こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
今日からは,予備試験29年15問(民法)を実践的に検討していきます。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,早速やっていきましょう。問題文を載せておきます。
契約の第三者に対する効力に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- ア.建物建築工事請負契約において,注文者と請負人との間に,契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に,当該契約が中途で解除されたときは,その請負人が下請負人に当該工事を請け負わせ,下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても,当該出来形部分の所有権は注文者に帰属する。
- イ.債務者と引受人との間の契約でする併存的債務引受は,債権者が引受けによる利益を享受する意思を表示しなくても,その効力が生ずる。
- ウ.委任による代理人が適法に復代理人を選任した場合において,その復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭その他の物を受領したときは,復代理人は,本人に対して受領物を引き渡す義務を負う。
- エ.受寄者が寄託された宝石を適法に第三者に保管させたときは,その第三者は寄託者に対して,保管費用の償還を請求することができる。
- オ.賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は賃貸人に対して,賃借物の修繕を請求することができる。
1.ア イ 2.ア ウ 3.イ オ 4.ウ エ 5.エ オ
まず,肢「ア.建物建築工事請負契約において,注文者と請負人との間に,契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に,当該契約が中途で解除されたときは,その請負人が下請負人に当該工事を請け負わせ,下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても,当該出来形部分の所有権は注文者に帰属する。」は,どうでしょう。
なるほど,その指摘は良い指摘です。「ア」をいきなり飛ばすのは,これまでそんなにやってませんね。
はい,最初に嫌な肢が来たらすぐ飛ばすようにしましょう。
では,「イ.債務者と引受人との間の契約でする併存的債務引受は,債権者が引受けによる利益を享受する意思を表示しなくても,その効力が生ずる。」はどうでしょう。
なるほど,どうしてですか。
そうですね。本件は,第三者のための契約(537条)として当事者間で有効に成立してますからね。
確かに,ただテーマを見ると,「契約の第三者に対する効力に関する」とあります。したがって,債権者(第三者)に対する効力の問題なんでしょう。でも,一応,保留しますか。
次,「ウ.委任による代理人が適法に復代理人を選任した場合において,その復代理人が委任事務を処理するに当たり金銭その他の物を受領したときは,復代理人は,本人に対して受領物を引き渡す義務を負う。」はどうでしょう。
そうですね。直接,義務を復代理人に負わせないと手続的にも迂遠です。
ここは,正しいと判断しやすいです。
詳細を復習したい方はこちら
予備試験29年15問肢ウ 第7回
いいですね。次は,「オ」ですか。
では,「オ.賃借人が適法に賃借物を転貸したときは,転借人は賃貸人に対して,賃借物の修繕を請求することができる。」はどうでしょう。
そうですね。以前,しっかり意味を確認しました。
詳細を復習したい方はこちら。
予備試験29年15問肢オ 第9回 第10回 第11回
その通りですね。これで,どこが切れますか。
はい,実践編では,いろいろ考え方をやってますが,背理消去法は,絶対押さえろと力強く主張したいです。
これで,「ア」を検討する必要はなくなりました。
では,最後「エ.受寄者が寄託された宝石を適法に第三者に保管させたときは,その第三者は寄託者に対して,保管費用の償還を請求することができる。」は,どうでしょう。
はい,「ウ」と同じ問題意識ですね。ここは,比較的容易に正誤の判断ができるように思います。
詳細を復習したい方はこちら。
予備試験29年15問肢エ 第8回
そうですね,無事回答がでました。このように分からない所は,後回しにして固い肢から切っていくのが吉です。
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日,お楽しみに。
検討していない肢の正解はこちら