民法・司法試験令和3年第13問(予備試験令和3年第6問)肢オを検討してみよう その1

【前回のあらすじ】

民法司法令和3年13問を検討することになりました。
本日は,肢オです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:なるほど,そうですか。少し暑くなってきましたが,体調管理に気を付けていきましょう。

民法司法令和3年13問肢オです。

「オ.債務の弁済と,当該債務の担保として設定された抵当権の設定登記の抹消登記手続とは,同時履行の関係に立つ。」

正解はどうでしょう。

誤りです。

スク東先生:そうですね。なんでですか?

えっと,判例があります。(大判明37.10.14)

スク東先生:なるほど。ただ,それだと。

ええ,結局,知らなければダメということになります。

スク東先生:そうですよね。まあ,今回は,比較的わかりやすい肢のでそれでも解答はできると思いますが・・・。

はい,実際,過去問にも,出題あるようです。(平24-24肢イ,平29-26肢5)

スク東先生:ただ,やはり,なぜかは,考えておきたいですね。

なるほど,目先の正解も大事ですが,考えるプロセスがもっと大事ですからね。

スク東先生:そうですね。ということで,どうして,弁済が先履行で,抵当権抹消登記が後なんでしょう。

うーん。

スク東先生:なるほど,なんとなくわかっていることを,改めて説明しろっていわれると返って迷いますよね。とてもわかります。
実際に,履行の確実性だけ考えると,債務の弁済をしたと抵当権抹消登記を同時履行の関係にした方がいいですからね。

そうですね。結局,よくわからなくなってきちゃいました。

スク東先生:はい,結論をただ覚えるという話になると,ただ暗記になってしまいます。こういうところも,しっかり理解していきたいです。

はい,いままで流していたことに気づきました。折角なので,一度考えてみたいのですが,いいですか。

スク東先生:いいですよ。っていうか,せひ,そうしてください。そうですね,じゃあその際に,少しだけ,考えてほしいことお伝えしますよ。債務の履行の確実性だけを考えるのであれば同時履行がいいです。ただ,結論は違う。ということは,同時履行だと何か具合からだと思うんですよ。それの辺りをイメージするとしっかり理解できると思います。

わかりました。その辺りを踏まえたいと思います。

スク東先生:はい,ぜひ,頑張って見てください。楽しみにしてます。それでは,この続きは,また来週お楽しみに。

カテゴリー: 民法, 令和3年 | コメントをどうぞ

民法・司法試験令和3年第13問(予備試験令和3年第6問)肢エを検討してみよう その3

【前回のあらすじ】

民法司法令和3年13問肢エを検討しました。前回は,前提知識を確認しました。その上で,本件では特段の事由があるので,消滅しないという結論になるのですが,なぜかを改めて整理することになったのでした。

それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあかな。

スク東先生:そうですか。それはよかったです。とにかく,淡々と続けていきましょう。

前回に引き続き,民法司法令和3年13問肢エです。

「エ.AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後,所有権移転登記がされることのないまま,甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合は,AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても,Cの抵当権は消滅する。」

前回は,時効完成後の第三者の問題と,自己の物でも取得時効が成立すること確認しました。

スク東先生:そうですね。(詳細は,こちら

はい,そして,本件では,特段の事由があるから消滅しないということでした(最判平24.3.16)。このことを確認するのが今回でした。

スク東先生:いいですね。それで,本題,整理されてきました?

いやー,それがよくわからなくて・・・。

スク東先生:なるほど,難しいですからね。では,一緒にやってみましょう。結局,特段の事由の背景には,397条が関係します。

(抵当不動産の時効取得による抵当権の消滅)
第397条
債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。

ふーん,Aには本条が適用されないということでしょうか。

スク東先生:はい,397条が適用されると,抵当権が消滅しますからね。

なるほど,しかし,どうしてしょう。Aは,397条でいう「債務者」でも抵当権の設定者でもないと思うのですが・・・(本件ではB)。

スク東先生:ええ,確かに,その通りなんですが,抵当不動産の第三取得者にも,本条が適用されないという考えがあります。

へえ,話が難しくなってきました。確かに,「抵当不動産の第三取得者」は,「債務者」でも「抵当権設定者」でもないです。それなのに,どうしてなんでしょう。

スク東先生:はい,これに関しては,イメージが大事になります。仮に,「抵当不動産の第三取得者」に397条が適用されると,「抵当権者」(本件C)が害されることになりますよ。

