こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,司法試験29年2問(民法)肢「イ.BがAに対し当該売買契約について保佐人の追認を得ることを1か月の期間を定めて催告した場合において,Aがその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは,当該売買契約を取り消したものとみなされる。」を検討することになりました。
正解はでたのですが,しっかり利益状況を考えることが大事のようです。しっかり,考えていきましょう。
なお,被保佐人Aが保佐人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにBに対してA所有の甲土地を売り渡したことが前提となります。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速初めていきましょう。
条文も念のため,載せておきますね。
(制限行為能力者の相手方の催告権)
第20条
1.制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の相手方は、その制限行為能力者が行為能力者(行為能力の制限を受けない者をいう。以下同じ。)となった後、その者に対し、一箇月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
2.制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について前項に規定する催告をした場合において、これらの者が同項の期間内に確答を発しないときも、同項後段と同様とする。
3.(略)
4.制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は第17条第1項の審判を受けた被補助人に対しては、第1項の期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
結局,本件における利益状況を考えましたか。
そうですか,聞かせてもらえますか。
その指摘は,良い指摘です。どうして,そう思われましたか。
確かに,保佐開始の審判を受ける者は,精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者が予定されていますからね(11条)。
(保佐開始の審判)
第11条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。
そうですね。相手方は,利益を得たいのであれば,直接,保佐人に催告をすれば(20条1項,2項)良かったわけです。
それをあえて,制限行為能力者である被保佐人に催告してしまっている。
その通りです。この利益状況を踏まえると,相手方より,被保佐人を保護した方が良さそうですね。
そうことです。しっかり,バランスがとれてます。この利益状況さえ見えれば,自信をもって解答できますね。
はい,ぜひ,押えてましょう。また,細かいようですが,催告に対する通知は,発信主義(20条)が取られてます。
そうですね。この点については,制限行為能力者側に熟慮期間をしっかり確保すると考えれば大丈夫です。
その通りです。この機会に押えておきましょう。
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。