【前回のあらすじ】
民法司法令和3年1問(民法予備令和3年1問)肢イを検討しました。
つぎは,肢ウです。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:なるほど、そうですか。体調管理には気をつけましょう。
では、早速、前回の続きを始めていきましょう。
民法司法令和3年1問肢ウ(民法予備令和3年1問肢ウ)です。
「ウ.失踪宣告を受けて死亡したものとみなされたAから甲土地を相続したBが,Cに甲土地を売却した後に,Aの失踪宣告が取り消された。この場合において,CがAの生存につき善意であったときは,Bがこれにつき悪意であったとしても,その取消しは,BC間の売買契約による甲土地の所有権の移転に影響を及ぼさない。」
正解はどうでしょう。
スク東先生:そうですね。なんでです?
スク東先生:なるほど,条文も確認しましょう。
(失踪の宣告の取消し)
第32条
1.失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2.(略)
スク東先生:32条後段で,失効宣告の取消後,その取消し前に「善意でした行為」の効力に影響を及ぼさないとありますが,この「善意」双方善意であることが必要なわけですね。
スク東先生:確かにそうなんですが・・・。
スク東先生:まあ,そうですよね。これだけなら,抑えられるとは思うのですが,例によって,なぜかを考える必要があります。どうして,双方善意の必要があるんでしょう。
スク東先生:なるほど,こういうときは,一つずつ利益状況を考えていきましょう。まず第三者(本件C)がAの生存について善意であることの必要性はわかりますか。
スク東先生:そうですね。Aが生きていることを知っている第三者Cに,権利取得を認めるのは,本人の権利が害されます。
スク東先生:はい,そんな感じで整理されるとよいでしょう。次に,相続したもの(本件でいうB)も善意である必要があるのはなぜでしょう。
スク東先生:いやいや,そんな難しく考えなくても大丈夫ですよ。単純に,BがAの生存について悪意だったら,勝手にAを死んだことにしたらまずいでしょ。
スク東先生:はい,Aから見ると,なんら悪くないのに,いきなり死んだことにされて勝手に財産を処分されるのは困ります。
スク東先生:よかったです。実際の状況を具体的に考えると,判例の結論も理解できますね。こんな感じで整理されるとよいでしょう。それでは,今日も時間となりましたので,この辺りで終わりとします。この続きはまた来週,お楽しみに。