【前回のあらすじ】
民法司法令和4年3問肢アを検討しました。
次は,肢イです。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:そうですね。まあ,体調管理を気を付けていきましょう。
では早速,問題の検討を始めていきましょう。
民法司法令和4年3問肢イです。
「イ.未成年者Aと契約を締結したBが,Aの法定代理人Cに対してその契約を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした。この場合において,CがBの定めた期間内に確答を発しないときは,Cは,その契約を取り消したものとみなされる。」
正解はどうでしょう。
スク東先生:なんででしょう。
スク東先生:なるほど,そうですね。確認しましょう。
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第20条 制限行為能力者の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2 制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3(略)
4 制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人に対しては、第一項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
スク東先生:確かに,条文によれば,追認したものとみなされます。そうなんですが・・・。
スク東先生:はい,本番では限られた時間での正解が必要です。また,条文の参照もできません。そこで,意味をしっかり押さえておく必要がありますね。どうしてでしょうね?
スク東先生:そうですね。20条だけでいっても,相手方が違うだけで,結論が逆になったりしてます。(20条4項参照)
スク東先生:なるほど,だったら,なおさらこの機会に整理したいです。まあ,今回は,本題の前の前提を確認していきましょう。いろいろ「催告」の条文が民法にはありますが,どのような状況が想定されていますか。
スク東先生:そうそう,そこはキチンと押さえているんですね。では,どういった意味でこの場合,不安定なんでしょう。
スク東先生:いいですね。制限行為効力能力者には,取消権がありますからね。相手方から見れば,権利が行使されるか否か不明になります。
スク東先生:そうですね。この他にも,催告の条文がさまざまありますが,前提はまず相手方の地位が不安定です。その点を押さえないと,その後の効果について,なかなかわかりません。後々,混乱を避けるためそこの点は,しっかり確認しておきましょう。
スク東先生:はい,一見,遠回りにように見えて,後々の理解に効いてきます。しっかり,この機会に確認しておいてください。それでは今日は,この辺りで終わりにしましょう。この続きは,また来週お楽しみに。