刑法・条文から論点を考えよう(偽証罪を例にして)その2

【前回のあらすじ】

偽証罪の問題を検討することになりました。
検討する前提で、しっかり見解の意味を理解しないといけないことを確認しました。
条文を根拠に整理することが大事なのですが、うまくできるでしょうか。
確認していきましょう。
では、はじまり、はじまり。

スク東先生:こんにちは、東さん。調子はどうですか。

東花子さん

まあまあです。

スク東先生:ふーん、そうですか。一般的な話題になりますが、トランプ大統領もコロナウィルスに感染されたようですね。コロナに感染したら、大変なのでマスク、手洗いなど予防をしてきましょう。

考えている

そうですね。あと、三密も回避ですね。よろしくお願いします。

スク東先生:はい、では早速、今日は、偽証罪の見解を分析してきたいと思います。
今回は、わかりやすいように、見解・条文に絞ってのせることにしますね。
それで、東さんAとBの説が根拠、整理できました?

【見 解】
A説:「虚偽の陳述」とは,その内容が証人の主観的な記憶に反する陳述をいう。
B説:「虚偽の陳述」とは,その内容が客観的な事実に反する陳述をいう。

(偽証)
第169条
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3か月以上10年以下の懲役に処する。

東花子さん

えっと、それがですね。実は、よくわかりませんでした。

スク東先生:そうですか。ちょっと細かいですからね。では、一緒に考えていきましょう。まず、単刀直入にB説ですが、「虚偽の陳述」を客観的構成要件(普通の構成要件)と同じように読むと導けますよ。

東花子さん

なるほど、確かに客観的構成要件だと、構成要件該当した後に、故意(38条1項)の問題になりますからね。

スク東先生:はい、よくB説のことを客観説とかいったりしますが、これは、普通の構成要件として読むということを、ただ言っているだけです。この辺りを踏まえずやると、なかなか記憶に残りませんね。

花子さん

はい、ただ、やっている感がでてしまいます。

スク東先生:ええ、それだと、別の年に偽証の問題が出ても、またできないになってしまいます。そうならないよう、この辺りを押さえたいですね。私は、間違えないように、客観説ではなくて、客観・主観説(普通の構成要件)として読む説と理解していますよ。

東花子さん

なるほど、置き換える工夫は大事ですね。

スク東先生:はい、どうしても、ありきたりだと、硬くなって頭に入ってきません。こういうところは、しっかり工夫したいですね。ただ、判例はA説を取っています。これは、どうしてだか、わかります?

花子さん

はい、「虚偽の陳述」をB説のように読むと、証言者に故意がなければ(真実だと信じていれば)、偽証罪が成立しないことになります。その結果、法益保護(国家の司法作用)の目的が達成されませんね。

スク東先生:その通り、信じ入れば何でもOKということだと、非常にまずそうです。そこで、A説の出番ですね。

東花子さん

ええ、「虚偽の陳述」は、主観を意味しているとして結論の妥当性を出すわけですね。

スク東先生:その通り!!これで前提の理解ができました。ここから、ようやく問題検討です。

東花子さん

なるほど、やみくもになっても、ダメですね。

スク東先生:そうです。過去問を解く意味は、問題を通して理解を深めることです。正解ばかりに、意識を向けると、ちょっと変えられたら、すぐ解けなくなってしまいますよ。
ぜひ、気を付けましょう。それでは、今日も時間となりましたので、この辺りで終わりにしたいと思います。
この続きは、また来週、お楽しみに。

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