賃借人がいる建物の所有権の移転と賃貸人の地位の移転(解説編)

こんにちは,今日もスク東先生ブログに来ていただきありがとうございます。
では,早速,本題の方に入ります。

賃借人がいる建物の所有権の移転と賃貸人の地位の移転がなぜ論点になるかを考えていきます。(賃借人には,建物の引渡しがなされています)

<論点になる理由>
結論から申し上げますと,所有権と賃貸人の地位は,別の財産権であるので,所有権の移転の合意には賃貸人の地位を移転するという合意は当然に含まれていないのが原則だからでした。
要は,動産甲の所有権をAB間で売買するときに動産乙の所有権が移らないのと同じです。権利という観念的なものなので分かりにくいのですが,所有権が物権,賃貸人の地位は債権だと考えると内容が全く別物であることが理解できると思います。ここを理解しないと,本番,論点に気付けないのでぜひ,押えてください。

では,所有権と賃貸人の地位は,別物でありながら,この場合は,賃貸人の地位も移転するとされております。それはなぜでしょうか。続いて,解説します。

<不都合性・必要性>
建物所有権のみが,移転してしまうと,建物の新所有権者が建物の賃借人に所有権に基づき建物退去明渡請求した場合に,適法な占有権限を建物賃借人に対抗されてしまう。
すなわち,建物賃借人たる地位は借地借家法31条で第三者効が生じているため(債権の物権化),建物賃借人は,新所有権者にも建物賃借権として適法な占有権限を対抗できることとなる。そこで,建物の新所有権者は,建物の使用権限が建物賃借人に制限されているため,せめて,建物賃貸人の地位を反射的に移転させて,賃料請求ができるとする必要がある。

<許容性>
建物所有権に建物賃貸人の地位は,建物賃借人の地位を保護するため状態債務として付着しているため,建物所有権と建物賃貸人の地位は,一体となって移転する。

以上

ポイントは,論点になる理由を十分に押えた上で,なぜ,原則を修正するのかを指摘しなければなりません。なぜなら,原則からの不都合性がなければ,それで終わりだからです。ここは,重要です。ただ,所有権と賃貸人の地位は,別物なので,法的に整合性を図る必要がある。そこで,付着しているという説明を加えて終了となります。

なお,この後,建物の賃貸人の地位が移転するとして,賃借人の承諾が必要かという論点と,賃貸人として地位を主張するに登記が必要かという論点があります。短答で新所有権者に賃料請求を認めると認定することは,結構,楽なのですが,説明を理論的にやろうとすると大変です。

次回は,建物賃貸人の地位の移転に,賃借人の承諾が必要かという論点を検討していきたいと思います。皆様には,ぜひ,なぜ,そこが論点になるかを考えていただければと思います。

では,暑い日が続きますが勉強頑張ってください。



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