前回までのあらすじ:
令和元年15問の肢2「いわゆるけんか闘争において相手方に対してした暴行行為については、正当防衛が成立する余地がない」を検討することになりました。
サクッといきたいと花子さんは、いっていたのですが、ポイントわからないとダメでしょと、言われたのでした。
そこで、改めて問題点を整理することになりました。
では、はじまり、はじまり。
スク東先生:こんにちは、東さん。それでは、早速、前回の続きいきましょう。
問題は、令和元年15問の肢2「いわゆるけんか闘争において相手方に対してした暴行行為については、正当防衛が成立する余地がない」でした。ポイント考えてこられましたか。
スク東先生:おお、いいですね。なんで、わかったんですか。
スク東先生:そうですね。わざわざ書いてあるところが、問題文のポイントになります。こういうところは、サラッと流さない方がいいでですね。その上、問題の所在わかりましたか?
東:えっと、昔から「けんか両成敗」という言葉があるくらいなので、両方とも処罰すべき、すなわち正当防衛が成立しないのではというのが、疑問点だと思いました。
スク東先生:いいですね。ポイントがしっかりでました。その上で、「正当防衛が成立する余地がある」というのが答えですが、どう考えていきましょう。
東:はい、一言で、「けんか」といっても、具体的に考えてみると、正当防衛を認めないおかしい場合が、あると思いました。
スク東先生:なるほど、どういった場合でしょう。
東:うーん、例えば、けんか(闘争)がエスカレートして、相手が急にナイフなどで切り付けてきた際に、一切、素手でも反撃できないのは、問題だと思いました。
スク東先生:そうですね。口論くらいならまだしも、武器を持ち出して相手を痛めつけようとすることは行き過ぎです。このような場合は、不正な行為に対して、正当な法秩序が存在するという「法確証の利益」があります。したがって、正当防衛の成立を認める必要性がありますね。
東:はい、「けんか」という抽象的な言葉で片付けず、具体例をイメージするとよいと思いました。
スク東先生:そうですね。今回やったような「抽象」と「具体」を両方意識するのは解放テクニックとして使えます、ぜひ活用したいですね。あとは、正当防衛が違法性阻却事由なので、一言「けんか」といっても社会的相当な行為といえるときもあるのでは、くらいのアプローチでもよいでしょう。
東:なるほど、いろいろ、解法があるんですね。
スク東先生:そうですね。大事なことは、一定の筋道が通っていることです。それがあれば、本番で似たような問題がでたときに、正解がとれるわけですから。
スク東先生:はい、細部にこだわると、どんどん覚えることも増えていって、大変になってしまいます。その点はぜひ、気を付けましょう。はい、これでちょうど、今回はキリがいいので、このくらいにしておきましょう。この続きは、また来週お楽しみに。