こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年9問(民法)肢「イ.債権者Aの債務者Bに対する甲債権がAの債権者Cに差し押さえられても,差押え前からBがAに対する乙債権を有していた場合,Bは,甲債権と乙債権の弁済期の先後を問わず,相殺適状にあれば,相殺をすることができる。」を検討することになりました。問題は,甲債権より乙債権の弁済期が後の時に起こるようです。具体的には,一般に相殺が予定されていない場合にまで,債権者の期待を保護するべきかという問題です。
判例は,弁済期の先後は問うていないのですが,問題があるのに,なぜ無制限に相殺認めるのという話なったのでした。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。結局,あれから,考えてきましたか。
そうですか。では,早速行きましょう。条文も載せておきますね。
(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
民法第511条
支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。
結局,弁済期の先後を考慮しない理由は,わかりましたか。
いいですね。511条は,「後に取得した債権」について差押債権者に対抗することができないとのみあります。
条文にない理由で,相殺を禁止されると債権者(本件B)にとって不意打ちになります。
ただ,実質的な理由も考えたいです。解釈で,明文にない要件を認めることもありますからね。
それでは,なぜ511条は,「その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない」としているのでしょう。
いいですね。したがって,第三債務者が債務者に差止め後に債権を取得しても,相殺できる期待が生じません。
反対債権の管理処分権が,もともと債務者にありませんからね。
一方で,弁済期の先後についてはいかがでしょう。甲債権より乙債権の弁済期が遅い場合,本件Bは,全く相殺の期待は生じないのでしょうか。
そうですね。最悪,相殺で回収できるという期待をもって,当事者は取引を行っているということも考えれます。
まあ,この期待も合理的として,511条の文理を尊重する解釈をしたのでしょう。
はい,ぜひ,イメージを活用して勉強しましょう。では,今日はここまでとします。この続きはまた明日,お楽しみに。