【前回のあらすじ】
今日から,民法司法令和4年6問肢アを検討しました。
次は,肢イです。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:そうですね。
では早速,問題の検討を始めていきましょう。
民法司法令和4年6問肢イです。
「イ.甲土地を所有するAが死亡して子B及びCが相続し,BとCの遺産分割協議により甲土地はBの単独所有とされた。その後,Cが,甲土地につきCの単独所有とする登記をした上で,これをDに売却したときは,Bは,Dに対し,甲土地の単独所有権の取得を対抗することができない。」
正解はどうでしょう。
スク東先生:なんででしょう。
スク東先生:なるほど,確認しましょう。
(共同相続における権利の承継の対抗要件)
第899条の2
1.相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、次条及び第901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
2.(略)
スク東先生:そうですね。B単独所有ということは,相続分を超える部分をDに対して主張することになりますからね。結論はいいのですが・・・。
スク東先生:はい,第899条の2 が2018年改正で新設されましたが,それ以前は,遺産分割後の第三者ということで,177条で処理していました。人によってはこちらの方が馴染みがあるかもしれません。
スク東先生:そうですね。この場合は特に遺産分割によりBは単独で権利を取得してます。法的効果は遡及効になりますが(909条),BはCの持分を自らに移転することを怠ったといえるでしょう。

確かに,Bは,遺産分割により権利を取得しているので,Cの持分を移転できますね。
スク東先生:はい,そのようなBと,Cからの持分を譲り受けたDとの法律関係になります。利益状況からすると,Cの持分に対して,BとDは競争関係と考えられますね。
スク東先生:そうですね。自由競争(二重譲渡)の関係を,調整するのが177条ですからね。ただ,第899条の2は,Cを起点として,BとDを177条で処理する理屈がわかりにくかったので作られました。
スク東先生:そういうことです。まあ,いろいろ難しくいってしまいましたが,要は,利益状況を考えて,シンプルになる条文が手当されたと整理すればいいと思います。
スク東先生:はい,こんな感じで大丈夫だと思います。それでは,ちょうどキリがいいので,この辺りで終わりしましょう。この続きは,また来週お楽しみに。