こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年14問(民法)肢「2.自己を被保険者とする生命保険契約の契約者が,死亡の半年前に死亡保険金の受取人を相続人の一人に変更した場合,遺留分権利者は,その変更行為の減殺を請求することができる。」を検討することになりました。
どうやら,形式的には減殺請求できないと読むのが素直ですが,実質的に見ると相続人間で公平性を欠く結果になります。
そこで,遺留分減殺請求権を認めるべきとも思えるのですが,判例は認めてないです。
具体的イメージを膨らまして利益状況を考えてみましょう。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,昨日の続きを始めていきましょう。条文も載せておきます。
(遺留分の算定)
民法第1030条
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。
(遺贈又は贈与の減殺請求)
民法第1031条
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
結論を踏まえて,本件の場合の状況を整理されましたか。
そうですか,少し聞かせてください。
なるほど,それは良い説明です。相続の問題は社会で必ず起こる問題です。
明文以外のパターンを簡単に認めるのは,混乱を招きます。
いいですね。その大枠は大事です。その意識を持つと,正誤の判断もつきやすいように思います。
そうですね。また,本肢は,財産上の利益を誰に与えるかの問題です。
別に損害や人権が害されているわけではなさそうです。
そういった面でも,法的安定性を意識した判断が合理的でしょう。
もちろん,財産を得れらない方は,公平性を欠くので納得できないかもしれません。
ただ,これは,立法府がどの制度を選択するかという問題に思えます。
その辺をイメージして,判旨を見ると,既存の制度に沿うように判断をしていることが伺えます。
そうですね。利益状況を押さえた後は,どのように結論を導いているか確認しましょう。
背景に意識を向けられると他の問題にも応用が利きそうです。
いいですね。ぜひ,そうしてください。過去問を正誤の判断のみに終わらせるのは,もったいないです,気を付けましょう。
では,今日も時間となりましたので,終わりにします。この続きは,また明日お楽しみに。