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平成29年予備試験民法(解説編)
平成28年予備試験民法(解説編)
平成27年予備試験民法(解説編)
まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年18問(民法)肢「エ.連帯債務者の一人が債務を承認したことによる時効中断の効力は,他の連帯債務者には及ばない。」を検討することになりました。
答えはでたのですが,「承認」と「請求」(434条)の違いを少し考えることになりました。
利益状況の違いを押さえることが大事なようですが,花子さんはわかったのでしょうか。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,始めていきましょう。
忘れないように,条文を載せておきます。
(相対的効力の原則)
第440条
第434条から前条までに規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
(時効の中断事由)
第147条
時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認
(連帯債務者の一人に対する履行の請求)
第434条
連帯債務者の一人に対する履行の請求は、他の連帯債務者に対しても、その効力を生ずる。
承認(147条3号)と請求(147条1号)で「相対効」か「絶対効」かの取扱いが異なります。
債権者を保護する必要性は,両者ともありそうなのですが,違う理由を考えられましたか。
おお,そうです,良くわかりましたね。
そうですね。利益を受ける側だけを見るのではなく,不利益を受ける者にも意識を向ける必要があります。
バランスを図る上で大事な視点です。それで,他の連帯債務者の視点で考えると,どうなりそうですか。
いいですね。連帯債務者は共同活動をしていますが,「承認」したことが伝わらないこともあるでしょう。
それなのに,いきなり時効の中断が生じるのは,他の債務者にとって不意打ち感があります。
概ね,大丈夫です。必ずそうとは言えないでしょうが,そのような傾向があることは確かでしょう。
実際に,勝手に「承認」したときは,関係者に何か言われることを恐れて,黙っている場合もある。または,何かの拍子で連絡を忘れてしまうことはある。
一方で,外から「請求」が来たときには,関係者に相談する,感覚的にしっくりきます。
はい,この辺りは字面をみると分かりません。イメージ力がものをいう世界です。
あと債権者の目線でも,「承認」と「請求」で若干の違いがありますよ。
いいですね。具体的にすることで,微妙な違いにも気づけてます。やはり,考えることが大事ですね。
はい,こんな感じで状況が分かれば,法は道理にしたがっているはずなので「承認」と「請求」の効力は迷いまぜん。ぜひ,参考にしてみてください。では,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。