【前回のあらすじ】
刑法の令和3年第23問肢アの検討を始めていきます。
それでは、はじまりはじまり。
スク東先生:こんにちは。調子はどうですか。
スク東先生:そうですか。とにかく、体調に気をつけましょう。早速、肢を検討していきましょう。予備試験令和3年第23問肢アですね。
【事例】
甲は,「令和2年12月5日午前1時頃,H市内のI公園内で,ゴルフクラブでVを殴打して殺した。」との殺人の事実により,H地方裁判所に起訴された。公判において,犯行の目撃者A,甲の妻B,甲の知人Cの証人尋問が,それぞれ実施された。
【記述】
ア.Aの,「話をしていた2人のうち1人が『甲,お前に貸した金を早く返せ。』と言うと,言い争いになり,その後,言われた方がもう一方に棒のようなものを振り下ろした。」旨の証言は,要証事実を「甲がVに借金をしていたこと」とした場合,伝聞証拠に当たらない。
忘れないように、事案を載せておきました。
結論は、どうですか。
スク東先生:なんでですか。
スク東先生:なるほど、意味をわかって正解しないといけません。伝聞証拠にあたると、証拠採用ができませんね。条文も確認しましょう(320条1項)。
(伝聞法則)
第320条
1.第321条乃至第328条に規定する場合を除いては、公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
スク東先生:そうですね。よく勉強されてます。そうすると、本件の要証事実との関係で、Aの供述を証拠採用すると誤判の恐れがあるかを見ていけばいいでしょう。改めてどうでしょうか。
スク東先生:まあ、あっているんですが、意味を取りたいですね。どういった意味で、証拠採用するとまずいかを説明しないと・・・。
スク東先生:おお、いいです。契約の当事者は甲とVで、たまたま犯行を目撃したAが知るわけないです。こんな発言で、要証事実が認定されると困りますね。
スク東先生:そうですね。概ね、そんな感じで判断していただければよいと思います。ただ、気を付けてほしいのは、今回の場合、公判廷の供述になるので、いわゆる「伝聞供述」となります。
スク東先生:はい、この場合、証言者の知っていることに対して反対尋問の行使が必要になります。証言者自身が、直接体験していることかをチェックするとよいでしょう。
スク東先生:それでは、今日も時間となりましたので終わりします。この続きはまた、来週お楽しみに。