予備試験28年1問(民法)肢エを検討する 第5回 97条(契約の解除と契約の申込みの違い)

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年1問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第1問【司法試験28年3問】(民法)肢「エ.Aが隔地者Bに対し契約解除の通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約解除の効力は生じる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

正しいですね。

なるほど,あってますね。

東花子さん

昨日検討した97条で処理できると思います。

そうですね。改めて確認してみましょう。

(隔地者に対する意思表示)
民法第97条
1. 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2.隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

確かに,97条2項で「行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」とありますので,解除の意思表示は,相手方知っていても効力は発生しますね。

花子さん

はい,確かに意思表示の効力が発生する到達時点です。したがって,権利能力や行為能力があることが望ましいです。しかし,それがなくなった場合でも表意者の意思表示を尊重する規定だと思います。

そうですね,昨日も,同じことを確認しました。ですので,解除の意思表示は,到達時に効力が生じることになります。
結論としては,概ね問題ないのですが,解除の場合は,契約の申込みにあった525条の適用はないですね。これは,なぜだか分かりますか。

東花子さん

うーん,解除の場合は,契約の申込みと違って,一方的な意思表示で契約の効果が確定することにポイントがあるように思います。

そうですね。昨日の契約の申込みの議論を良く理解されていると思います。(契約の申込みの詳細はこちら
申込みの場合は,相手方の承諾がないと契約が確定しないので修正を図る余地があるという話でした。
今回の場合は,契約の申込みとは明らかに利益状況が違いますね。

考えている

そう思います。ですので,表示を有効にして取引の安全や法的安定性を図るべきかと思います。

なるほど,確かに相手方は「知っているので」,考え方によっては取引安全上の保護の要請は低いとも思えます。しかし,契約の効力を相手方の善意・悪意でバラバラにすると法的安定性の上で問題が生じますね。

花子さん

はい,ですので,一律に取扱っているのだと思います。

そうですね,ここまで意味付けができれば,勘違いも少なくなります。表面的に押えると,どうしても混乱してしまいますね。逆にイメージで押えれば,利益状況の違いでキチンと判別できます。ぜひ,普段の勉強でも,心がけて見てください。

では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験28年1問(民法)肢ウを検討する 第4回 97条と525条

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年1問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第1問【司法試験28年3問】(民法)肢「ウ.Aが隔地者Bに対し契約申込みの通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約申込みの効力は生じる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

誤っていますね。

なるほど,あってますね。

東花子さん

たしか,条文があったような気がします。

そうですね。確認してみましょう。

(隔地者に対する意思表示)
民法第97条
1. 隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2.隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

(申込者の死亡又は行為能力の喪失)
民法第525条
第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。

確かに,97条と525条を組み合わせると,知っていた場合は契約の申込みは効力を生じないとなりますね。

東花子さん

そうですが,非常にごちゃごちゃして混乱してます。

非常に,その気持ちわかります。こういう時は,1個ずつ整理すると良いでしょうね。まず,97条から考えてみましょう。
どう考えますか。

東花子さん

はい,隔地者への意思表示は,到達した時から効力が発生するのが原則です(97条1項)。

そうですね。では,97条2項は,なぜ規定されているのでしょうか。

考えている

うーん,意思表示の効力が発生する到達時点で権利能力や行為能力があることが望ましいです。しかし,それが,なくなった場合でも,表意者の意思表示を尊重する規定だと思います。

その通りですね。具体的にイメージできますか。

東花子さん

そうですね。ちょっと,わかりませんね。

そうですか,例えば,病床で最後の意思表示を手紙などでした場合に,相手に到達するまで生きていないと効果が発生しないとするのは,違和感がありませんか。

東花子さん

確かに,それは,そうです。

はい,ですので,97条2項は,その辺りの事実を基に作られていると考えられます。ただ,契約の申込みの場合,相手方知っているときは,525条で修正されておりますね。

考えている

そうなりますね。

どうして,修正されているのでしょうか,わかりますか。

東花子さん

うーん,契約の申込みの場合は,相手方の承諾がないと法律効果が確定しないので,その点が関係するのしょうか。

おお,良い視点ですね。いつまでも,効果が確定しないと利害関係人が困ります。
また,時期的に死亡,行為能力喪失の少し前の意思表示なので,表意者に不利な契約の申込みがなされている危険もあります。
このような理由により,意思表示の効果を失わせる必要性が一定程度あります。

考えている

なるほど,表意者が弱っているので,変な契約の申込みがなされている危険も考えられそうですね。

はい,この辺は適宜,自分なりに意味づけをして条文を押さえると良いと思います。ただ,当然に効力がなくなるのは,申込みを受けた者の契約締結に対する期待が害されます。
そこで,法律は,525条で相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合に,効力が生じないとなっておりますね。

花子さん

そうですね。相手方が知っていれば,取引の安全上も保護の必要性が低いですからね。良くわかりました。

はい,非常にごちゃごちゃしますが,この肢は,こんなところで良いでしょう。

難しいところは,イメージをもって整理して検討すると良いと思います。

では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験28年1問(民法)肢イを検討する 第3回 民法98条の2

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花子さんは,予備試験28年1問(民法)肢イを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第1問【司法試験28年3問】(民法)肢「イ.AがBから契約解除の意思表示を受けた時にAが成年被後見人であった場合,Aの成年後見人CがBの契約解除の意思表示を知るまで,当該契約解除の効力は生じない。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

正しいですね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

たしか,条文があったような気がします。

そうですね。確認してみましょう。

(意思表示の受領能力)

第98条の2
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者又は成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。

