司法試験29年12問(民法)肢エを検討する 第9回 抵当権と相殺(最判平13.3.13)その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年12問(民法)肢「エ.抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とし,賃料債権を受働債権とする相殺をもって抵当権者に対抗することはできない。」を検討することになりました。
どうやら,抵当権者の差押さえが,相殺よりも優先するようです。賃借人としては,相殺の期待が奪われるのではないかという指摘をしたのですが,どう考えればよいでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
条文を載せておきますね。

(留置権等の規定の準用)
第372条
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
第304条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

(相殺の要件等)
第505条
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

抵当権者の目線から見て,賃借人の相殺を認めるとどういうことになるか考えてきましたか。

考えている

はい,一応,やってみました。

そうですか。じゃあ,聞かせてもらえますか。

東花子さん

えっと,抵当権者としても,相殺権者の出現という,偶然の事情で担保の実効性が害されるのは問題だと思いました。

いいですね。もちろん,設定者に取引の自由はあります。
したがって,このようなことは,抵当権者も設定時に予見は可能でしょう。
しかし,後で出てくる一般債権者に対抗できるように,抵当権の登記があり,担保としての優先弁済効があります。

考えている

そうですね。そのための公示です。抵当権者を保護することが制度の信用にも繋がりますね。

その通り,ですので,この場合,抵当権が優先する。
利益状況を踏まえれば,しっくりきますね。

東花子さん

大筋わかったのですが・・・。ただ,やっぱり賃借人は可哀そう。担保権が実行されるかは分からないわけですし。

確かに,そうですね。
まあ,相殺をしたいものとしては,差押前に相殺をして簡易迅速に決済する方法で対応するのでしょうね。
あとは,別途,担保を取るとか。

考えている

なるほど,後から取引する者は,先にいる者の存在が分かっています。対応策も立てられますね。

はい,そんな感じで状況を押さえてやれば,抵当権者が優先されることもしっくりくると思います。
覚えようとしても,忘れるだけなので利益状況を確認して,押さえるようにしましょう。
では,今日も時間となりましたので終わりします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年12問(民法)肢エを検討する 第8回 抵当権と相殺(最判平13.3.13)その1

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年12問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年12問(民法)肢「エ.抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とし,賃料債権を受働債権とする相殺をもって抵当権者に対抗することはできない。」を検討していきます。
結論はどうでしょうか。

考えている

正しいですね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

判例です。(最判平13.3.13)

ただ,それだと。

考えている

まあ,忘れたらアウトですね。

その通りです。ですので,しっかり考えてきましょう。
物上代位の条文をあげておきます。

(留置権等の規定の準用)
第372条
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
第304条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

(相殺の要件等)
第505条
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

どう考えていけばよいでしょうか。

東花子さん

まず,誰と誰の利益が対立しているかを考えたいところです。

そうですね。そこを押さえないと,議論の前提がわかりませんね。

考えている

はい,差押えた抵当権者と相殺を行使しようとしている賃借人との利益が対立してます。

いいですね。そこが前提です。
結局,抵当権者が保護されてますね。どうして,そう考えていくのでしょうか。

東花子さん

えっと,抵当権は登記(177条)によって公示されており,優先弁済効があります。したがって,物上代位で差押えた後は,賃借人の取得した債権(一般債権)よりも優先すると思いました。

なるほど,確かにそうです。ただ,賃借人にも相殺(505条1項)の期待があります。相殺の担保的機能っていうくらいですからね。
そして,賃借人からすると,債権取得の段階で抵当権が実行されるかわかりません。実際,実行されないことも多いでしょう。したがって,賃借人としても相殺の期待が害されて困るのではないでしょうか。

考えている

うーん,そうですね。そう言われるとそんな気もしてきました。ちょっと考えてみていいですか。

そうですね。ぜひ,やってください。方向性としては,抵当権者の目線に立ってみましょう。
当事者目線に立つことで,利益状況が分かってきますよ。
では,今日も時間となりましたので終わりします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年12問(民法)肢ウを検討する 第7回 抵当権者の物上代位(転付命令を受けた差押債権者との関係)

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花子さんは,司法試験29年12問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年12問(民法)肢「ウ.抵当権者は,抵当権設定登記がされた後に物上代位の目的債権が転付命令の確定により差押債権者に移転した場合においても,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。」を検討していきます。

結論はどうでしょうか。

考えている

誤ってますね。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

判例です。(最判平14.3.12)

ただ,それだと。

考えている

はい,まあ忘れたらアウトですね。

その通りです。ですので,しっかり考えてきましょう。
物上代位の条文をあげておきますね。

(留置権等の規定の準用)
第372条
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
第304条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

