刑法 予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢エを考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑法予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢ウを検討しました。
次は,肢エです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。だいぶ寒くなってきましたねー。

スク東先生:そうですね。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

刑法予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢エです。

「エ.過剰避難が成立する場合,情状によって,その刑を減軽することはできるが免除することはできない。」

正解はどうでしょう。

誤っている。

スク東先生:なんででしょう。

えっと,条文ですね。(37条1項ただし書)

スク東先生:なるほど,確認しましょう。確かに,そのように条文にあります。

刑法37条(緊急避難)
1.自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。 ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を軽減し、又は免除することができる。
2.(略)

ただ,忘れますね。なにか意味付けが必要でしょうか。

スク東先生:そうですね。答えをやみくもに覚えることは普通出来ません。少しでも何か考えておきたいです。

なるほどー,うーん。

スク東先生:なるほど,気持ちはわかりますが,難しく考えすぎもよくないです。そうだなー,こういうときは,大枠から行きたいです。過剰避難の法的性質ってなんでしょう。

違法性減少および責任減少です。

スク東先生:そうですね。いろいろ説もありますが,違法性,責任がともに減少するで大丈夫でしょう。緊急避難は,違法性阻却事由です。そこと比較すると,過剰避難の場合,阻却までは無理だが,減少は認められると理解できそうです。また,批判可能性も減少すると考えられそうですね。

はい,緊急時に過剰に避難することを,責めるのも少しかわいそうという感じはしますからね。

スク東先生:いいですね。そんな感じで意味をとっていただければいいと思います。ただ,減少に関しては,それでいいんですが,情状(任意)であることと,免除についても考えたいですね。

うーん。結局,違法性とか責任というのは,個別的な判断ですよね。実質を考慮したいわけです。そうすると,ケースバイケースで減少するかしないか,または免責まで,実際の状況を見て判断したいということでしょうか。

スク東先生:そうですね。さすがに,犯罪が成立しないとするのは,緊急避難と変わらないのでまずいですね。それ以外ということで,ケースバイケースで調整できるということなのでしょう。

はい,必要的減免だと,被害者にとって酷なケースもあると思いました。

スク東先生:確かに,実際の場面をイメージすると任意という点がしっくりくるでしょう。こんな感じですかね。ここで何がいいたいかというと,やみくもに覚えることはできません。ただ,やった以上,忘れたくもない。その際の苦肉の策として,いろいろ考えてみるということです。

なるほど,自分なりになってみることが大事なんですね。

スク東先生:そうですね。とにかく工夫すると経験が残るので,知識の定着率がアップするはずです。覚えるための仕掛けをしていくわけです。そういう意味では今日のやりとりも一例にすぎません。こんな感じでやると残るではないかという提案になります。ぜひ,いろいろ考えてみていただけらばと思います。それでは,今日も時間となりましたので,この辺りで終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。



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