予備試験28年6問(民法)を検討する 第1回 導入編

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年第5問の検討を終えました。今日からは,予備試験28年6問(民法)を検討していきます。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。調子はどうですか。

考えている

ぼちぼちです。淡々とやっていくしかありませんね。

そうですか,それはそうですね。長丁場なので,確実に検討していきましょう。
早速,今日からは,予備試験28年6問(民法)【司法試験28年11問(民法)】です。では,問題はこちら

予備試験28年6問(民法)【司法試験28年11問(民法)】
担保物権に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。

  • 1.同一不動産上の先取特権,質権及び抵当権の優先権の順位は,当該各担保物権の登記の前後によって決まる。
  • 2.留置権,先取特権,質権及び抵当権には,いずれも物上代位性が認められる。
  • 3.留置権は,占有を第三者に奪われた場合も消滅しないが,その場合には,第三者に対抗することができない。
  • 4.留置権者及び抵当権者は,いずれも目的物の競売を申し立てることができる。
  • 5.動産先取特権は,動産質権に優先する。
東花子さん

うーん。なるほど,担保物権に関する問題ですね。

はい,そうですね。しっかり,確認していきましょう。
では,早速,肢1から検討しようと思ったのですが,例によって,時間がかかりそうなので,ここまでといたします。
それでは,また,明日。お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 平成28年, 平成28年, 担保物権, 民法, 民法・商法・民事訴訟法 | コメントをどうぞ

予備試験28年5問(民法)肢オを検討する 第7回 占有改定・指図による占有移転と即時取得

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年5問(民法)肢オ「Aは,甲をBに賃貸していたところ,Bが甲をCに寄託した。その後,BがAに無断で甲をDに売却するとともに,Cに対し以後Dのために甲を占有するように命じた。Dは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,Cによる甲の占有を承諾した。この場合,Aは,Dに対し,甲の返還を求めることができる。」を検討することになりました。「甲は,Aの所有するカメラ」です。
検討の際,占有改定には,即時取得が成立しないという点を確認しました。指図による占有移転は,即時取得は成立するのですが,なぜ占有改定と結論が異なるのかを考えることになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,昨日の続きですが,占有改定について即時取得が成立しない理由は分かりましたか。

考えている

うーん,占有改定の場合,外形上,目的物の占有の移転がないからでしょうか。

なるほど,どこかで聞いたような説明をしてますね。なぜ,移転がないことが問題なのですか。

東花子さん

あれ,どうしてだろう。よく分かりません。

いやいや,それは,なんとなく押えているで良くないです。外形上,目的物の占有移転がないということは,取引がなかったことと区別できますか。

東花子さん

できませんね。そうか,占有改定に即時取得を認めると,取引がないのにあったと,でっち上げる危険があります。

そうですよ,実際に取引があったかが分からないのに即時取得を認めては,本権利者はあまり害されます。また,仮に取引があったとしても,本権利者から見たら目的物の全く占有が動いておりません。勝手に占有改定による引渡しをした者が相手方の即時取得の成立を理由に目的物の引渡しを拒めるのは,やはり違和感があります。

考えている

なるほど,だから占有改定には即時取得が認めないと判断しているのですね。

はい,それで筋は通ります。そうすると,本肢の指図による占有移転も,占有改定と同じ利益状況があると思いませんか。

東花子さん

確かに,指図による占有移転も外形上,目的物の占有が受寄者から移っていないですね。

そうですね。本肢では,受寄者Cから,外形上,甲の占有が移ってません。ここを強調すると,Aは,Dに対して即時取得は成立していないといえそうです。

東花子さん

そうか,ようやく占有改定と指図による占有移転を比較している意味がわかりました。

良かったです。ただ,指図による占有移転に関しては,即時取得が成立しますね。

東花子さん

そうですね,なんででしょう。

ここは,考えて見たいです。結局,目的物を直接,占有しているのが取引の当事者ではなく第三者である点が大きいと思いますよ。

考えている

少し,ピンと来ません。

なるほど,ここは,いろいろ考えがありそうですが,第三者がいると,取引に客観性がでてくると思うのですよ。

考えている

確かに,それはそうです。本当に取引のある可能性が,高いということでしょうか。

まあ,そうでしょうね。第三者(寄託者)には,嘘をつくような理由は通常,なさそうです。この辺りは,指図による占有移転について,即時取得を成立できる方向で考慮できます。また,本権利者Aから見ると外形的に甲はCに移転してます。ここを見れば,外形的に移転はあるともいえそうです。

