刑法総論・共犯2

前回までのあらすじ

刑法総則において、重要な論点の1つである共犯について考えました。共犯は正犯の存在が前提です。正犯の処罰根拠は、正犯による法益侵害の現実的危険ある行為に、あることを踏まえる必要があります。共犯の処罰根拠である因果的共犯論の理解が重要です。

 前回は、かなり抽象的な話になりました。今回は、過去問で具体的に検討します。

それでは、はじまり、はじまり。

スク東先生:どうです、東さん、予備試験・司法試験の試験日も8月半ば(予備試験は短答式試験が8月16日〈日〉、司法試験は8月12日〈水〉から16日〈日〉まで)と、決まりました。

あと2ヶ月ちょっとですね。調子は、乗ってきましたか。

考えている

ボチボチです。

スク東先生:そうですか。焦らず、大枠での理解を大切にしてください。

では、早速、始めましょう。前回,共犯の処罰根拠が、因果的共犯論にあるとを確認しました。

花子さん

はい、そうでした、そうでした。

スク東先生:東さん、因果的共犯論というのは、何でしたっけ。

東:はい。えっと、確か,正犯を通して法益侵害および危険性を惹起したとする考え方だったと思います。

スク東先生:いいですね。因果的共犯論の「因果」にポイントにあります。ここは、しっかり押さえましょう。それでは、具体例を一緒にみていきましょう。

検討する問題は、司法試験の短答問題、平成28−19の肢2です。

〔司法28−19〕

2. 乙は、路上で、Aの頭部を蹴って転倒させ、Aに脳挫傷の障害を負わせたが、その直後に駆けつけた甲は、Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知り、Aの抵抗が困難になっている状態を利用してAに暴行を加えようと考え、乙と意思を通じ、代わる代わるAの腹部を蹴り、腹部に打撲傷の障害を負わせた。甲には脳挫傷の傷害についても乙との傷害罪の共同正犯が成立する。

スク東先生:どうですか、脳挫傷の傷害についても乙との共同正犯(刑法60条)は、成立しますか。

東:成立しません。

スク東先生:そうですね。

では、なぜでしょう。甲は、Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知って、Aの抵抗が困難になっている状態を利用して暴行をしてますよ。甲は許せない奴なんで、責任を負わせてもいいんじゃないですか。この点について,どう思います。

東:確かに・・・。そうとも思えるのですが,脳挫傷については、甲の参加の時点で既に終了しています。ですので、甲に脳挫傷の責任を負わせるべきではないと思います。いくら利用していても,強盗罪のような暴行または脅迫行為とそれによる強取行為が結合している犯罪類型とは違いますからね。

スク東先生:なるほど、よく勉強されてます。ただ,もう少し説明が欲しいですね。わかります?

東花子さん

えっ、なんだろう。

スク東先生:いやー、ほら。なんかあるでしょう。どうして、この肢検討しているでしたっけ。

東花子さん

うーん。

スク東先生:いやいや、そんな難しく考えないで。ほら最初、因果的共犯論のこと確認したじゃないですか。

東:あっ、失礼いたしました。すでに終了している結果に対して、因果を及ぼしようがありませんね。ですので、共犯(共同正犯)として処罰できる根拠がないと思います。

スク東先生:そうですよ。抽象的なことを理解するために、問題を使っているのに、その中で全く理論について触れなかったら、何のためにやったんだという話になってしまいます。

花子さん

確かに、問題を解くことに夢中で、スカッと忘れてしまってました。

スク東先生:うーん、気持ちはわかるのですが、いけませんね。本番なら解けるか解けないで一喜一憂するのも、まだわかるのですが・・・。

東:そうですね。理解の段階で、それをやってはダメですね。

スク東先生:そういうこと。先に繋がるように勉強をしましょう。目先を見ているとどうしても、やったことに満足してしまうので気を付けたいですね。

花子さん

わかりました。ありがとうございます。

スク東先生:はい、それでは,キリがいいので、本日はこのあたりで終わりにしましょう。今回の検討を通して、理論と問題を結びつける感覚を養っていただければと思います。こんな感じでやれると、メキメキ力がついてくると思いますよ。頑張っていきましょう。それでは,この続きは,また来週,お楽しみに。

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