確かに,98条の2を参照して検討すると,Bが成年被後見人ですので,相手方Aの解除の意思表示は,Aの成年後見人Cが知るまで,当該契約解除の効力は生じないことになりますね。
結論としては,正しいのですが,本番は条文が見れませんので,なぜかを説明してもらえますか。

考えている

そうですね,成年被後見人に意思表示しても,無駄なので相手方の意思表示が無効になるように思いました。

そうですか?何か今,おかしなことを東さんはおっしゃいましたよ。わかりますか。

東花子さん

そうですか,気づかなかったです。

なるほど,相手方の意思表示は,未成年者や成年被後見人に行っても対抗できないだけで,表示そのものは有効ですよ。
98条の2でも「対抗できない」とありますでしょ。

考えている

確かに,そうです。細かくてわかりませんでした。

いやいや,ここは重要なところなので絶対に気を付けたいところです。未成年者や成年被後見人は受領能力がないだけです。相手方は普通に意思表示しているので有効ですよ。
イメージとしては,そうですね。客観的には相手の声はでているのですが,受け手が耳をふさいで聞こえなかったということを想定すると良くわかりますよ。

東花子さん

なるほど,確かに相手の声そのものはでてますね。だから表示は有効であると。

そうですよ。ですので,98条の2ただし書で,「その法定代理人がその意思表示を知った後は、この限りでない。 」あるのも,受領できる人に届けば,客観的に見て,有効な意思表示が相手に到達したといえるからですね。

東花子さん

そうか,非常に良くわかりました。あと,未成年者に受領能力がないのは,政策的に見て未成年者の保護の必要性が高い。成年被後見人は,事理弁識能力を欠くものだからでしょうか。

そうですね,よく考えられていると思います。そこまで,分かれば,被保佐人と被補助人は受領能力があることも気づけます。これらの者は,事理弁識能力は一様ありますからね。

東花子さん

確かに,著しく不十分(被保佐人)と不十分(被補助人)なので,事理弁識能力がある言えばありますからね。

はい,この点も勘違いしやすいところなのです。意味も含めて押さえておいてください。

この肢は,こんなところで良いでしょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験28年1問(民法)肢アを検討する 第2回 民法9条ただし書

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東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第1問【司法試験28年3問】(民法)肢「ア.成年被後見人であるAがBから日用品を買い受けた場合,Aが成年被後見人であることをBが知らなかったとしても,Aの成年後見人Cは,当該日用品の売買契約を取り消すことができる。」を検討していきます。

この肢は,どうですか。

考えている

誤ってます。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

たしか,条文があったような気がします。

そうですね。確認してみましょう。

(成年被後見人の法律行為)
民法第9条
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

確かに,9条ただし書をあてはめた通りですね。結論としては,正しいのですが,本番は条文が見れませんので,なぜかを説明してもらえますか。

東花子さん

うーん,単純に9条ただし書にあたる行為を取消すことができると,成年被行為人が,社会生活を行う上で必要な取引もできなくなる恐れがあり,かえって問題だと思いました。

そうですね。成年被行為人も人なので,社会生活を送っております。
ですので,取引が全くできなければ困ってしまいます。そこで,9条ただし書がありますね。

東花子さん

はい,条文は抽象的に書いてありますが,具体的に考えると非常に当たり前の結論のように思いました。

おお,いいですね。その感覚があれば,わざわざ覚えなくていいのでとても良いですね。
後は,経済的にも日用品は安価なものが想定できます。ですので,そこまで成年被行為人が日用品の取引で害されないというのも説明としてありうると思います。

花子さん

確かに,そのような側面もあると思いました。大変よくわかりました。

はい,この肢は,こんなところで良いでしょう。

改めてですが,具体的なイメージを持って勉強すると,非常に条文も理解しやすいです。ぜひ,普段の勉強にも取り入れてください。では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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予備試験28年1問(民法)を検討する 第1回 導入編

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花子さんは,予備試験27年第1問から第15問の検討を終えました。今日からは,予備試験28年1問【司法試験28年3問】(民法)を検討していきます。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。調子はどうですか。

花子さん

いい方ですね。今日からは,新たにスタートだと思って少し張り切ってます。

そうですか,それはいいことですね。まあ,張り切るのはいいですが,後で息切れしないようにしてください。長丁場なので,確実に検討していきましょう。
早速,今日からは,予備試験28年1問【司法試験28年3問】(民法)です。では,問題はこちら

予備試験28年1問【司法試験28年3問】(民法)
意思表示に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

  • ア.成年被後見人であるAがBから日用品を買い受けた場合,Aが成年被後見人であることをBが知らなかったとしても,Aの成年後見人Cは,当該日用品の売買契約を取り消すことができる。
  • イ.AがBから契約解除の意思表示を受けた時にAが成年被後見人であった場合,Aの成年後見人CがBの契約解除の意思表示を知るまで,当該契約解除の効力は生じない。
  • ウ.Aが隔地者Bに対し契約申込みの通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約申込みの効力は生じる。
  • エ.Aが隔地者Bに対し契約解除の通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約解除の効力は生じる。
  • オ.Aが隔地者Bに対し契約承諾の通知を発した後,Aが行為能力を喪失した場合,Bがその事実を知っていたとしても,当該契約は成立する。

1.ア イ 2.ア ウ 3.イ エ 4.ウ オ 5.エ オ

東花子さん

うーん。なるほど,意思表示に関する問題ですね。特に,隔地者に対する意思表示は,ごちゃごちゃして,難しかったように思います。

そうですよね。皆さん,混乱しがちなところです。でも,論理的に考えれば,しっかり理解できますよ。この機会に,確認していきましょう。
では,早速,肢アから検討しようと思ったのですが,例によって,時間がかかりそうなので,ここまでといたします。
それでは,また,明日。お楽しみに。



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