ふーん,確かに,抵当権不動産は,設定者と第三者の取引できますね。抵当権者のコントロールできない事由で,抵当権が消滅するのはまずい。

スク東先生:はい,「抵当不動産の第三者取得者」は,抵当権設定者の立場を承継したと理解すればよいでしょう。

なるほど,それであれば,結論もわかります。

スク東先生:はい,その上で,「抵当権の存在を容認していた」本件の場合,Aの状況が,「抵当不動産の第三取得者」に近いということなんです。

ふーん,確かに「抵当不動産の第三取得者」は,積極的に抵当権の存在を知っています。もちろん本件のBとAには直接取引はありませんが,Aが時効取得した結果,Bの権利が反射的に消滅する関係に立ちます。そう考えると,ABは,物権変動の「いわば当事者」とみれますからね。

スク東先生:そうなんです。そのように整理できれば,判例がいう特段の事由も397条に配慮したと考えられるでしょう。

なるほど,言っていることは,わかった気もするんですが,どう考えても難しいです,これ。

スク東先生:ですよね。だから,避けないといけないんです。結局,今の話も,後知恵です。したがって,今回の話は,あくまでも参考程度でいいと思います。

わかりました。あんまり,難しいことは考えるな。仮にでてきたら後回しにするくらいでいいんですね。

スク東先生:はい,ぜひそうしてください。変に完璧を求めると,まずい方向に行ってしまいます。くれぐれも,気を付けましょう。それでは,今日も時間となりましたので,これで終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。

カテゴリー: 民法, 令和3年 | コメントをどうぞ

民法・司法試験令和3年第13問(予備試験令和3年第6問)肢エを検討してみよう その2

【前回のあらすじ】

民法司法令和3年13問肢エを検討しました。難しい肢ということでしたが,そうもいっていられないようです。コツコツやってみましょう。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:なるほど,そうですか。それは,何よりです。では,早速始めていきましょう。

民法司法令和3年13問肢エですね。

「エ.AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後,所有権移転登記がされることのないまま,甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合は,AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても,Cの抵当権は消滅する。」

肢も改めて載せておきます。

はい,前回難しいという話をしていました。

スク東先生:そうですね。だから,実際は別の肢から解くのが正解なのですが,そうはいっても始まりません。ですので,しっかり検討していきましょう。

わかりました。それで,どこから行けばよいでしょうか。

スク東先生:結局,前提から1つずつ確認していく必要がありますね。まず,本件では,Aが甲土地について,一旦,取得時効が成立した後,Aが登記を具備する前に,Cの抵当権が設定されています。このときに,AC間の法律関係はどうなりますか。

AとCは時効関係後の第三者なので,登記の先後できまります(177条)。Cは登記を具備しているのでCが勝ちます。

スク東先生:はい,いいですね。ここは,前提なので,確認だけしておきましょう。その後,Aは,「引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合」とあります。これは,どういうことを,いっているのでしょう。

なるほど,AはCに抵当権を対抗されてしまう者です。したがって,Cとの関係で,負けていたAがさらに,時効期間を占有したということになります。

スク東先生:そうなりますね。その場合,原則どういう結論になりますか。

はい,永続的事実状態を尊重する必要があるので,Aが抵当権のない土地を原始取得すると思います。

スク東先生:はい,実際,判例(平成24.3.16)も,抵当権存在の容認していたなど特段の事由がない限り,抵当権が消滅するとしています。ただ,この肢は,特段の事由に該当してしまうので,難しいわけなんですが・・・。

そうですね。確か,162条1項には,「他人の物」と書いてあります。そこで,Aは「自分の物」として占有しているわけですから,そもそも取得時効が成立するのかという論点もありました。

スク東先生:おお,よく勉強されてます。ただ,時効制度の趣旨から,自己の物にも取得時効が成立します。ここまでは,整理できました。

なるほど,最後,特段の事由で結論が抵当権が消滅しないにひっくり返るわけですが,いろいろ前提で確認すること多いですね。

スク東先生:そうなんです。だから,難しい肢だと思うんですよ。ただ,1つ1つ積み上げて考えてく姿勢は,どんな問題でも同じです。

ふーん,ようやく,前提がわかってきました。ただ今回の特段の事由なんですが,どう考えればいいでしょうか。

スク東先生:はい,そこが本題なので,しっかり,整理したいのですが・・・・。

ふーん,いろいろ確認したので,この辺りで切るということですね。

スク東先生:そういうこと,ダラダラ話しても,わからない内容になるだけですからね。今回のように複雑であれば,なおさらです。ということで,今日はこの辺りで終わりしましょう。それでは,また来週お楽しみに。

