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平成29年司法試験民法(解説編)
平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)
まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験30年2問(民法)肢「オ.代理人が相手方と売買契約を締結した後,その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合であっても,本人は当該売買契約を行為能力の制限によって取り消すことができない。」を検討することになりました。
その際,問題文の事情「その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合」をしっかり指摘することが大事ということになりました。事情を拾うには,利益状況をイメージすることがポイントのようです。
花子さんは,できたのでしょうか。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,始めていきます。
まず,忘れないように条文を載せておきますね。
(代理人の行為能力)
第102条
代理人は、行為能力者であることを要しない。
それで,昨日の質問についてしっかり考えてきましたか。
「売買契約を締結した後,その代理人が制限行為能力者であったことが判明した場合」について,どういう利益状況があるかということですよ。
まあ,今回はちょっと,漠然としてしまいましたからね。
では,一緒に考えていきましょう。
まず確認ですが,この場合の本人は,代理人の選定時で,代理人が制限行為能力者であることは分かっていたんですかね。
いいですね。ということは,本人から見ると,真意に沿わない代理人を選任したといえそうです。
そして102条は,本人の活動を広く認めるためのものだ。
そこで,同条は,本人が制限行為者のリスクを承知していた場面,すなわち予め制限行為能力者であることを知っていたときに適用することを想定しているのでは?との疑問が持てます。
そうですね。利益状況を踏まえると,論理的に筋が通っているように思います。
予め知っている正解を追うと難しいですが,少なくとも本人の保護の必要性を,利益状況から出せるといいでしょう。
そういうこと!!
結局,102条で本人の活動の自由を広く認めようとした法目的が,完全に裏目にでてるんですよ。
したがって,この場合,同条の趣旨は及ばない。
その結果,本人は制限行為能力者の法律行為を取消せるのでは?ということでしょう。
はい,そうですね。実際,うまくいっているかの疑問もあるのですが,とにかく論理が大事です。
ですので,ここで整合性が取れていれば,経験上,そんなに滅茶苦茶なことは言っていないように思います。
いいですね。議論が深まってきました。結局,このような疑問も生じますが,この時も102条が適用されるという結論になります。なぜか,もう少し状況を考えたいですね。
そうですね。自分で考えないと結局,すぐに忘れてしまいますからね。ぜひ,やってもらいましょう。
ここで,ヒントを差し上げましょう。本人と利益が対立する人からの視点から考えてみましょう。
そうすると,いい発見できるように思いますよ。それでは,今日も時間なりましたので終わりにします。
この続きはまた明日,お楽しみに。