司法試験29年27問(民法)肢エを検討する 第9回 562条2項を考える その3

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平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢「エ.本件売買契約が締結された時にBが甲土地の所有権がBに属しないことを知らず,Cが甲土地の所有権がBに属しないことを知っていた場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Bは,Cに対し,甲土地の所有権を移転することができない旨を通知して,本件売買契約を解除することができる。」を検討することになりました。前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合です。
検討の結果,他人物売買の売主に解除を認める必要性がわかりました。あとは,細かい所を確認していきましょう。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
条文を載せておきますね。

(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第562条
1.売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2.前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

結局,前回は他人物売買の売主が債務不履行になったとしても,売主からは解除できないのが原則だということを確認しましたね。

考えている

そうですね。売主は,債務者ですからね。一般に解除権は,債権者に発生するものですから(415条,541条,543条)。

そうそう,そこが一番大事な理解でしょう。その上で,あまりにも他人物売買の売主が酷な場合に,売主から解除をみとめる必要がある。

東花子さん

はい,それが562条なんですよね。

いいですね。ここまでが,昨日の議論でした。それで,最後,具体的要件について確認するという話でしたが,考えてきましたか。

東花子さん

はい,やってきました。まず,売主からなんですが,「契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合」でないと特別に保護する必要性がないと思いました。

そうですね。売主が知っていた場合は,その辺りのリスクも織り込み済みで行動すべきでしょう。
それなのに,この者を保護するのはかえって,取引秩序から見ても問題ですね。

東花子さん

ええ,そう思います。また,562条1項で損害賠償を必要とするのは,買主の期待を保護する必要があるからですね。

その通りです。買主から見れば,売主の事情はわからないでしょうからね。ですので,損害賠償で保護をしています。

花子さん

はい,そこまで見えていれば,「買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたとき」は通知をして解除できるという562条2項の意味も分かりますね。

そうですね。買主が知っているということは,ある程度リスクを承知で取引してますので,これを保護する必要性がないからですね。

東花子さん

そうですね。改めて,条文が想定している状況を捉えると,非常に真っ当だと思いました。

その通りですね。こんな感じで,状況を把握しながら条文を押さえるようにしましょう。それでは,今日も時間となりましたので,ここまでとします。この続きはまた明日,お楽しみに。



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司法試験29年27問(民法)肢エを検討する 第8回 562条2項を考える その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢「エ.本件売買契約が締結された時にBが甲土地の所有権がBに属しないことを知らず,Cが甲土地の所有権がBに属しないことを知っていた場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Bは,Cに対し,甲土地の所有権を移転することができない旨を通知して,本件売買契約を解除することができる。」を検討することになりました。前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合です。
562条2項によれば,結論は正しいのですが,例によって意味を確認することになりました。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
条文を載せておきますね。

(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第562条
1.売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2.前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

結局,562条2項を理解するためには,562条1項を押さえないといけないというのが昨日までの話でしたね。

考えている

そうですね。562条2項には,「前項の場合」とありますからね。

はい,それで,562条1項の意味を考えるのが宿題でしたが,整理されてこられましたか。

東花子さん

うーん,考えてみたのですが,良くわかりませんでした。

そうでしたか。では,一緒に,やっていきましょう。昨日,ヒントがあったのですが,どういう話でしたっけ。

東花子さん

そうですね。確か562条1項がなかったら,どういう帰結になるかという話だったと思います。

いいじゃないですか。その筋で,やってみてくださいよ。

東花子さん

えっと,まず,他人物売買で売主が買主に目的物を移転できない時は,債務不履行になりますね。(560条,415条)

そうですね。その場合,売主から,契約を解除できますかね。

考えている

そりゃ,できるんじゃないんですか。売主として,いつまでも,できない債務の履行義務を負うのは困るわけだから・・・。

なるほど,心情的にはその気持ちもわかるのですが,一般原則からは,この場合,売主からは一方的に解除できませんよ(415条,541条,543条)。

東花子さん

なるほど,売主は債務者ですものね。この場合の解除権は,債権者である買主にあるということですか。

そういうこと!ということは,売主は,買主しだいで負担が予想外に大きくなってしまうことがあります。

東花子さん

そうか,だから562条1項で売主からの解除を認めているんですね。ピタッとつじつまが合いました。

はい,ここまでわかれば,562条1項の他の要件と2項もしっかり説明できると思います。

考えている

なるほど,確かにそんな感じですね。自分で整理したいので考えていいですか。

そうですね。論理的に整理することはとても大事です。ぜひ,やってみましょう。
それでは,今日も時間となりましたので,ここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年27問(民法)肢エを検討する 第7回 562条2項を考える その1

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年27問(民法)肢「エ.本件売買契約が締結された時にBが甲土地の所有権がBに属しないことを知らず,Cが甲土地の所有権がBに属しないことを知っていた場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Bは,Cに対し,甲土地の所有権を移転することができない旨を通知して,本件売買契約を解除することができる。」を検討していきます。
前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合ですね。結論はどうでしょう。

考えている

正しいですね。

そうですね。どうしてですか。

東花子さん

562条2項だと思います。

なるほど,そうですね。確認してみましょう。

(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
第562条
1.売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2.前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。