東花子さん

確かに,全く動いていないわけではないです。だから,Dの取引安全を保護できると考えているのですね。良くわかりました。イメージが大事だと改めて思いました。

良かったです。結局,一見細かいようなところも,考えてみると意外と押えやすいです。
具体的に考えた結果,しっくり来ると忘れにくいですよ。ぜひ,活用して見てください。
では,今日は,ここで終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 物権, 平成28年, 民法・商法・民事訴訟法 | コメントをどうぞ

予備試験28年5問(民法)肢オを検討する 第6回 指図による占有移転と即時取得(最判昭57.9.7)

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年5問(民法)肢オを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第5問(民法)肢「オ.Aは,甲をBに賃貸していたところ,Bが甲をCに寄託した。その後,BがAに無断で甲をDに売却するとともに,Cに対し以後Dのために甲を占有するように命じた。Dは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,Cによる甲の占有を承諾した。この場合,Aは,Dに対し,甲の返還を求めることができる。」を検討していきます。「甲は,Aの所有するカメラ」です。

この肢は,どうですか。

考えている

誤っていますね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

甲についてDに即時取得が成立していると思います。

そうですね。確認してきましょう。

(即時取得)
民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

Bは,甲の賃借人なので,処分については権限がありませんね。したがって,Dは,Bから甲の所有権を承継することはできません。
しかし,それは,Dの取引安全を害します。そこで,民法は192条で即時取得を認めて取引の安全を図ってますね。

東花子さん

はい,Dは,甲がBの所有物であると過失なく信じて取得しており,「平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意」は,186条1項で満たされてますので即時取得が成立します。

そうですね。結局,Dは,甲の所有権を即時取得により原始的に取得する。そこで,Aの甲の所有権は,一物一権主義により両立しえないので反射的に消滅する。したがって,Aは,所有権がないのでDに甲の返還を求めることはできないことになりますね。

花子さん

はい,その通りだと思います。

ただ,これだと淡泊すぎますね。なにか,引っかかることありませんか。

考えている

うーん。Bは,Cに甲を寄託した状態でDに売却してますね。この引渡しは,指図による占有移転(民法184条)にあたりますが,ここが問題になるのでしょうか。

いいですね。わざわざ問題文に事情があるので,そこが重要そうですね。でも,どうして,そこがポイントになるのでしょうか。

東花子さん

良くわかりませんね。

なるほど,それは良くありません。結局,占有の取得方法で,占有改定(民法183条)の場合は即時取得が成立しません(最判昭35.2.11)。そことの関係で問題になりますよ。

東花子さん

そうなんですか。意味が,わかりません。

なるほど,それでは占有改定と指図による占有移転が似ていることを強調すれば,指図による占有移転に対して即時取得が成立しなくなることはわかりますか。

東花子さん

それは,わかります。似ているということは,同じように考えられるということですので。

そうですよね。ということは,解答を理解するために占有改定と指図による占有移転の相違点をしっかり押さえる必要があることはわかりますか。

考えている

わかります。占有改定と指図による占有移転が違うからこそ,指図による占有移転に即時取得が成立しうるのですから。問題文がわざわざ事例を出している意味がようやく,わかりました。

はい,ですので,少し遠回りになりますが,占有改定に即時取得が成立しない理由を押さえた上で,本事例を検討しようと思います。東さんも,この機会に問題意識を押さえていきましょうね。

東花子さん

わかりました。よろしくお願いします。

急がば回れですよ。しっかり,考えていきましょう。では,今日も時間となりましたので,ここで終わりにしたいと思います。この続きは,また明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 物権, 平成28年, 民法・商法・民事訴訟法 | コメントをどうぞ

予備試験28年5問(民法)肢エを検討する 第5回 民法193条 その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年5問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第5問(民法)肢「エ.Aは,その家で甲を保管していたところ,BがAの家から甲を盗み,Cに売却した。その後,Cは,甲をDに転売し,Dは,甲がCの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Aは,甲を盗まれた時から2年以内であっても,Dに対し,甲の返還を求めることができない。」を検討していきます。「甲は,Aの所有するカメラ」です。

