予備試験29年10問(民法)肢アを検討する 第4回 解除の原状回復請求権の消滅時効 (大判大7.4.13) その3

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年10問(民法)肢「ア.債務不履行を理由に売買契約が解除された場合において,その債務不履行の時から10年を経過したときは,解除による原状回復請求権の消滅時効が完成する。」を検討することになりました。
原状回復請求権に関して,条文を素直に読めば,解除時から進行するはずです。
ただ,実質的に債権関係が長く残ってしまうので,債務不履行時から起算させた方が良いという考えもあるようです。
結局,判例は,素直に解除時から進行するとしてますが,なぜ,そう考えたのでしょう。
具体的に利益考量することが大事とスク東先生が指摘したのですが,花子さんは,考えられたでしょうか。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,やっていきましょう。条文を載せておきますね。

(消滅時効の進行等)
民法第166条
1.消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
2.(略)

(解除の効果)
民法第545条
1.当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2.(略)
3.(略)

結局,判例の結論が,どうしてか自分なりに考えて見ましたか。

東花子さん

うーん,良くわからなかったです。

なるほど,少し難しかったかもしれません。では,質問しますので考えて見ましょう。こういう時は,原状回復請求権の時効の起算点を債務不履行時とする際の問題点を指摘したいです。どう思いますか。

東花子さん

結局,解除権を早く行使した者と遅く行使した者を区別することが問題だと思いました。

なるほど,確かに,解除権の行使が早いと原状回復請求権が行使できる期間は長くなります。
逆の場合だと,原状回復請求権は,すぐに消滅しますね。

考えている

はい,そう思います。

では,なぜ,そこが問題だと思いましたか。

東花子さん

あれ,急に分からなくなりました。

なるほど,そうですか。結局,債務不履行になった後,債権者は,直ぐに解除権を行使しなければいけないのかという問題に行きつくのではありませんか。

東花子さん

確かに,債務不履行後に債権者が解除権をいつ行使するかは,本来,自由なはずです。

その視点は大事です。債務不履行時を原状回復請求権の起算点とすると,事実上,債権者は解除権を早く行使しないと十分な保護が受けられないことになります。

東花子さん

債務者が,債務不履行で原因を作っているのに,早く解除しない債権者が悪いされるのは,何かおかしいですね。

はい,債権者は,解除の手続を取らずに様子を見る場合もあります。

考えている

そうですね,履行の強制(414条),損害賠償(415条)を考慮することもあり得るわけですし。

その通りです。解除は,取引の安全に対する影響も大きいわけですから,できる限り他の手段で権利を実現できないかという債権者の判断も十分にありえます。

東花子さん

はい,そのような場合,解除権の行使が遅くなった者を当然に制裁する判断は問題だと思います。

まあ,それで概ね大丈夫でしょう。なので,素直に条文通りと理解すれば良いと思います。
もっとも,あまりにも,債権者の解除権行使が遅いと,債務者の不利益が大きくなり問題となることもありそうです。
ここは,どう考えましょう。

東花子さん

うーん,別の視点で調整するのでしょうか。

そうですね。解除権の行使そのものが問題だとして,一般原則(1条2項,3項)により一定程度,債務者保護を図る。
また,547条なども利用して解除権そのものを消滅させるのでしょう。

東花子さん

なるほど。原状回復請求権の時効の起算点というより,そもそも,解除ができるか否かで債務者の不利益を考慮していくのですね。

時効の起算点は,法的安定性も考慮する必要があります。本件の場合,一般に解除時と形式的に判断しておいて個別具体的な事情は,別途調整すればバランスがとれるのでしょう。

花子さん

なるほど,良くわかりました。

はい,こんなところで,とりあえず大丈夫でしょう。結局,利益衡量をやってみることが大事です。
東さんも,今のやり取りを覚えるのではなく,自分なりにイメージして考えることを意識してください。
それでは,今日は,これで終わりにします。この続きはまた明日,お楽しみに。



あなたの,1票が日々の力となります。ぜひ,お役立ていただいた際には,クリックにて応援のほど,よろしくお願いします。

広告
カテゴリー: 債権総論, 平成29年, 平成29年, 民法, 民法・商法・民事訴訟法 パーマリンク

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中