民法・司法試験令和4年第6問肢エを考えてみよう

【前回のあらすじ】

今日から,民法司法令和4年6問肢ウを検討しました。
次は,肢エです。
それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

はい,まあまあですかね。

スク東先生:そうですか,体調管理には気を付けていきましょう。

では早速,問題の検討を始めていきましょう。

民法司法令和4年6問肢エです。

「エ.Aがその所有する甲土地にBのために抵当権を設定し,その旨の登記がされた場合において,その登記をCがBの知らない間に不法に抹消したときは,Bは,再度登記がされない限り,抵当権の設定を第三者に対抗することができない。」

正解はどうでしょう。

誤っています。

スク東先生:なんででしょう。

判例があるようです(最判昭36.6.16)

スク東先生:ふーん,そうなんですね。

まあ,ダメですよね。しっかり,考えないと。

スク東先生:はい,ただ,難しいことはしなくも大丈夫です。大枠から,筋道を立てて整理していきましょう。まず,原則はどうですかね。

なるほど,第三者に抵当権の効力を対抗するには登記がいります。(177条)

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法 (平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

スク東先生:はい,そうです。ただ,今回の場合,その登記をCがBの知らない間に不法に抹消してます。ということは,どうでしょう。

はい,Bの抵当権の登記(公示)がなくなったので,肢にある通り,再度登記がされない限り,Bは,抵当権の設定を第三者に対抗することができないとなりそうです。

スク東先生:いいですね。原則からの論理的帰結,出発点がしっかり確認できました。ただ,この結論はどうでしょうかねー。

なるほど,Bはなんら落ち度がないのに抵当権を対抗できなくなってしまいます。

スク東先生:そうです。Bは被害者ですよね。簡単に抵当権の対抗力がなくなると,担保物権として使いづらくなってしまいます。

確かに,それはまずい。だから,登記が抹消された後も対抗力は失われないとなるわけですね。

スク東先生:はい,結論はそういうことでしょう。条文との関係では,通常の取引の範囲において登記を必要とする趣旨です。違法で抹消された場合に対抗力が消滅することは,177条も予定しないとつじつまを合わせておけばいいでしょう。

そうですね。そんなケースまで,立法者が想定して作っているとは思えませんね。

スク東先生:そういうこと,このくらいで大枠は大丈夫でしょう。正直,この肢は,みたことない方が多かったように思います。そういうときは,利益状況を踏まえた上で,筋道を立てることを意識しましょう。

わかりました。とにかく,細かい判例知っておきゃという話にしないことが大事だと思いました。

スク東先生:そうですね。勝手に難しくしないようにしましょう。とにかくイメージが大事ですね,意識してきましょう。それでは,今日も時間となりましたのでこの辺りしましょう。この続きは,また来週お楽しみに。



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