刑法・条文から論点を考えよう(偽証罪を例にして)その4

【前回のあらすじ】

偽証罪の問題(予備平成26年第2問)を検討することになりました。見解の理解が、とても重要です。
本日は前回の続きを検討していきますよ。

では、はじまり、はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

考えている

まあまあですかね。

スク東先生:それは、なによりです。淡々と勉強続けていきましょう。
忘れないように問題文を載せておきます。

(予備26-2)
偽証の罪に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討した場合,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。
【見 解】
A説:「虚偽の陳述」とは,その内容が証人の主観的な記憶に反する陳述をいう。
B説:「虚偽の陳述」とは,その内容が客観的な事実に反する陳述をいう。
【記 述】
ア.A説は,証人が主観的な記憶に反する陳述をすること自体に司法作用を侵害する抽象的な危険が認められることを根拠としていると理解することができる。
イ.B説に対しては,結局のところ宣誓義務に違反したことを処罰するものであるという批判が可能である。
ウ.B説に対しては,証人が記憶に反する事実を客観的な真実に合致していると考えて陳述しさえすれば偽証罪が成立しないことになってしまうという批判が可能である。
エ.証人が,甲がVを包丁で刺した事件現場におらず,甲がVを包丁で刺すところを見ていないのに,客観的な真実は甲がVを包丁で刺したのだと考えて「私は,事件現場にいて,甲がVを包丁で刺したのを見た。」と陳述した場合,真実甲がVを包丁で刺したものであったとしても,「虚偽の陳述」に当たるかどうかを,事件全体との関係ではなく,個々の陳述との関係で判断するとすれば,B説からも偽証罪が成立する。
オ.証人が,Vを包丁で刺した犯人を見て,そのときは犯人が甲に見えたが,その後記憶が曖昧になり,逆に報道などを見て「真実はVを刺したのは甲ではない。」と考えるに至り,「Vを包丁で刺した犯人が甲でないことは間違いない。」と陳述した場合,真実Vを包丁で刺したのが甲であれば,いずれの説からも偽証罪が成立する。
1.ア エ 2.ア オ 3.イ ウ 4.イ オ 5.ウ エ

では、今日は、前回の続きで、肢のエから検討していきます。結論、どうでしょうか。

東花子さん

正しいですね。

スク東先生:なるほど、どうしてでしょう。

花子さん

えっと、客観的な事実は、「証人が,甲がVを包丁で刺した事件現場におらず,甲がVを包丁で刺すところを見ていない」のに、現場にいたかのような陳述をしてます。したがって、客観的に事実に反してますね。

スク東先生:その通りです。しかも、甲は、現場にいないことも知っていて、その発言をしているので、故意もありそうです。結論は、よいのですが、何か気になる点ありませんか。

東花子さん

「虚偽の陳述」に当たるかどうかを,事件全体との関係ではなく,個々の陳述との関係で判断するってところですかね。

スク東先生:そうそう、馴染みのないこの記述には着目したいですね。結局、どこを考えていきましょう。

考えている

はい、事件全体との関係では、「真実甲がVを包丁で刺し」ているので、客観的に真実です。したがって、B説では偽証罪が成立しないことになってしまいます。

スク東先生:いいですね。ただ、さすがに、たまたまあっていたから、犯罪が成立しないとするのは、法益保護の観点からみても問題です。

花子さん

ええ、だから、A説が適当ということでしょうが・・・。B説でも、供述と関係でとらえれば、嘘をついているわけだから、犯罪を成立できるというわけですね。

スク東先生:そうですね。B説の方が、条文の読み方は自然です。したがって、なるべくこのよい点を尊重して結論の妥当性も図る考え方なんでしょう。

(偽証)
第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3か月以上10年以下の懲役に処する。

東花子さん

はい、ただ、なんか技巧的。

スク東先生:そうですね。あんまり、難しい基準を立てると、運用が難しくなります。ですので、A説がやっぱり妥当なんでしょうね。

東花子さん

わかりました。それで、結局、この肢は何を聞きたかったんですか?

スク東先生:それ、いい質問です。おそらく、論理でしょうね。一般に、こんな考え方を受験生は押さえていません。ですので、与えられた情報を使って、正解を導く力を問いたかったのでしょう。

東花子さん

なるほど、事前にこの見解を知らないとダメだという話ではないわけですね。

スク東先生:そうです。むしろ、そういう暗記中心の人ができないように問題を作ってます。こういう肢は、現場で考えて解答するものだということをしっかり知っておきたいですね。

花子さん

わかりました。一般的に知らない内容がでた際は、問題文の中に何かヒントがないか探すようにします。

スク東先生:いい心がけです。ぜひ、そうしてしてください。では、次オといきたいところですが・・・。

東花子さん

・・・・・

スク東先生:そうですね。いろいろ確認しましたからね。一気に検討すると、消化不良になってしまうますので、本日はこの位にいたしましょう。よーく復習しておいてくださいね。

花子さん

はーい!!

スク東先生:(終わるとなったら、急に元気になったらな。)まあ、いいや、それでは終了します。この続きは、また来週お楽しみに。

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