予備試験30年3問(民法)肢オを検討する 第8回 占有の訴えに対して本権に基づく反訴提起できるか その2

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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験30年3問(民法)肢「オ.占有の訴えに対し,本権に基づく反訴を提起することはできない。」を検討することになりました。判例があるので,誤りであることは分かったのですが,条文から問題の所在を指摘してくださいということになりました。花子さんは,しっかり,判断できたのでしょうか。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
まず,条文を載せておきますね。

(本権の訴えとの関係)
民法第202条
1.占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない。
2.占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。

昨日の質問で肢オの問題の所在を条文から導けましたか。

考えている

はい,なんとか分かりました。結局,本権に基づく反訴を提起するということは,「本権に関する理由に基づいて裁判」しているんじゃないかっていうことですね。

まあ,そうですね。反訴(民訴146条)によって裁判が行われるでしょうからね。
ただ,それだとどうでしょう。

東花子さん

そうですね。被告が本権の訴えをするには別訴提起しなさい(202条1項)ということになります。

いいですね。論理的に筋が通ってます。ただ,これを相手方に要求するのはどうでしょうか。

東花子さん

ええ,手続的に面倒ですね。あと,別訴だと弁論が別で矛盾もあるかもしれないし・・・。

そうなんですよ。ですので,この場合に反訴を認めて,一挙に解決する必要性があります。
あとは,どうすれば良いでしょうか。

東花子さん

そうですね。その結論にあるように,しれっと解釈をすればいいですね。

その通りです。解答の方向性が分かってきましたね。

東花子さん

おかげさまで・・・。ありがとうございます。

それで,どうしましょう。

東花子さん

えっと,202条の趣旨は,自力救済を防止する趣旨です。要は,占有を奪って占有回収の訴えをした場合に,所有権があるから本請求が認めらないという話はできないという話です。

いいですね,続けてください。

花子さん

したがって,反訴は,202条1項とほぼ同じとみて,202条の禁止する裁判にあたらない趣旨と解すればよいと思いました。

おお,それで概ね大丈夫でしょう。大事なことは,あくまでも条文の言葉を無視しないことです。
条文を踏まえつつ,整合性を取る。これをとにかく意識するようにしましょう。
それでは,今日も時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日,お楽しみに。



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