司法試験29年21問(民法)肢イを検討する 第4回 利害関係を有する第三者の範囲(民法474条2項)その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年21問(民法)肢「イ.Aがその所有する土地をBに賃貸し,Bがその土地上にあるB所有の建物をCに賃貸していた場合,Cは,Bの意思に反するときでも,AB間の賃貸借契約における賃料について,Aに弁済をすることができる。」を検討することになりました。474条2項の利害関係にあたるかが問題となるようです。
争点を出して考えることが大事と指摘されましたが,花子さんはできたのでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
条文も載せておきますね。

(第三者の弁済)
第474条
1.債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2.利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

どの辺りを争点にすれば良いかわかりましたか。

考えている

えっと,土地と建物は,別ですね。その辺りの事実から何かそれっぽいことが言えれば良いと思いました。

そうですね。方向性は良さそうです。具体的にどういうことが言えそうでしょうか。

東花子さん

結局,AC間に,直接の契約関係がありません。ですので,利害関係を「法律上かつ直接」の契約関係があるものに限定すれば,CはBの意思に反して第三者弁済ができないと思いました。

その通りですね。どうして,直接の契約関係があった方が良いのでしょう。

東花子さん

えっ,それは良くわかりません。

なるほど,それだとなんとなく説明しているだけだと思うのですが・・・。

東花子さん

確かに,なんでだろう。うーん。

こういう時は,自分であまり難しくしない方がいいです。
結局,直接でないものに弁済を認めることで誰に不利益が生じるかを考えるといいですね。

東花子さん

なるほど,「債務者」ですかね。意思に反しているから。

うーん,そうですかね。確かに,第三者に勝手に弁済されると,債務者に不利益がありそうです。
ただ,この場合「債務者」Bと「第三者」Cには直接の契約関係があります。
契約の当事者としてBは,Cに対して不測の損害を負わせないようにする義務があるはずです。
ですので,「債務者」に配慮して債権者と直接の契約を必要するとするのは,具合が悪いように思います。

考えている

そうか,じゃあ「債権者」しかないですね。

そう考えるのが自然でしょう。実際,債権者と直接,契約関係があれば,債権者と第三者の間に特別関係があります。
この場合に限って,債権者は第三者に不測の損害を与えないように弁済に協力すべきといえそうですからね。

東花子さん

なるほど,良くわかりました。

はい,これでポイントが見えてきました。

東花子さん

そうですね。ただ,判例はこの場合にも「利害関係」があるとしてます。

そうですね。債権者側からみると,この主張も一理ありそうなんですが,違った結論になってますね。

東花子さん

うーん,ちょっと考えていいですか。

ええ,そうですね。時間もちょうどいい頃合いなので,考えてもらいましょう。
方向性としては,474条2項の適用範囲を限定することによる問題を指摘されると良いと思います。
では,今日も時間となりましたので終わりにします。この続きはまた明日,お楽しみに。



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司法試験29年21問(民法)肢イを検討する 第3回 利害関係を有する第三者の範囲(民法474条2項)その1

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年21問(民法)肢イを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年21問(民法)肢「イ.Aがその所有する土地をBに賃貸し,Bがその土地上にあるB所有の建物をCに賃貸していた場合,Cは,Bの意思に反するときでも,AB間の賃貸借契約における賃料について,Aに弁済をすることができる。」を検討していきます。

結論はどうでしょう。

考えている

正しいですね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

判例のようです。(最判昭63.7.1)

そうですね。あと,この判例で関連している条文は,わかりますか。

東花子さん

474条ですね。

その通りです。確認してみましょう。

(第三者の弁済)
第474条
1.債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2.利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。

