予備試験30年7問(民法)肢アを検討する 第2回 相続放棄と詐害行為取消権(民法424条2項)その1

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験30年7問(民法)肢アを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験30年7問(民法)肢「ア.相続の放棄は,相続の放棄をした債務者が債務の履行を長期間怠るなど背信性の程度が著しい場合に限り,詐害行為取消権の対象となる。」を検討していきます。

結論は,どうですか。

考えている

誤ってますね。

そうですね。どうしてでしょうか。

東花子さん

どうやら判例があるようです。(最判昭49.9.20)

なるほど,それだと。

考えている

そうですね。ただの暗記ですね。

はい,やはり意味を確認しないといけません。併せて,条文を確認しましょう。

(詐害行為取消請求)
改正第424条
1 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。

(詐害行為取消権)
現行第424条
1 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者又は転得者がその行為又は転得の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない法律行為については、適用しない。

東花子さん

おお,改正法もあがってますね。

そうですね。今後は,改正法が重要になりますからね。
まあ,現行,改正法でも本件の場合,取扱いは変わらないでしょうね。

東花子さん

えっ,なんででしょう。

いやいや,相続放棄の場合,財産権を目的としない法律行為(424条2項)で,この条文は現行法も,改正法も変わっていないじゃないですから。

花子さん

なるほど,確かに。良かったぁ。

ただ,なぜ相続放棄が「財産権を目的としない法律行為」となるんでしょうかね。

考えている

うーん,本人の意思を尊重べき身分行為だからではないでしょうか。

なるほど。ただ,よくこの話と比較される遺産分割(最判平11.6.11)は,詐害行為の対象となります。
遺産分割も本人の意思を尊重すべき身分行為ともいえそうですが,相続の放棄とは結論が分かれてますね。

東花子さん

確かに,よく聞く話ですね。なんでだろう。

はい,そうですね。この機会にそこを整理することにしますか,過去問を通して周辺知識を押さえるのが大事ですからね。

東花子さん

わかりました。ぜひ,考えてみます。

いい返事です。ぜひやってみてください。整理する際には,実際の場面をイメージしましょう。
そうすると,相続の放棄と遺産分割の違いがはっきり分かりますよ。
それでは,今日も時間となりましたので,終わりします。この続きは,また来週お楽しみに。



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