刑法・司法試験令和4年第17問(予備試験令和4年第8問)肢1を考えてみよう その2

【前回のあらすじ】

刑法司法令和4年17問(予備試験令和4年第8問)肢1を検討することになりました。
成立する犯罪はわかったのですが,そこを包括一罪とするのは若干,論理の飛躍があるようです。
この機会に整理していきましょう。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。相変わらず,暑い日が続きますが,早速前回の続きやっていきましょう。

はい,よろしくお願いします。

スク東先生:はい,改めて,問題はこちら。

刑法司法令和4年17問(予備試験令和4年第8問)肢1です。

「1.甲は、Aから財物を詐取した上で当該財物の返還を免れるためにAを殺害することを計画し、計画どおりにAから財物を詐取し、その後、殺意をもってAの胸部をナイフで刺して殺害し、これにより、財物の返還を免れるという財産上不法の利益を得た。甲には、詐欺罪と強盗殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。」

スク東先生:前回から,少し罪数の関係整理できましたか。

まあ,一応。

スク東先生:なるほど,よかったです。じゃあ,一緒にいろいろ整理してみましょう。まず,今回は,詐欺罪と強盗殺人罪が2つ成立するわけですが,通常,どのあたりから疑っていきたいですか。

併合罪(45条)です。

スク東先生:そうですね。2つ以上の行為があって,それぞれ犯罪が成立してれば,併合罪が一般的です。しかし,正解は違います。
どう考えていけばいいでしょう。

そうですね。今回の事例は,計画がある。その上で,同一被害者の財産に一連の行為が向けられている点がポイントだと思いました。

スク東先生:はい,事案の特徴をよく把握しています。したがって,詐欺罪と強盗殺人罪の間には,罪質として関連性があるといえそうです。
また,時間的に,両罪は離れていますね。

はい,だからあくまでも,別罪として犯罪を成立させる必要性があります。

スク東先生:そうですね。このような事実を押さえて,包括一罪と判断しましょう。

なるほど,事案をよく見て検討しないといけないから大変ですね。

スク東先生:はい,そういった意味では,本番は落ち着いてよく読むということが大事だと思いました。また,少し自信がなかったら,回答は保留するのも一つ手だと思います。

はい,わかりました。

スク東先生:ぜひ,そうしてください。それでは,今日はこの辺りで終わりにします。この続きは,また来週お楽しみに。

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