刑法総論・共犯3

前回のあらすじ

刑法総論での重要論点である共犯について、短答過去問を使って理解を深めました。

今回も過去問28−19肢3の検討を通して、引き続き共犯についての勉強進めます。

それでは、はじまり、はじまり。

スク東先生:どうですか、今年は新型コロナ・ウイルスの影響で、皆さん毎日の生活でも不便を強いられていると思います。しかし、予備試験・司法試験合格に向けて、気合を入れて頑張りましょう。

東さん:はい、頑張ります。

スク東先生:では、前回の続きから早速、始めましょう。

司28−19

3、甲は、乙からAの殺害計画を打ち明けられ毒薬の入手を依頼されたことから、毒薬を購入して乙に渡したが、乙は、毒薬での殺害計画を変更し、Aを包丁で刺して殺害した。

甲には、殺人予備罪の共同正犯が成立する。

スク東先生:どうですか。

東さん:正しいです。甲には、A殺害につき殺人予備罪の共同正犯(刑法201条、60条)が成立します。

スク東先生:結論はそれで、結構です。ですが、正解への道筋を考えましょう。

たしかに、乙は当初の殺害計画と異なり、毒薬を使用しませんでした。しかし、乙は、最初の意図通り、Aを殺害しています。甲にもA殺害に対する罪責は問えないのでしょうか。

東花子さん

東さん:うーん、そうか。確かに、よく考えると、なぜ殺人予備罪の共同正犯になるのか、はっきりしませんね。

スク東先生:その通りです。ところで、東さん、前回何を議論しましたっけ?

東さん:えっと、共犯の処罰根拠ですね。因果的共犯論です。

スク東先生:そうですね。東さん、大枠の理解ですよ。そこが大事です。

東さん:あっそうか。甲の毒薬準備と乙の包丁を持って殺害した行為とは、因果性が認められませんね。乙は、毒薬での殺害計画を変更して、Aを殺害していますね。

スク東先生:そうです。たしかに乙は甲と「共謀」して殺害計画を立て、その通りAを殺害しています。そうすると、甲が実際にAを殺害した以上、殺人罪の共同正犯が成立するようにも思われます。

しかし、乙は、甲が用意した毒薬ではなく、包丁を使って殺害しています。これは、甲との謀議に基づく行為ではなく、乙単独の犯罪行為と評価できます。

したがって、甲には、殺人罪の共同正犯(199条、60条)は、成立しません。

ですが、甲には、何らの犯罪も成立しないとしてよいのでしょうか。

東さん:よくありません。A殺害計画に基づき毒薬を用意しています。

スク東先生:そうですね。

だから、殺人予備罪の限度で共同正犯が成立しないか、と考えるべきです。

もっとも、すぐ予備罪の共同正犯成立に飛びつくには問題があります。

刑法60条は、共同正犯について「共同して犯罪を実行した」とあり、43条の「実行」との整合性が問題となるからです。

では、どう考えたらよいでしょうか。

東さん:43条は、正犯の実行行為についての規定ですよね。それに対して、60条は、共犯の既定です。枠組みの違いから考えたらどうでしょうか。

スク東先生:いいですね。そうです。43条は、正犯処罰の根拠としての「実行」行為をいっている。それに対して、60条は、共犯の規定です。共犯の処罰根拠は相互利用関係があればよい。だとしたら、43条と60条の「実行」については、同一に解する必要はないと考えます。

東さん:なるほど。花子さん

スク東先生:大枠の理解から考えましょう。

さて、そろそろ時間です。

次回も共犯について検討します。お楽しみに。

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