こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年4問(民法)肢「ア.甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し,AからBへの所有権移転登記がされた後,Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において,その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは,Aは,Cに対し,Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。」を検討することになりました。その過程で,94条2項の第三者について意味を確認することになったのでした。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,昨日の続きやっていきましょう。
忘れないように,94条2項の条文も載せておきます。
(虚偽表示)
民法第94条
1.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2.前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
判例は,94条2項の第三者について,「虚偽表示の当事者または一般承継人以外の一般承継人以外の者であって,その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者」としているようですが,あらゆる第三者とすると社会通念上,問題となるのはなぜか,わかりましたか。
そうですか。では,一緒に考えていきましょう。当事者以外のあらゆる者を第三者と素直に読むと,誰が困るのでしょうか。
いいですね,分かっているじゃないですか。そしたら,あらゆる第三者を保護したら,本人が害されるといえば良いんじゃないんですか。
なるほど,気持ちはわかりますが,物事を少し抽象的にとらえすぎてますね。
確かに,本人は通謀して虚偽の外観を作出しているので,取引秩序上望ましくないことをしてますが・・・。
なんでもかんでも,その責任を本人負わせるのは酷ではありませんか。
うーん,そうですか。じゃあ,極端な例をしますが,AさんがBさんの大事な物を窃取しました。その結果,Bはショックで死亡しました。この場合,Bの死ついて,一般にAに責任を問えますかね。
そうですね。まあ,この例は,現実的ではないかもしれません。しかし,確認したいのはそこではなく,行為者に責任を取らせるためには,一般にその行為と結果との間に関係性(因果性)が必要ということです。
その通りです。これを踏まえて,もう一回,今回の民法の例を考えるとどうですか。
いいですね。本人から見て,自分の行為と関連性(因果性)がない部分までも責任を取らせるのは行き過ぎです。
このことから,第三者の要件を絞る必要性が,現実的にあります。
結論や社会的事実から見ると,そう考えられます。ここで確認したいのは,表面的に字面を追っていても,今の点はわからないということです。
はい,その結果,意味がわかってないので,すぐに忘れることになります。理解をするには,実際の目線に立つことがとても大事ですね。
その通りです。94条2項の趣旨は,権利外観とされてますが,本人が帰責性を持って作出した外観と第三者が信じた外観が一致していることが必要です。
はい,ぜひ押さえておいてください。これで94条2項の意味が十分,確認できました。これを踏まえて今回の差押債権者はどうなるか分かりますか。
そうですね。最後の一押し考えてもらいましょう。では,今日も時間となりましたので,ここまでとします。この続きはまた明日,お楽しみに。