刑法総論・不可罰的事後行為を考えよう(予備24ー8肢エを題材にして 第3回)

前回のあらすじ

予備24−8エ.自動車を盗み、これを売却した【牽連犯】を検討しました。結論をいいますと、売却した行為は、窃盗とは牽連犯となりません。この場合は、不可罰的事後行為になりますが、その意味について改めて考えることになりました。

では、はじまり、はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

普通です。

スク東先生:ふーん、そうですか。それは何よりです。では、早速、今日もやっていきましょう。問題も確認しておきます。

予備24−8 次のアからエまでの各事例を判例の立場に従って検討し、成立する犯罪が【】内の罪数にある場合には1を、【】内の罪数にない場合には2を選びなさい。

エ.自動車を盗み、これを売却した【牽連犯】

結局、前回、窃んだ行為と売却した行為は、一連の流れと評価できないことを確認しました。

考えている

はい、ですので科刑上一罪としての牽連犯ではないという話でしたね。

スク東先生:はい。そして、別行為と捉えると、むしろ、盗んだ行為(窃盗)と売却した行為(占有離脱物横領罪)は、併合罪ではという疑問をなげかけてました。

東花子さん

そうでした、そうでした。しかし、売約行為は不可罰的事後行為です。これが、なぜというのが質問でしたね。

スク東先生:いいですね。ポイント押さえてますね。それで結局、整理できましたか?

花子さん

はい、占有離脱物横領罪は、窃盗罪で評価されているっていう話だと思います。だから、窃盗罪のみ成立する。

スク東先生:そうですね。ただ、それは不可罰的事後行為の意味を言い換えているだけです。もちろん、結論は、あっているでしょうが、なぜ、そう考えるかが大事ですよ。

東花子さん

うーん。

スク東先生:なるほど、難しく考えすぎちゃいましたね。単純に、窃盗した自動車を売却した行為に犯罪成立させて、併合罪となると問題が生じますよ。

東花子さん

えっ、そうなんですか。なんで・・・。

スク東先生:なるほど、この辺りは、ちょっとイメージしないと難しいですかね。
実際、自動車を盗むのは、どうしてなんでしょう。
もちろん、いろいろ理由があるでしょうが、自分で自動車を使い続けると防犯なんかの関係ですぐ捕まっちゃいませんか?

東花子さん

なるほど、そうですね。

スク東先生:まあ、最近は世の中な人がいろいろいるので、なんともですが、通常、犯人は捕まりたくないはずなんです。ただ、それでも犯罪するということは、何か達成したい犯罪目的があるはずなんです。

花子さん

そうか、今回の場合、最終的に売ってお金にする。なるほど、犯人はお金がほしかったんだ。

スク東先生:いいですね。お金が欲しければ、最初からお金を盗めばよいと思ってしまうのでしょうが、お金は、貴重品なので厳重に管理されているはずです。
そうすると、犯罪成功の確率が落ちますね。大金であれば、なおさらです。

東花子さん

なるほど、なので、自動車なんかの物を盗んでお金にしようとすることを思いつくわけだ。

スク東先生:そういうこと!!結局、物を盗む目的に、そのあと売却してお金にかえるという話はよくある話なんです。盗品等有償譲受罪の存在も、まさしくそれを象徴してますね。
なお、これが牽連犯ではない理由は、前回確認した通りです。詳細はこちら

東花子さん

そうか、盗品等には、犯罪を助長する性格があるっていう話ありますものね。

スク東先生:はい、ですので、仮に本件のような売却行為に犯罪を成立させると、物が盗まれたときに多くのケースで、他の罪も成立することになります。

考えている

ふーん、そうなると捜査機関は自動車など物が盗まれる度に、余罪を見つけて実質、犯人を必要以上に重く処罰できちゃうわけだ。

スク東先生:そうです。ただ、それは刑が重くなりすぎて問題。そこで、売却行為に犯罪を成立させないとする必要がある。

東花子さん

なるほど、それで不可罰的事後行為ですね。

スク東先生:はい、こう見てみると、世の中の道理に合わせた感じで、理論的な説明がされていることがよくわかります。

考えている

そうですね。答えは知っていたのですが、状況を理解するとよりわかると感じました。

スク東先生:よかったです。こんな感じで考えながら勉強すると、ちょっとは、楽しくなるはずです。
そうすると記憶も定着しやすいですよ。

花子さん

確かに、そう思いました。

スク東先生:それで、不可罰的事後行為について、理屈をしっかり詰めていきたいのですが、なんか前提の状況を整理するだけで、おなか一杯な感じになっちゃいましたね。

東花子さん

そうですね。では、不可罰的事後行為の理屈は、次回詰めていく感じになりますか?

スク東先生:ええ、そうしたいと思います。せひ、東さんもそれまでにしっかり整理しておいてくださいね。それでは、今日も時間となりましたのでこの辺りにします。では、また来週お楽しみに!!

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