司法試験29年27問(民法)肢オを検討する 第11回 他人物売買に除斥期間の適用があるか(561条) その2

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平成29年予備試験民法(解説編)
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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年27問(民法)肢「オ.Cが本件売買契約の締結時に甲土地の所有権がBに属しないことを知らなかった場合において,Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは,Cは,甲土地の所有権がBに属しないことを知った時から1年以内に限り,本件売買契約を解除することができる。」を検討することになりました。
前提の事実は,A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合です。結論は,条文をみれば明らかなのですが,例によって意味を考えることになったのでした。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
すぐに確認できるように,条文を載せておきますね。

(他人の権利の売買における売主の義務)
第560条
他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。

(他人の権利の売買における売主の担保責任)
第561条
前条の場合において、売主がその売却した権利を取得して買主に移転することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の時においてその権利が売主に属しないことを知っていたときは、損害賠償の請求をすることができない。

結局,561条は,167条1項の時効の問題として処理されます。
この点について,考えてこられましたか。

考えている

うーん,考えてみたのですが,良くわかりませんでした。

なるほど,そうですか。ちょっと,難しく考えすぎてしまいましたかね。
それじゃ,一緒に整理していきますか。まず,除斥期間というのは,そもそも何のためにあるんでしょうか。

東花子さん

そうですね。権利関係の早期安定を図るためでしょうか。

いいですね。そこは,一つ確認しておきたいですね。では,この場合に除斥期間を設けて,早期安定を図る必要性はあるのでしょうか。

東花子さん

うーん,どうでしょう。

少し漠然としてしまいましたかね。そう構えなくても大丈夫ですよ。結局,売主の目線に立つと,あまり長期にわたって解除等を認めるとどうですかね。

考えている

なるほど,困りますね。ということは,一応,早期安定を図る必要性はありそうですね。

そうですね。この辺りは,ある程度ざっくり必要性を認定すれば良いと思います。ただ,一方で,本件の場合に,除斥期間を設けて,買主に不利益を負わせてよいのかという疑問があります。この点についてはどうですかね。

東花子さん

そうですね。買主にとって問題だと思います。

いいですね。今のように,論理的に推定することは大事です。
では,どうしてこのような結論(条文)になっているのでしょうかね。

考えている

うーん,ちょっと考えて見ていいですか。

そうですね,少し時間を上げますので,整理してみてください。
考える際には,具体的に利益状況を考えてみてください。その際に,一部他人物(563条,564条)と比較するよいしょう。

東花子さん

わかりました。やってみます。

ぜひ,頑張ってください。それでは,今日も時間となりましたので終わりにします。
この続きは,また明日,お楽しみに。



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