どのあたりから,確認していきましょうか。

東花子さん

まず,抵当権者より,転付命令を受けた差押債権者を保護してます。

いいですね。そこを押えることは大事です。どうして,転付命令を受けた差押権者を抵当権者よりも保護する必要があるのでしょう。
担保権者として保護の必要性が高いように思うのですが・・・・。

考えている

確かに,抵当権者には優先弁済効があります。しかし,裁判所の転付命令まで受けている以上,債権者の保護が必要に思いました。

確かに,債権者は,命令を得るために手続を進めたはずでしょうからね。
そこまでの信頼を保護するわけです。
抵当権者は,権利行使の時期が遅かったのでやむをえないでしょう。

東花子さん

なるほど,わかりました。

結論を押える際には,対立当事者の利益を衡量すると良いでしょう。そこを省略すると,すぐ忘れてしまいます。ぜひ,意識するようにしましょう。
では,今日も時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年12問(民法)肢イを検討する 第6回 動産売買の先取特権の物上代位(304条)【最判平17.2.22】 その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年12問(民法)肢「イ.動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。」を検討することになりました。
結局,先取特権より第三者を保護することがわかったのですが,なぜか。利益状況を考えて見ましょうという話になったのでした。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めて行きましょう。
関連条文を載せておきますね。

(物上代位)
第304条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

結局,第三者を動産の売買の先取特権者より保護するのは,なぜか考えてきましたか。

考えている

はい,結局,動産の売買の先取特権の場合,抵当権と異なり公示がありません。したがって,譲渡後に差し押さえて物上代位を認めることは,法的安定性を図る上で問題だと思いました。

いいですね。どうして,わかったのですか。

東花子さん

いやぁ。前回,抵当権をやった時に登記(公示)があるから第三者も予見できるという話をしたので・・・。そこから,考えてみました。

なるほど,うまく応用ができましたね。概ね,それで大丈夫です。
あと,それ以外にも,動産売買の先取特権者と抵当権者の位置づけ違うのですが分かりますか。

考えている

うーん,良くわかりません。

そうですか。
抵当権の場合,担保権者の意思がいりますが,動産の売買の先取特権の場合,それがないですよ。

東花子さん

確かにそうすると,保護すべき担保の期待も抵当権よりは,若干,落ちると思いました。

はい,この点でも,第三者を保護すべきという方向に傾きます。
こんな形で,意味づけをするとどうですか。

東花子さん

ええ,忘れにくくなると思いました。

そうですね。ぜひ,こんな感じでやると良いでしょう。論理的に考えることがとても大事です。
この調子でしっかり,整理しながら勉強をしましょう。
では,これで時間となりましたので終わりします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年12問(民法)肢イを検討する 第5回 動産売買の先取特権の物上代位(304条)【最判平17.2.22】 その1

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平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年12問(民法)肢イを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年12問(民法)肢「イ.動産売買の先取特権者は,物上代位の目的債権が譲渡されて第三者に対する対抗要件が備えられた後においては,目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することはできない。」を検討していきます。

結論はどうでしょうか。

考えている

正しいです。

いいですね,あってます。どうしてですか。

東花子さん

判例ですね。(最判平17.2.22)

そうですね。まず,物上代位の条文をあげておきましょう。

(物上代位)
第304条
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

例によって,なぜかと考えてもらうのですが・・・。
何か気づくことありませんか。

考えている

前回の肢アと事実が近いです。

そうですね。肢アは,抵当権の目的債権が譲渡されたときで,今回は,動産売買の先取特権です。

東花子さん

はい,物上代位を行う担保物権の根拠が変わっただけですね。

確かに,その通りなのですが・・・。結論は,どうなってます?

東花子さん

うーん,この肢は正しいので,第三者(目的債権の譲受人)が先取特権者より保護されてます。あれ,あってますよね。

大丈夫ですよ。なんで,そんな疑問を持ったのですか・・・。

考えている

いやいや,抵当権と第三者の事案(肢ア)では,抵当権者を保護していたので,どうしてかなーって思いました。

いいですね。先ほど,抵当権と先取特権で結論が逆になるので,なぜかを押さえることが大事そうですね。

東花子さん

はい,そうしないと忘れてしまいますからね。

分かっているじゃないですか。したがって,キチンとしておきたいです。
では,どうして先取特権の時は,第三者を保護するのでしょう。債権譲渡の手続は,譲渡人と譲受人でできます。
したがって,先取特権者のあずかり知らぬ事情で行われる点は,抵当権の時と同じように思うのですが・・・。

東花子さん

なるほど,少し考えていいですか。

そうですね。ぜひ,やってみてください。では,今日も時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日お楽しみに。



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