本件の場合,Cは債務者Bの意思に反して,AB間の賃貸借契約における賃料について弁済しようとしているので,474条2項の問題になります。

考えている

はい,Cが「利害関係を有」するか第三者か否かがポイントになります。

いいですね。問題点がでました。それで,結論はどうなりますか。

東花子さん

結局,Cは「利害関係を有」している第三者にあたりますね。

良く勉強してます。判例もそのように解してますね。
それでは,争点はどの辺りになりそうですか。

考えている

えっ,すいません。判例の結論しか押さえていませんでした。

なるほど,この問題の正誤だけならそれでいいのですが,それだと・・・。

東花子さん

はい,ただ知っているだけですね。わかりました,ちょっと考えていいですか。

そうですね,ぜひ,やってみてください。考えるときは,今回の問題肢の事情をよく読むと良いと思います。
それでは,時間となりましたので,今日はここまでにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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司法試験29年21問(民法)肢アを検討する 第2回 債権質設定後の弁済(民法481条類推適用)

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花子さんは,司法試験29年21問(民法)肢アを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年21問(民法)肢「ア.AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定し,AがBに対してその質権の設定を通知した後であっても,BがAに弁済をした場合には,Bは,Cに対してもその弁済の効果を対抗することができる。」を検討していきます。

結論はどうでしょう。

考えている

誤っていますね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

481条が類推適用されるようです。

なるほど,関連条文をみておきましょう。

(指名債権を目的とする質権の対抗要件)
第367条
指名債権を質権の目的としたときは、第467条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。

(指名債権の譲渡の対抗要件)
第467条
1.指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
2. 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。

(支払の差止めを受けた第三債務者の弁済)
第481条
1.支払の差止めを受けた第三債務者が自己の債権者に弁済をしたときは、差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。
2. 前項の規定は、第三債務者からその債権者に対する求償権の行使を妨げない。

まず,「AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定し,AがBに対してその質権の設定を通知した」点は,367条,467条のことをいってます。

東花子さん

はい,したがって,AのBに対する債権は,Cに質入されてます。

そうすると,BがAに対する債権を普通に弁済できるとどうなりますか。

考えている

Cが害されますね,担保がなくなってしまうわけですから。

いいですね。本件では,「AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定」してます。
AはCのために質権を設定しているので,Cを困らせることはできないとする必要がありそうです。

東花子さん

そうですね。イメージができれば,分かります。

はい,あとはどう説明するかですが,直接の条文がありませんね。

考えている

確かに,481条1項は差止めを受けた場合に,弁済をしても,差押債権者はさらに請求できるという規定です。今回のケースと厳密には違います。

その通りです。ただ,同条は,いわば第三者(差押債権者)を害する弁済がなされた際の法律関係を規定してます。

花子さん

そういった意味では,本件も481条1項と同じ利益状況があります。したがって,同条を類推できるのですね。

いいですね,これで一定の結論がでました。なお,同条は,「差押債権者は、その受けた損害の限度において更に弁済をすべき旨を第三債務者に請求することができる。」という表現になってますが,第三債務者は弁済の効果を差押債権者に対抗できないことが前提です。

考えている

はい,もし対抗できれば,さらに請求できないはずですね。

そうですね。一応,確認しておきます。こんなところで大筋,大丈夫でしょう。それでは,今日も時間となりましたのでここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年21問(民法)を検討する 第1回 導入編

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<前回までのあらすじ>
本日から,司法試験平成29年第21問民法を検討していきます。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。調子はどうですか。

