民法・司法試験令和4年第3問肢ウを考えてみよう その2

【前回のあらすじ】

民法司法令和4年3問肢イを検討しました。
次は,肢ウです。

それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。

なんとか。ただ,寒いですね。

スク東先生:そうですね。まあ,できる限り,暖かくして,体調管理をしていきましょう。

では早速,前回の続きやっていきましょう。

民法司法令和4年3問肢ウです。

「ウ.心裡留保を理由とする意思表示の無効は,過失のある善意の第三者に対抗することができない。」

(心裡留保)
第93条
1.意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2. 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

93条2項で,第三者は善意で足りる。したがって,正しいことを前回確認しました。

スク東先生:はい,直接の相手方の場合,善意無過失じゃないと保護されない(93条1項)けど,第三者は,善意で保護されるということを整理しないと,間違えるという話をしておりましたね。

細かいですからね。

スク東先生:それで,考えてみましたか。

はい,一応。結局,直接の相手方は,意思表示をした本人の様子を直接見れるけど,第三者は,わからないというのが大きいと思いました。

スク東先生:なるほど,いい指摘だと思います。直接の相手方の場合,意思表示の内容以外の部分も感じ取れますよね。その場の流れだったり,言葉以外にも判断材料があるわけです。そう考えると,気づける部分も第三者より多いので,善意無過失が必要と整理することができます。

そうですね。第三者は,全くその感じがわかりません。だから,善意で保護すべきということだと思いました。

スク東先生:まあ,直接の相手方と第三者を区別する上で,その指摘はいいですね。ただ,もう一つ確認したいポイントがあります。

えっ,どういう問題意識だろう?

スク東先生:いやー,似たような条文で,第三者について,今の理解だけだと間違えるものがあるんですよ。例えば,これ。

(錯誤)
第95条
1.意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 (略)
3 (略)
4 第1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

(詐欺又は強迫)
第96条
1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

なるほど,確かに,詐欺とか錯誤で,第三者が保護されるには,善意無過失まで必要です(95条4項,96条3項)。これは混乱しますね。

スク東先生:そうなんですよ。しかし,これもイメージするとスッと整理できますよ。

うーん。

スク東先生:はい,この辺りは,いろいろ似たような条文が多いです。だから,しっかり間違えないようこの機会に整理したいですね。

はい,考えてみたいので時間をもらっていいですか。

スク東先生:ぜひ,やってみてください。やる以上に,いかに残すかが大事です。しっかり,この機会に確認していきましょう。それでは今日は,この辺りで終わりにしましょう。この続きは,また来週お楽しみに。

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