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平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)
まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢「オ.Cが本件売買契約の締結時に甲土地の所有権がBに属しないことを知らなかった場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Cは,甲土地の所有権がBに属しないことを知った時から1年以内に限り,本件売買契約を解除することができる。」を検討することになりました。
前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合です。
560条,561条で除斥期間の適用がないことは,利益状況から確認しました。問いを解くだけならそれOKなのですが,563条と564条についても確認することになったのでした。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。それでは,早速,続きをやっていきましょう。
例によって,条文を載せておきますね。
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
第563条
1.売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。
2.前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。
3.(略)
(権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任)
第564条
前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ一年以内に行使しなければならない。
昨日560条,561条について,確認しましたね。ついでに,563条,564条についても,整理するという話でした。一部他人物だった場合に,除斥期間があるのはなぜか考えてみましたか。
あのー,それは結論から考えれば,なんとなくわかりませんか。
そういうことではなく,一部と全部でどう利益状況が違うかから考えてもらいたいです。
なるほど,そこは具体的に考える必要性があります。全部他人物の場合,買主からすると権利の有無の問題(権利が入るか否か)になるのに対し,一部他人物の場合,あくまでも程度の問題(他人物でない部分は問題なく取得する)となる点で,大きな違いがありますよ。
そうですね。まあ,大きかったとしても,一律に取扱わないと法的安定性が害されます。
ですので,法も早期安定を図ったと理解すれば良いでしょう。
はい,こんな感じで利益状況を把握りながら整理することが大事です。つじつまが合えば概ね,あっていると思いますので,自分なりに工夫して条文を押さえるようにしましょう。
そうですね。そうしないと,忘れてしまいますからね。ぜひ,参考にしてみてください。
それでは,今日も時間となりましたので終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。