刑法・令和2年第2問肢5を考えてみよう  その1

【前回のあらすじ】

刑法令和2年第2問肢4を検討しました。次は、肢5を考えていきましょう。

それでは、はじまりはじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうです。

考えている

普通です。

スク東先生:なるほど、そうですか。淡々とやるしかないですね。
では、前回の続きをやっていきましょう。問題はこちら。

〔司法試験令和2第2問・予備試験令和2年8問〕
5.甲は,自己が所有し,その旨登記されている土地を乙に売却し,その代金を受領したにもかかわらず,乙への移転登記が完了する前に,同土地に自己を債務者とし丙を抵当権者とする抵当権を設定し,その登記が完了した。この場合,同抵当権が実行されることなく,後日,その登記が抹消されたとしても,甲には,横領罪が成立する。

(他の肢は省略)

スク東先生:これは、どうでしょう?

東花子さん

えっと、横領罪が成立します。よって、正しいです。

スク東先生:いいですね。どのあたりが、ポイントでしょうか。

東花子さん

そうですね。甲は、乙に売却した後に乙に登記を移転することなく、勝手に、丙のために抵当権をつけてます。この辺りでしょうか。

スク東先生:いやいや、そこは、自己の占有する他人の物(本件でいう乙に所有権が移った不動産)に対して、委託信任関係に背いて所有者でなければできない行為(抵当権設定)をしているわけだから、横領罪にあたるとはずです。

花子さん

なるほど、失礼しました。「同抵当権が実行されることなく,後日,その登記が抹消されたとしても」とあります。こっちですね。

スク東先生:そうですね。本肢における特殊事情になります。ここに触れないと、問いに答えたとならないでしょう。では、この事情をどう考えていきますか?

東花子さん

そうですね。結局、損害は発生していません。これでも犯罪が成立するのは、自由保障との関係で行き過ぎではということでしょうか?

スク東先生:いいですね。最終的に横領を成立されるとしても、特殊事情に対しては、それっぽいことをぶつけてたいですね。ただ、どうでしょうかね。

考えている

うーん、甲は、所有者でなければできない行為をすでにやっています。たまたまの結果で免責されるのは、危険な行為を防止できないと思います。

スク東先生:そうですね。特殊事情に気付いたうえで、それを考慮することの問題点を逆に指摘できると、悩んでいる感じでますね。その上で、どう説明しますか。

東花子さん

はい、横領罪の法益である委託信任関係と所有権を登記移転の段階で侵害しているので、横領罪が成立するとなります。

スク東先生:いいですね。そのように整理すればよいでしょう。最終的に登記が消滅した事情は、個別具体的な事情として量刑では考慮されうるでしょう。

東花子さん

そうですね。構成要件は、違法有責類型です。特殊事情は、類型判断になじまないことはしっかり、確認したいですね。

スク東先生:はい、いいでしょう。問題を解くうえで大事な視点ですね。この機会にしっかり押さえましょう。それでは、今日も時間となりましたので、このあたりで終わりにします。この続きは、また来週お楽しみに。

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