この肢は,どうですか。

考えている

誤っていますね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

確か,条文があったかと思います。

そうですね。確認してきましょう。

(即時取得)
民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

(盗品又は遺失物の回復)
民法第193条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

Aは,甲を盗まれた被害者なので,193条により占有者Dに対して回復を請求できますね。

東花子さん

そうですね,あと,本肢は2年以内ですからね。

まあ,Dから見れば,Cから買い受けており,Bが盗品者です。被害者Aからは結構,遠いのに回復請求をうけてしまいますね。

東花子さん

なるほど,そうですね。

ただ,やはり,被害者Aは占有を失ったことに落ち度がありません。ですので,被害者が保護されます。2年以内は,即時取得の成立が制限されます。

考えている

なるほど,良くわかりました。イメージが大事ですね。

そうですね。まあ,意味を確実に押さえれば,すぐに分かります。
今日は,あまり,ひねりがありませんでしたが,こんなところで良いでしょう。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 物権, 平成28年, 民法・商法・民事訴訟法 | コメントをどうぞ

予備試験28年5問(民法)肢ウを検討する 第4回 民法194条を考える

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験28年5問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験28年第5問(民法)肢「ウ.Aは,その家で甲を保管していたところ,カメラを販売する商人のBがAの家から甲を盗み,Cに売却した。Cは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けた。この場合,Aは,甲を盗まれた時から2年以内であっても,CがBに支払った代価を弁償しなければ,Cに対し,甲の返還を求めることができない。」を検討していきます。「甲は,Aの所有するカメラ」です。

この肢は,どうですか。

考えている

正しいですね。

なるほど,あってますね。どうして,そのように考えるのでしょうか。

東花子さん

確か,条文があったかと思います。

そうですね。確認してきましょう。

(即時取得)
民法第192条
取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

(盗品又は遺失物の回復)
民法第193条
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。

(盗品又は遺失物の回復)
民法第194条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。

まず,Aは被害者なので,2年以内であればCに対して,盗品甲を返還請求できますね。

東花子さん

はい,193条になります。

ただ,今回はCは,カメラを販売する商人のBから買い受けています。Cは,甲がBの所有物であると過失なく信じて,現実の引渡しを受けてますので善意です。ここでいう善意は,信頼した者ですね,知らないという意味ではないで気を付けましょう。

考えている

信頼した者を保護して動産の取引安全を図る趣旨ですからね。

そうすると,Cは,194条の占有者にあたるので,被害者Aは,CがBに支払った代価を弁償しないといけません。ですので,肢ウは正しいのですが,例によって194条の意味を確認していきたいですね。

東花子さん

そうですね。試験現場では条文を確認できませんからね。

はい,では,どうして被害者は,商人から善意で買い受けた者の代価を占有者に支払わなければならないのでしょうか。
自分の物なのに代価を払わなければいけないのは,納得できないように思うのですが・・・。

東花子さん

うーん,代価が保障されないと,商人から買い受けた者の取引安全が害されるのではないでしょうか。

いいですね。専門業者から買ったのに,なんの保証もないと,取引の安全上,非常に問題です。全体として取引行為が停滞してしまいます。競売若しくは公の市場も同じことが言えそうですね。

東花子さん

そうですね,多くの方が安心して利用できるようにする必要があります。

でも,逆に,194条で上がった以外の場所で買受けた場合は,善意で買受けても代価は受け取れませんね。なぜでしょうか。

東花子さん

なぜでしょう。良くわかりません。取引安全を図るのであれば,競売若しくは公の市場や商人からの買受けに限定する必要はないと思うのですが・・・。

これは,イメージしないと難しいですね。結局,あらゆる取引で代価を買手が受け取れると,盗品や遺失物が売却されやすくなってしまいます。その結果,被害者や遺失主の回復請求権の行使が難しくなってしまいますね。

東花子さん

そうか,だから特に保護の必要性が高い取引のみ代価を受け取れるようにしているのですね。競売や公の市場を通せば,盗品や遺失物も発見できるかもしれませんしね。

そう考えると,つじつまが合います。もちろん,194条以外の取引が悪いわけではありませんが,被害者や遺失主を保護する必要からやむを得ませんね。また,競売若しくは公の市場や商人から買うことも促せるかも知れません。まあ,効果としては大きくなさそうですが・・・。

考えている

非常に考えられていることが,良くわかりました。

そうですね。意味が分かれば,記憶に残りますね。なお,買手が悪意者だと保護されないのは,被害者や遺失主の追求権を意図的に妨げているからです。盗品等罪の構成要件にも該当しそうですね。この点も,イメージしておいてください。
では,時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

カテゴリー: 物権, 平成28年, 民法・商法・民事訴訟法 | コメントをどうぞ