考えている

まあまあですね。

そうですか。とにかく,コツコツやっていきましょう。
では,問題はこちら

司法試験29年21問(民法)
弁済に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。

  • ア.AのBに対する債権を目的としてAがCのために質権を設定し,AがBに対してその質権の設定を通知した後であっても,BがAに弁済をした場合には,Bは,Cに対してもその弁済の効果を対抗することができる。
  • イ.Aがその所有する土地をBに賃貸し,Bがその土地上にあるB所有の建物をCに賃貸していた場合,Cは,Bの意思に反するときでも,AB間の賃貸借契約における賃料について,Aに弁済をすることができる。
  • ウ.AのBに対する債権についてCがAの代理人であると偽って,Bから弁済を受けた場合には,表見代理の要件を満たさない限り,Bは,Aに対し,その弁済が有効であると主張することはできない。
  • エ.AのBに対する債権についてBが弁済を受領する権限がないCに対して弁済をした場合において,Aがこれによって利益を受けたときは,Cに弁済を受領する権限がないことをBが知っていたとしても,Aが利益を受けた限度で,その弁済は効力を有する。
  • オ.動産の引渡債務を負うAが,債権者Bに対し,他人の所有する動産を弁済として引き渡し,その動産が他人の物であることを知らずにBがその動産を消費した場合,その弁済は有効となる。

1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ

東花子さん

うーん。なるほど,弁済についての問題ですね。

はい,この機会にしっかり,確認していきましょう。
あと,ついでの報告になりますが,平成27年の実践編を新規公開しました。
平成27年 予備試験民法(実践編)

東花子さん

ほんとだ,公開されてます。

はい,実践編は,解答テクニックなどを載せております。こちらも,ぜひ,活用してみてください。

では,早速,肢アから検討しようと思ったのですが,時間がかかりそうなので,ここまでといたします。
それでは,また,明日。お楽しみに。



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司法試験29年20問(民法)肢オを検討する 第9回 免責的債務引受の引受人の解除権 その2

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年20問(民法)肢「オ.中古自動車の売買契約における売主Aに対する買主Bの代金債務について,Cを引受人とする免責的債務引受の効力が生じた場合において,その自動車に隠れた瑕疵があり契約の目的を達成することができないときは,Cはその売買契約を解除することができる。」を検討することになりました。解除は,契約の当事者しかできません。したがって,引受人はできないのですが,それだと困るんじゃないという話になりました。何か納得できる話があるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

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こんにちは,東さん。早速,続き始めていきましょう。
結局,昨日の疑問点,「Cが解除できないと瑕疵のある者を引き渡したAが保護されてしまう。」
「Bが解除すると法律関係が複雑化する。」などについて考えてこられましたか。

考えている

うーん,良くわかりませんでした。

なるほど,そうでしたか。一緒にやってみましょう。
この場合,引受人Cの保護の必要性はありそうです。
ただ,Cに解除を認めると,誰かが困ります。わかりますか。

東花子さん

元々,解除権を持っていたBですかね。

その通りです。Bに権利行使の自由があったはずですからね。瑕疵担保の条文をよーく見ると「解除できる。」って書いてあります。

(売主の瑕疵担保責任)
民法第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
民法第566条
1.売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2.(略)
3.(略)

東花子さん

そうですね。気づかなかった。

はい,ですので,Cに解除権の行使を認めるのは,Bとの関係で具合が悪いわけです。

考えている

なるほど,概ね流れは分かったんですが,Cに支払いを要求するのも可哀そうだと思うのですが・・・。

そうですね。そこは,債務者の解除権を理由に支払いを拒めるとすれば,Cを保護できます。

東花子さん

確かに,その説明であればうまく辻褄があいますね。ただ,難しい。

その感想わかります。でも,実は新民法に,この考えを示した条文があるんですよ。

(免責的債務引受における引受人の抗弁等)
新民法第472条の2
1 引受人は、免責的債務引受により負担した自己の債務について、その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。
2 債務者が債権者に対して取消権又は解除権を有するときは、引受人は、免責的債務引受がなければこれらの権利の行使によって債務者がその債務を免れることができた限度において、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

考えている

本当だ。全然気づかなかった(新民法第472条の2第2項)。

大丈夫ですよ。これを押さえている受験生は,相当いないはずですからね。
ただ,利益考量をした結論が,まさしく条文になってます。

東花子さん

確かに,改正法は問題意識を分かりやすくしているんですね。

そうですね。この機会に,確認しておきましょう。これで,検討は概ね大丈夫でしょう。では,時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



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