【前回のあらすじ】
前回は,民法司法令和5年5問肢エを検討しました。
その際,結論はでたのですが,なぜ転得者も含むのか,その点について,
あらためて考えることになりました。
うまく理解できるでしょうか?
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:そうですか。気張らずコツコツやっていきましょう。
では,早速,問題の検討してきましょう。
民法司法令和5年5問肢エです。
「エ.AとBとが通謀してA所有の甲土地をBに売買する旨を仮装し,Bへの所有権移転登記がされた後,Bが甲土地をCに売却し,更にCが甲土地をDに売却した場合において,CがAB間の仮装を知っていたときは,DがAB間の仮装を知らなかったとしても,Aは,Dに対し,AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができる。」
(虚偽表示)
第94条
1.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2.前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
スク東先生:前回で,94条2項の第三者に転得者が含まれるとなるのは,なぜかという議論になりました。意味を整理するのが宿題でしたね。整理してきましたか?
スク東先生:なるほど,方向性としては,間違ってはいないです。ただ,表現代理(110条)も趣旨が権利外観ですが,第三者は直接の相手方のみとしております。したがって,もう少し考えたいですね。
スク東先生:考え込んでしましたか。そうしたら,少し詰めていきましょう。趣旨が,権利外観といっておりましたが,どういう要件が具体的に必要ですか。
スク東先生:いいですね。ポイントをしっかり押さえております。それをもとに,94条2項のケースと表見代理ケースを考えてみたいですね。違いがわかりますか?
スク東先生:そうそう。そこまでくれば,方向性はわかります。登記の外観であれば,転得者も信じうる。そこで,取引の安全のために保護すべきという説明になります。
スク東先生:その通り!!結局,虚偽の外観を具体的に考えると方向性見えてきます。
スク東先生:そうですね。普段勉強するときも,表面的なことにとどまるのではなく,具体的にイメージをして押さえることが大事です。ひと手間工夫する感じでしょうか。ぜひ,その意識をもって勉強していただければと思います。ということで,キリがいいので,今日はこの辺りにします。この続きは,また来週お楽しみに。