【前回のあらすじ】
民法司法令和3年13問を検討することになりました。
本日は,肢イです。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:なるほど,それは何よりです。
それでは早速,前回の続きということで,問題の検討を始めていきましょう。
民法司法令和3年13問肢イです。
「イ.甲土地の所有権が自己にあると過失なく信じて10年間その占有を継続した者は,甲土地上の抵当権の存在につき悪意であったときは,甲土地の所有権を時効取得することができない。」
正解はどうでしょう。
スク東先生:そうですね。なんでですか?
スク東先生:なるほどですね。ただ,それだと。
スク東先生:まあ,そうですよね。どう考えていきましょう。
スク東先生:なるほど,今回は,その迷ってしまう気持ち,よーくわかります。この肢は難しめのような気がします。
スク東先生:結局,所有権が自己にあるとして過失なく占有した者,抵当権者,いずれを保護すべきかという問題となります。
スク東先生:そうですね。要は,抵当権について悪意でも,「所有権が自己にあると過失なく信じて占有開始すること」はあるので,時効取得を認めたということでしょう。
条文も,一応も載せておきますね。
第162条
1 (略)
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
スク東先生:はい,そうですね,単純に占有を開始した者と,無関係の抵当権が土地建物についてた場合でしょう。抵当権は非占有担保物権ですので,土地建物として普通に使う分には問題ありません。そういうケースでしょうね。
スク東先生:はい,実際,最判昭43.12.24で,取得時効を主張したのは,昭和27年6月から占有を始めた内縁の妻の方のようです。内縁の夫から,土地と建物を譲りけたのですが,内縁の妻は登記を具備していない事案でした。
スク東先生:そうですね。もちろん,この肢で,判例の事実まで想定するのは不可能です。ただ,細かいことは知らなくても,当事者の目線に立てば,意味がわからない場合,放置するというのは,十分ありえることだと思います。
スク東先生:わかります。現場では難しいということでしょう。特に本番では解答時間が限られてますからね。大丈夫,安心してください。実際にこの問題は,そこのところ,うまく作られているんですよ。
スク東先生:なるほど,わかりました。次回は,その辺りを少し検証しましょう。本試験も近いですし,ちょうどいいですね。ということで,ちょうど,キリがいいので,今回はここまでにいたしましょう。それでは,この続きはまた来週お楽しみに。