カテゴリー: 民法, 令和3年 | コメントをどうぞ

民法・司法試験令和3年第13問(予備試験令和3年第6問)肢エを検討してみよう その1

【前回のあらすじ】

民法司法令和3年13問肢ウを検討しました。
本日は,肢エです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

まあまあです。

スク東先生:なるほど,そうですか。とにかく,体調管理は気を付けたいですね。それでは,早速始めていきましょう。

民法司法令和3年13問肢エです。

「エ.AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後,所有権移転登記がされることのないまま,甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合は,AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても,Cの抵当権は消滅する。」

正解はどうでしょう。

誤っています。

スク東先生:そうですね。なんでですか?

判例があるようです。(最判平24.3.16)

スク東先生:なるほどですね。ただ,それだと。

はい,例によって知らないと解答できません。

スク東先生:まあ,最悪,この肢がわかなくても「ウ」が正しいと判断できれば,「1.ア ウ」 で正解はできます。

ふーん,確かにそうですが,珍しいですね。正解肢との関係を言うなんて・・・。

スク東先生:はい,実際,この肢は,難易度が高いように思うので・・・。

なるほど。難しい肢の解答はなるべくさける。

スク東先生:そうですね。全部わからないと解答できないという考えは,まず捨てるのが大事です。利益状況や価値判断でわかるところから正解を出す。

わかりました。実際,解く上では,それで大丈夫ですが・・・。

スク東先生:はい,この機会にポイントだけでも考えたいですね。

そうなんです。どの辺から整理すればいいのでしょう。

スク東先生:そうですね。きちんと検討したいのですが,難しい議論になりそうなので,日を改めましょう。試験期間ですしね。短答試験は全てわからなくても大丈夫です。わかりやすい肢で,正解を出すように努めましょう。。それでは,今日も時間となりましたので終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。

カテゴリー: 民法, 令和3年 | コメントをどうぞ

民法・司法試験令和3年第13問(予備試験令和3年第6問)肢ウを検討してみよう

【前回のあらすじ】

民法司法令和3年13問を検討することになりました。
本日は,肢ウです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

普通です。

スク東先生:なるほど,それは何よりです。前回までは,肢を切るための考え方の話をしました。ぜひ,練習してくださいね。
それでは早速,問題の検討を始めていきましょう。
少し空いてしまいましたが,

民法司法令和3年13問肢ウです。

「ウ.Aが甲土地を賃借したが,その対抗要件を具備しない間に,甲土地にBのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aは,この登記がされた後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,甲土地を継続的に用益したとしても,競売により甲土地を買い受けたCに対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することができない。」

正解はどうでしょう。

正しいです。

スク東先生:そうですね。なんでですか?

判例があるようです。(最判平23.1.21)

スク東先生:なるほどですね。ただ,それだと。

はい,結局,知らなければできないことになってしまいます。

スク東先生:そうですよね。どう考えていきましょう。

うーん。細かいことはわかりませんが,AとCどっちを,最終的に保護すべきかという問題になります。

スク東先生:はい,利益状況を考えるのが現実的でしょう。それで,実際どうなりますか。

はい,Cを保護することになります。Aが賃借権を対抗できないという結論が,正しいわけだから。

スク東先生:結論は,そうなんですが,問題を解く際は,答えがわからないはずです。したがって,それじゃ,答えになってませんね。どうして,そのような価値判断になったのでしょう。

うーん。

スク東先生:なるほど,変に考えるとそうなってしまいます。結局,Cは競売により甲土地を買い受けてます。一方で,Aの賃借権は,抵当権に対抗できませんよ。

そうか,そう考えるとCを保護しないと取引上問題ですね。

スク東先生:はい,競売は,担保権者にとって,被担保債権を回収するための大事な手続きです。買受人を保護してやらないと,担保の実効性も落ちることがわかれば,Cを保護する必要性もよりわかります。

はい,だから取得時効とか,一見もっともなことを言ってきたAより,Cを保護したんですね。

スク東先生:そうですね。そう考えると,正解にはたどり着くと思います。

利益状況を踏まえることが大事だということが,わかりました。

スク東先生:はい,わからないときは,あいまいな記憶をたどるのではなく,問題の当時者の立場になってみて,考えてみることが大事です。最初は難しいかもしれませんが,ぜひ試してみてください。それでは,今日も時間となりましたので終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。

カテゴリー: 民法, 令和3年 | コメントをどうぞ