司法試験29年26問(民法)肢3を検討する 第8回 民法571条を考える その3

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平成29年予備試験民法(解説編)
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まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年26問(民法)肢「3.売買契約の目的不動産について隠れた瑕疵があり,買主が損害賠償請求権を有する場合には,売主の代金請求権と買主の損害賠償請求権は同時履行の関係にある。」を検討することになりました。
瑕疵担保責任の法的性質は,法定責任説です。
その場合,売主の代金請求権と買主の損害賠償請求権は双務契約に基づくものでないので,同時履行の関係には当然にはならないはずなのですが,571条があります。
どうして,そうなっているのでしょうか考えてみましょう。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
忘れないように,条文を載せておきます。

(売主の担保責任と同時履行)
第571条
第533条の規定は、第563条から第566条まで及び前条の場合について準用する。

(売主の瑕疵担保責任)
第570条
売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第566条
1.売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2.(略)
3.(略)

(同時履行の抗弁)
第533条
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

瑕疵担保責任の法的性質は,法定責任でした。
そうすると,571条は,代金債権と担保責任が,同時履行の関係であることをあえて規定しています。
どうしてか考えましたか。

考えている

はい,一応。結局,代金の支払いを先履行とすると,担保責任の実効性を図る上で問題だと思いました。

そうですね。売主は,自己の責任(担保責任)をキチンと果たす必要があります。
一方的に,代金請求を認めることは,当事者間の公平を図る上ですね。

東花子さん

ええ,だから,571条があると思いました。

いいですね。この肢の解答として,大筋これで大丈夫なのですが,少しこの機会に確認したいことがあるんですよ。

東花子さん

そうなんですか。なんだろうな。

実は,今度実施する民法の改正法では,571条が削除されているんですよ。

改正民法571条 削除

東花子さん

えっ,そうなんですね。じゃあ,代金債権は先履行になるんですか。

いやー,そういうわけではなくて,改正民法533条に,記載がされることになりました。

(同時履行の抗弁)
改正民法第533条
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

花子さん

なるほど,そうなんですね。

はい,今後,必要になることもあるかを思いますので,指摘だけしておきます。この肢の出題意図もこの辺にあるかもしれませんね。
それでは,時間となりましたので,これで終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。



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