【前回のあらすじ】
民法司法令和3年13問(予備試験令和3年第6問)を検討しました。その際,背理消去法を確認しました。
慣れないといけませんが,テクニックとして使えると便利ですね。
ぜひ,試してみてください。今日は,もう一つ肢が切れる理由を確認していきましょう。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうです。
スク東先生:そうですか,少し過ごしやすい気候になってきましたからね。よかったです。
では,早速,前回の続きやっていきましょう。
〔司法試験令和3年第13問・予備試験令和3年第6問〕
抵当権に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.土地に抵当権が設定された後にその土地上に建物が築造された場合,抵当権者は,抵当権が設定されていない当該建物をその土地とともに一括して競売することができる。
イ.甲土地の所有権が自己にあると過失なく信じて10年間その占有を継続した者は,甲土地上の抵当権の存在につき悪意であったときは,甲土地の所有権を時効取得することができない。
ウ.Aが甲土地を賃借したが,その対抗要件を具備しない間に,甲土地にBのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aは,この登記がされた後,賃借権の時効取得に必要とされる期間,甲土地を継続的に用益したとしても,競売により甲土地を買い受けたCに対し,賃借権を時効により取得したと主張して,これを対抗することができない。
エ.AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後,所有権移転登記がされることのないまま,甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間,甲土地の占有を継続し,その期間の経過後に取得時効を援用した場合は,AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても,Cの抵当権は消滅する。
オ.債務の弁済と,当該債務の担保として設定された抵当権の設定登記の抹消登記手続とは,同時履行の関係に立つ。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ ウ 4.イ オ 5.エ オ
スク東先生:そうです。まあ,詳しい説明を見たいときは,こちらで確認ください。
スク東先生:それでは,今日は,・・・・。
スク東先生:おお,さすが,調子がいいだけあって冴えてますね。それで,理由分かりますか。
スク東先生:なるほど,そういうことね。うすうすそんな感じしてましたけどね。わかりました,しっかり,意味を確認していきましょう。結論からいうと,「4.イ オ」が,正解になるためには,「ア」「イ」「オ」の3つが正しく,「ウ」,「エ」誤りとなる必要があります。
(「ア」は正しいことは前提)
スク東先生:はい,しっかり考えないといけませんが,そういうことになります。
スク東先生:いやー。これは,過去問を見ていただけるとわかるんですが,正しい肢の組み合わせを選ぶ問題(今回のような場合),5肢のうち,正しい肢の数は2,誤っている数は3というのが,ほとんどなんですよ。
スク東先生:はい,厳密にいうと違うケースも数問あるんですが,ほとんど,そうなります。
スク東先生:そうです。ただ,出題傾向なんてものは,方針がさっと変えてしまえば,それまでです。したがって,「4.イ オ」は,正解の可能性あることは意識しておきましょう。
スク東先生:はい,正解肢になる確率があるのか,ないかの違いは,重要ですからね。この機会にぜひ,確認しておいてください。それでは,今日も時間となりましたので終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。