こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年4問(民法)肢「ア.甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し,AからBへの所有権移転登記がされた後,Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において,その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは,Aは,Cに対し,Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。」を検討することになりました。正解はでたのですが,その過程で,94条2項の第三者について意味を確認することになったのでした。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,昨日の続きやっていきましょう。
94条2項の第三者の意義わかりましたか。一応,条文も載せておきますね。
(虚偽表示)
民法第94条
1.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2.前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
なるほど,良く調べられました。ただ,それを正確にいったところで,忘れてしまっては,本番じゃ使えませんね。
そこで,意味を考える必要がありますが,一つ言えることは,判例は94条2項の第三者の範囲を限定してますね。
これは,どうしてでしょう。
そうですか。そういうときは,文理上の結論(第三者をあらゆる第三者と読む)を論理的に貫いてでてくる,社会の問題意識を考えたいですね。
その通りです。勉強する人は,やたら解釈をしたがるのですが,文理から離れた解釈なんて,なるべくしない方がいいわけです。法律は,国会(憲法41条)が作ったもので民主主義の正当性があるものなんですから。
いいですね。したがって,仕方ないから解釈して必要最小限で調整しているという感じを出さないといけないんです。
法律の記載で,物事が丸く収まれば全ていいんですが,社会は複雑です。
したがって,どうしても素直に条文を当てはめただけでは収まらないことがあるわけです。
そうですね。あと実際の事件は目の前で起きているのに,悠長に構えてられないわけですよ。
そこで,法文上が読める範囲で調整していく感覚を出すことが大事です。
その通りです。文理で解決できれば,世の中一番いいわけですから。
それを分かっていないと,知っている論点だ,勉強したこと書こうなんて,いきなり解釈による修正からバッといっちゃう。
はい,もちろん実際の試験では,時間の制約等があります。したがって,争いがないことを丁寧に広げるのは冗長になります。しかし,方向性が分かっているのと,分かっていないとでは,表現にもかなりの違いでると思うのです。
その通りです。今回は,少し抽象論に入りましたが,大事な話なので指摘しました。
まあ,こんなところで話を戻しますが,94条2項の第三者を,あらゆる第三者とすると社会通念上問題があります。どうです?わかりますか。
そうですね。少し,考えてもらいましょう。ここが分かれば,今回の差押債権者はもちろん,他の94条2項に関する第三者について,キチンと判断できるようになります。ぜひ,基本をしっかり押さえていきましょう。
では,今日も時間となりましたので,ここまでとします。この続きはまた明日,お楽しみに。