢「エ.大審院の判例と相反する判断をしたことが適法な上告理由となることはない。」です。

結論は、どうですか。

誤ってます。

スク東先生:そうですね。どうしてでしょうか。

条文です。

スク東先生:なるほど、確認してみましょう。

第405条
高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
1.憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
2.最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
3.最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

第405条3項です。

スク東先生:確かに、あっていますが・・・。

はい、ただ条文は本番では見れません。

スク東先生:そうですよね。ということで、大枠で整理することになります。
上告審(最高裁判所)は、過去の判例の解釈の統一(法解釈の統一)(第405条2項・3項)も役割であることは、前回も確認しました。

はい、ということは、大審院の判例も運用されているということでしょうか。

スク東先生:そうです。実際、基本書や資料で大審院の判決も載っているものありますよ。

なるほど、「大判」と書いてあるものですね。

スク東先生:はい、そこで、大審院の判例と相反する判断をしたときは、法解釈の統一図る必要があるために上告理由となります。

大枠から判断することが大事なんですね

スク東先生:そうですね。細かいことを抑えようとしてもすぐ忘れてしまいます。そうならないよう、大枠から考える訓練しましょう。
はい、今日は、こんなところでキリがいいので、終わりしましょう。この続きは、また、来週お楽しみに。

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刑事訴訟法・令和3年第26問肢ウを考えてみよう 

【前回のあらすじ】

刑法の令和3年第26問肢イの検討をしました。本日は肢ウです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:なるほど、それでは、早速、肢を検討しましょう。予備試験令和3年第26問肢「ウ.単なる量刑不当は適法な上告理由に当たらないが,刑の量定が甚しく不当で,原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認められることは適法な上告理由となる。」です。

結論は、どうですか。

誤ってますね。

スク東先生:なんでですか。

これも、条文ですね。

スク東先生:なるほど、確認してみましょう。

第405条
高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
1.憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
2.最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
3.最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

(原判決破棄の判決)
第411条
上告裁判所は、第405条各号に規定する事由がない場合であっても、左の事由があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
1.(略)
2.(略)
3.判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
4.(略)
5.(略)

411条をよーく見ると、上告裁判所は、第405条各号に規定する事由がない場合を前提としてます。

スク東先生:そうですね。したがって、上告理由にはなりません。

うーん、やっぱりよくわかりません。

スク東先生:そうですよね。結局、大枠で整理するべきでしょう。上告審(最高裁判所)は、違憲判断を行う終審裁判所(憲法81条)です。他には、過去の判例の解釈の統一もあります(法解釈の統一)(第405条2項・3項)が上告理由は限られてます。

なるほど、そうですね。

スク東先生:はい、上告審は、基本的に法律審(事後審)です。ここからも、事実に関しては、上告理由にならないと判断できるでしょう。

やはり、大枠ですね。

スク東先生:そうですね。大きな方向性を抑えましょう。あと、411条3号の意味もこの機会に確認したいです。

そうですね。さすがに、法律審だからといって、正義に反するような重大な事実誤認を放置するわけにはいきません。

スク東先生:はい、刑事裁判制度の全体の信用にも影響がありそうです。そこで、411条3号で職権で判決を破棄できます。

最高裁判所が、最終的に重大な判断を下せるのは、一般の感覚になじみます。

スク東先生:そうですね。上告審が法律審なのは、訴訟経済(効率)の問題です。ですので、重要なときは、最高裁判所も処理できると押さえておきましょう。

最高裁判所の裁判官も、数が限られてますからね。

スク東先生:はい、そこも踏まえて刑事訴訟法条文が設計されていることはイメージしておきましょう。それでは、今日は、この辺りで終わりします。
この続きは、また、来週お楽しみに。

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