こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年5問(民法)肢オを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第5問(民法)肢「オ.Aは,甲をBに賃貸していたところ,Bが甲をCに寄託した。その後,BがAに無断で甲をDに売却するとともに,Cに対し以後Dのために甲を占有するように命じた。Dは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,Cによる甲の占有を承諾した。この場合,Aは,Dに対し,甲の返還を求めることができる。」を検討していきます。「甲は,Aの所有するカメラ」です。
この肢は,どうですか。
なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。
そうですね。確認してきましょう。
(即時取得)
民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。
Bは,甲の賃借人なので,処分については権限がありませんね。したがって,Dは,Bから甲の所有権を承継することはできません。
しかし,それは,Dの取引安全を害します。そこで,民法は192条で即時取得を認めて取引の安全を図ってますね。
そうですね。結局,Dは,甲の所有権を即時取得により原始的に取得する。そこで,Aの甲の所有権は,一物一権主義により両立しえないので反射的に消滅する。したがって,Aは,所有権がないのでDに甲の返還を求めることはできないことになりますね。
ただ,これだと淡泊すぎますね。なにか,引っかかることありませんか。
いいですね。わざわざ問題文に事情があるので,そこが重要そうですね。でも,どうして,そこがポイントになるのでしょうか。
なるほど,それは良くありません。結局,占有の取得方法で,占有改定(民法183条)の場合は即時取得が成立しません(最判昭35.2.11)。そことの関係で問題になりますよ。
なるほど,それでは占有改定と指図による占有移転が似ていることを強調すれば,指図による占有移転に対して即時取得が成立しなくなることはわかりますか。
そうですよね。ということは,解答を理解するために占有改定と指図による占有移転の相違点をしっかり押さえる必要があることはわかりますか。
はい,ですので,少し遠回りになりますが,占有改定に即時取得が成立しない理由を押さえた上で,本事例を検討しようと思います。東さんも,この機会に問題意識を押さえていきましょうね。
急がば回れですよ。しっかり,考えていきましょう。では,今日も時間となりましたので,ここで終わりにしたいと思います。この続きは,また明日,お楽しみに。