司法試験29年36問(民法)肢3を検討する 第6回 一般社団法人の債権者と社員の権利関係

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平成29年予備試験民法(解説編)
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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年36問(民法)肢3を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,司法試験29年36問(民法)肢「3.一般社団法人の債権者は,各社員に対して,その権利を行使することができる。」を検討していきます。

結論は,どうですか。

考えている

誤っていますね。

どうしてですか。

東花子さん

うーん,法人の場合,独立して権利能力の主体となります。各社員の財産とは区別されるのではないでしょうか。

そうですね。ただ,法人でも社員が個人責任を負う場合もありますよ。

考えている

確かに,合名会社(会社法576条2項)や合資会社(会社法576条3項)には無限責任社員がいますからね。

そうですよね。ですので,その説明だけだと,少し物足りないように思います。

東花子さん

うーん,そうですかぁ。すいません,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の27条に,規定があるみたいです。

なるほど,一緒に確認してみましょう。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
(経費の負担)
第27条 社員は、定款で定めるところにより、一般社団法人に対し、経費を支払う義務を負う。

確かに,社員は,一般社団法人に対し経費を支払う義務を負います。しかし,債権者に対して債務は負わないように読めますね。

花子さん

はい,ですので,一般社団法人の債権者は各社員に対して権利行使できないと思います。

うーん,なるほど結論としては,そうでしょうが,さすがにそれは・・・。

花子さん

そうですね。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律27条なんて,分かりませんね。

はい,ということは,今の話は実践で,まあ使えないことになります。

東花子さん

確かに,やはり意味を考える必要がありますか・・・。

その通りですね。どの辺りから検討していきましょうか。

東花子さん

えっと,やっぱり原則から行きたいですね。

いいですね。そうすると,結論はどうなりますか。

考えている

うーん,法人と社員は,責任財産の主体として別だから,債権者は,各社員に対しては権利行使できないです。あれ,最初の話に戻りました。

そうですね。ということは,一般社団法人の債権者は各社員に対して権利行使できないのは,まさに原則通りの帰結となります。この考えによれば,むしろ合名会社,合資会社が,例外とみれるでしょう。
一般社団法人は,これらの会社とは事情が違う点を確認したいです,どうでしょう。

東花子さん

そうですね。一般社団法人は,営利を目的としていません。それなのに社員に債務を負わせるのは,負担が重いのではないでしょうか。

まあ,そんなところでしょう。ですので,原則を貫く。一般社団法人の債権者としても,やむを得ないでしょう。とにかく,大枠から説明することポイントですね。

東花子さん

なるほど,細かいことで分かった風に説明しても,実践では使えないからですね。

そういうこと。実践ではできることは限られてますからね。そんな感じで勉強をしていきましょう。それでは,今日も時間となりましたので,終わりにします。
この続きは,また明日,お楽しみに。



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