こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年14問(民法)肢3を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第14問【司法試験29年第35問】(民法)肢「3.特別受益に当たる贈与について,贈与者である被相続人がその財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示(持戻し免除の意思表示)をした場合であっても,その贈与の価額は遺留分算定の基礎となる財産の価額に算入される。」を検討していきましょう。
この肢は,正しいですか,間違ってますか。
なんででしょう。
なるほど,それだと。
その通りです。しかも,この肢が正解ですので,具体的に考える必要がありそうです。
そうですね。簡単に解答を出すのであれば,大枠を考えてみましょう。
本件では,被相続人が相続財産に算入することを要しない旨の意思表示をしてます。このような自由は,被相続人にあるのでしょうかね。
いいですね。どうして,そう思いましたか。
なるほど,実際に相続財産には相続税なども課されますからね。
なので,被相続人が勝手にコントロールできると公益上の問題がありそうです。
いいですね。ザックリですが現実的です。
現場の筋としては,それで十分ですが・・・。
まあ,理解を深めるのであれば,そういうことになります。
ということで,関連条文を確認します。
(特別受益者の相続分)
民法第903条
1. 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3. 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
民法第1031条
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
さあ,この条文を見てどうでしょうか。
そうですね。そこで,本件の場合,相続財産の算定の問題なので,遺留分の規定に違反しないとも考えられそうです。
いいですね。なので,この場合も「遺留分に関する規定に違反」すると考えられます。
したがって,被相続人の表示は無効になり,本件の財産は算入されるので,肢は正しいとなります。
そうですね。いろいろ考えて見ましたが,このくらいで大丈夫でしょう。では,今日はここまでとします。この続きは,また明日,お楽しみに。