司法試験29年28問(民法)肢ウを検討する 第12回 635条ただし書と634条の関係を考える(最判平14.9.24) その4

こんにちは,スク東ブログへようこそ。解説編,好評公開中。

平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)

まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年28問(民法)肢「ウ.建築請負の目的物である建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合であっても,注文者は,請負人に対し,建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することはできない。」を検討することになりました。635条ただし書の趣旨を,請負人に過大な負担を与えないようにするといえば,請負人を保護できそうなのですが,判例は,これを認めていません。
どうしてでしょう。利益状況を押さえるとよいようですが,やっていきましょう。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,続きを行きましょう。
条文を載せておきますね。

(請負人の担保責任)
第635条
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

(請負人の担保責任)
第634条
1.(略)
2.注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。

結局,635条ただし書の趣旨を請負人に重い負担を負わせないものと理解すれば,この場合に損害賠償請求を認めないこともできそうですが,この考えを判例は採用してませんね。
どうしてか,整理しましたか。

考えている

はい,一応。よーく考えると,この場合に請負人を保護すると,注文者が困ると思いました。

そうですね。注文者が建物の建替えに要する費用相当額をもう一回負担するのは,さすがにきついでしょう。

東花子さん

そう思います。ですので,この場合に請負人を保護できないと思いました。

はい,この辺は実際に利益状況を考えるとわかりますね。

東花子さん

そうですね。逆にそれができないと,気付かないと思いました。

そうですね。ぜひ,当事者目線をもつようにしてください。あとは,この結論に向かって調整するだけです,635条ただし書の趣旨をどう説明すれば良いでしょう。

考えている

えっと,建物の経済的価値を保護すると説明すればよいと思います。

いいですね。そう理解すれば,この場合は損害賠償請求を認められます。ただ,請負人としても,酷なときがあるように思うんですが・・・。特に,634条の責任は無過失責任ですからね。

東花子さん

うーん,確かに!実際,どうなるんだろう。

そうですね。まあ,請負人が保険に入っていれば,そこから賠償金がでるんでしょう。
この辺りは理解を助ける上で,軽く見ておく位でいいでしょうけどね。

東花子さん

なるほど,注文者にとって建物は1の1ですが,請負人は通常,業務として行ってます。したがって,何棟も建物を立てることが予定されてますね。

いいですね。ということは,請負人としてはトラブルを予測して,予め準備できるはずなんです。
まあ,試験的に,あまり関係ないですが,こんな感じで道理を追えると,より理解が深まります。

花子さん

そうですね,良くわかりました。ありがとうございます。

はい,考えると視界も広がります。こんな感じで,積極的に勉強しましょう。それでは,今日も時間となりましたので,終わりします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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