確かに,条文があることがわかります。ただ,それだと・・・。

考えている

はい,ただ知っているだけですね。

そうですね。しかも,本番は条文が見れないので,その解答は実践的ではありません。
まあ,最終的になんらかの形で覚えるとしても,しっかり考える必要がありますね。

東花子さん

ええ,そうしないと,結局すぐに忘れますかね。

そういうことです。それで,どの辺りから入っていきましょう。

考えている

やっぱり,大前提(原則)でしょうか。

いいですね。ただ,今回の562条2項には,「前項の場合において」とあります。
ということは,562条1項の理解が,大前提となりそうです。

東花子さん

なるほど,そう考えていくのですね。

はい,ということで562条1項の規定の意味をこの機会に押さえたいのですが,どうしましょうか。

考えている

うーん,さらに大前提(原則)に遡るということでしょうか。

いいですね。今の指摘のように,どんどん上位概念に立ち返ることで,理解をしていきます。
方向性は,それで大丈夫なんですが,具体的にどの辺りから入っていきましょう。

東花子さん

えっと,少し考えさせてもらえますか。

なるほど,わかりました。では,時間を上げますので,ぜひやってもらいましょう。
ヒントとしては,仮に562条1項の規定がなかったら,どうなるかを想定すると良いでしょう。
それでは,時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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司法試験29年27問(民法)肢ウを検討する 第6回 他人物売買と留置権(561条,295条)その2

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<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢「ウ.Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが,Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから,Cは,本件売買契約を解除した。その後,CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは,Cは,Bから甲土地の代金の返還を受けるまで,甲土地を留置することができる。」を検討することになりました。
前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合です。
結論として,本件の債権は295条の「その物に関して生じた債権」にあたらず留置権が否定されるようです。
それが,なぜかを考えることになったのでした。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速始めていきましょう。
条文を載せておきますね。

(留置権の内容)
第295条
1.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2.(略)

(他人の権利の売買における売主の義務)
第560条
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第561条
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

結局,561条の債権は「その物に関して生じた債権」にあたらないとなっておりますが,なぜか考えをまとめてこられましたか。

考えている

そうですね。この場合に留置権が成立すると,甲土地の所有者Aに著しく不都合が生じると思いました。

おお,いいですね。もう少し,具体的に説明して貰えますか。

東花子さん

えっと,所有者Aから見ると,BCの売買契約は全くコントロールできない事情です。Aから見れば勝手な事情で,留置権を主張されるのは正直,困ります。

その通りです。Cも困るかもしれませんが,AもBに巻き込まれたわけです。ですので,Aを保護する必要性は明らかでしょうね。

考えている

はい,後はこの結論に向かって条文を解釈して,つじつまを合わせていきます。

いいですね,どうしましょうか。

東花子さん

えっと,そうですね。結局,295条は,担保物権として被担保債権の弁済を促す関係に立つ必要があります。したがって,「その物に関して生じた債権」にあたるには,「物権的請求をした者」と「被担保債権の債権者」が同一人であることが必要だとすれば良いと思いました。

そうですね。それでこそ,同条の趣旨である当事者間の公平も図れますね。
まあ,こんな感じで,大丈夫でしょう。大事なことは,結論もそうですが道理に合わせて理解することですね。

花子さん

はい,意味を考えないで覚えてもすぐに,忘れてしまいますからね。

その通り!ぜひ,しっかり念頭において勉強しましょう。それでは,時間となりましたので,今日はここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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司法試験29年27問(民法)肢ウを検討する 第5回 他人物売買と留置権(561条,295条)その1

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花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢ウを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年27問(民法)肢「ウ.Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが,Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから,Cは,本件売買契約を解除した。その後,CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは,Cは,Bから甲土地の代金の返還を受けるまで,甲土地を留置することができる。」を検討していきます。
前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合ですね。結論はどうでしょう。

考えている

誤ってますね。

そうですね。どうしてですか。

東花子さん

判例みたいです。(最判昭51.6.17)

なるほど,結論は,そうなのでしょうが・・・,それだと。

考えている

はい,ただ知っているだけですね。

そうですね。ですので,意味をしっかり確認しないといけません。
どの辺りから入っていきましょう。

東花子さん

条文ですかね。

なるほど,関連条文を確認してきましょう。

(留置権の内容)
第295条
1.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2.(略)

(他人の権利の売買における売主の義務)
第560条
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第561条
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

Cは解除してますが,561条により有効です。
今回,解除により,代金返還ができます(545条1項)が,この債権が,留置権(295条)における「その物に関して生じた債権」にあたるかが問題になります。

考えている

そうですね。売買契約に基づいて発生してますが,土地の代金なので,物に関して生じたとも考えれますね。

いいですね。そこがポイントになります。判例は,どのように考えてますか。

花子さん

はい,本件の債権は当たらないと判断してます。

結論は,それで大丈夫でしょう。ただ,なぜだと思いますか。

考えている

うーん,この場合に,留置権が成立すると不都合だからだと思うのですが・・・。少し考えさせていただきますか。

そうですね。大事なところですので,しっかり整理してもらいましょう。それでは,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日,お楽しみに。



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