刑法 予備試験令和5年第12問肢3を考えてみよう

【前回のあらすじ】

前回は,刑法予備試験令和5年第12問肢2を検討することにしました。
次は,肢3です。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:そうですか。少し暖かくなってきましたかね。ただ,体調管理には,気を付けましょう。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

刑法予備試験令和5年第12問肢3です。

「3.共犯者が被告人となっている詐欺被告事件に証人として出廷し、証言拒絶権を行使せずに宣誓して自己の犯罪事実に関して虚偽の陳述をした場合、同証人には自己負罪拒否特権があるから、偽証罪は成立しない。」

正解はどうでしょう。

誤りです。

スク東先生:なんででしょう。

判例があるようです。(最決昭28.10.19)

スク東先生:ふーん,それだと,ただの覚えていているだけです。どのあたりが,ポイントになるでしょう。

えっと,偽証はしているので,問題文にあるように「自己負罪拒否特権」との関係で問題になるように思います。

スク東先生:そうですね。いいと思います。「自己負罪拒否特権」という,馴染みにない言葉がでてきましたが,どういう意味でしょう。

はい,刑事責任を問われる自己に不利益な供述を許容されない権利です。

スク東先生:いいですね。こういう,わからない言葉は,検索するなり調べるなりされるとよいでしょう。本件の場合,「証言拒絶権を行使せずに宣誓して自己の犯罪事実に関して虚偽の陳述をして」ます。こういうことが防御権として認められるか,というのが問題意識ですね。

なるほど,共犯者が被告人となっている公判に証人として出頭しております。嘘の発言をするのも,ある種やむを得ないように思うのですが・・・。

スク東先生:そうですね。だから偽証罪を問うのは問題ではないかという疑問点が生じます。しかし,結論は違います。判例はそのように考えていないようです。どうしてでしょう。

嘘をつくことを大手を振って認めると,誤判のおそれもでてきますね。保護法益である国家の司法作用が害されるということでしょう。

スク東先生:いいですね。自己負罪特権は,自己の不利益な供述は許容されないということまでです。被告人であれば黙秘権,証人出れば,証言拒絶まででしょう。

はい,そうですね。偽証罪に問えないと嘘をついてもいいとなりかねません。そこを積極的に認めるのはまずいと思いました。

スク東先生:そうですね。気持ちはわからなくはないですがね。この機会に整理ください。これで,検討は終わりました。本日はこの辺りにしようと思います。この続きは,また来週お楽しみに。



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