予備試験29年15問(民法)肢アを検討する 第4回 請負契約の特約が及ぶ範囲 その3

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年15問(民法)肢「ア.建物建築工事請負契約において,注文者と請負人との間に,契約が中途で解除された際の出来形部分の所有権は注文者に帰属する旨の約定がある場合に,当該契約が中途で解除されたときは,その請負人が下請負人に当該工事を請け負わせ,下請負人が自ら材料を提供して出来形部分を築造したとしても,当該出来形部分の所有権は注文者に帰属する。」を検討することになりました。

花子さんは,判例を見て納得して来たようですが,それよりも利益状況を踏まえた方が現実的のようです。
結論を押さえるにしても,なぜかを考えることが大事だとスク東先生に指摘されて再び考えるのでした。

では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。本肢について,利益状況を考えてこられましたか。

考えている

一応,考えてきました。

そうですか。では,聞かせてもらえますか。

東花子さん

結局,元請契約を基礎として,請負人は下請負人と下請契約を行ってます。

いいですね,続けてください。

考えている

そして,注文者は,請負人の行動を拘束できません。

そうですね。注文者は,仕事の完成さえしてくれれば良いので,細かな進め方は請負人に任してます。
もし,自分が建物を建てる場合でも,仕入れや材料などは,通常わからないので建築業者(請負人)にお任せです。ということは,ここは考えれば分かるので覚えなくても大丈夫です。

東花子さん

はい,その状況で下請が元請と別だと主張できると,容易に請負人が元請特約の特約を反故できてしまいます。

その通りです。請負人が注文者から独立して活動できるのも,仕事の完成のため,ひいては注文者のためです。
したがって,請負人が,独立の立場を逆用して活動することは認められません。

東花子さん

そう思います。そう考えると,ここで一番悪いのは下請負人に十分な説明をしなかった請負人です。

いいですね。確かに,請負人から見ると,特約を下請人に伝えると,費用面で不利益に働きます。気持ちは分かりますが,注文者の利益のために活動しないとダメですね。
判例の事実の概要を見ても,下請契約の内容に出来形の所有権の帰属が明記されていない点が,やはり問題なのでしょう。

考えている

やはり,イメージがとても大事です。

そうすると,請負人が悪いのに,その不始末を全て注文者が被るというのは,おかしくありませんか。

東花子さん

その通りです。

これで利益状況がはっきりしました。その上で,昨日確認してもらった判旨(最判平5.10.19)を見るとどうですか。

花子さん

なるほど,「下請負人は注文者の関係では,元請人のいわば履行補助者的立場に立つものにすぎず,・・・工事に関して元請負人と異なる権利関係を主張しうる立場にない」といってます。

その通り!まさに,今の利益状況に沿った判断をしているじゃないですか。何が言いたいかわかりますでしょうか。

考えている

事実(利益状況)を踏まえた上で,結論(判例)があるということでしょうか。

そうです。そこを踏まえないと,結局,直ぐに忘れてしまいます。イメージを大事に勉強しましょう。
では,今日はここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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