刑法 予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢ウを考えてみよう

【前回のあらすじ】

刑法予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢イを検討しました。
次は,肢ウです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあかなー。

スク東先生:そうなんですね。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

刑法予備試験令和5年第5問(司法試験令和5年第12問)肢ウです。

「ウ.緊急避難における現在の危難は、危難が現に存在している場合のみならず、間近に押し迫っている場合も含む。」

正解はどうでしょう。

正しいです。

スク東先生:なんででしょう。

えっと,判例があるようです。(大判昭8.11.30)

スク東先生:ふーん。

なるほど,結論よりも理解が大事ですね。条文との関係で,問題になると思います。

スク東先生:いいですね。確認してみましょう。

刑法37条(緊急避難)
1.自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。 ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を軽減し、又は免除することができる。
2.(略)

確かに,37条1項には,「現在の危難を避けるため」とあります。したがって,言葉からすると,間近に押し迫っている場合は含まれないとも読めますね。

スク東先生:そうですね。現に危難は生じていないですからねー。

はい,ただ,間近に押し迫っている段階で避難の必要性があります。そこで緊急避難が成立しないのは,避難したものにとって酷のように思います。

スク東先生:はい,自然災害など,現に危難が生じてからだと間に合わない可能性がありますからね。ということで,間近に押し迫っている場合も含む必要性があることは明らかです。

あとは,利益状況ですか。「現在の危難を避けるため」とあるのは,緊急時において避難をすることは社会的相当な行為といえるからでしょうね。そう理解すると,「間近に押し迫っている」というもの含むといえると思いました。

スク東先生:そうですね。緊急避難は違法性阻却事由です。あとは,細かいことよりは,なんとか条文を読み込んでつじつまを合わせている感じを出せばよいでしょう。

わかりました。

スク東先生:はい,それでは,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また来週お楽しみに。



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