こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年9問(民法)肢「イ.債権者Aの債務者Bに対する甲債権がAの債権者Cに差し押さえられても,差押え前からBがAに対する乙債権を有していた場合,Bは,甲債権と乙債権の弁済期の先後を問わず,相殺適状にあれば,相殺をすることができる。」を検討することになりました。結論は,正しいことは分かったのですが,問題の所在を花子さんは,答えられませんでした。どうやら,「甲債権と乙債権の弁済期の先後を問わず」がポイントらしいのですが,しっかり考えることができましたしょうか。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。早速,行きましょう。昨日の質問ですが,考えてこられましたか。
では,やっていきましょう。条文も,忘れないように載せておきますね。
(支払の差止めを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
民法第511条
支払の差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。
結局,どういった時に問題がありそうですか。
いいですね。なぜ,そうなりますか。
そうですか。では,乙債権の弁済期が甲債権よりも遅い場合,通常,Bからは相殺がされますか。
いいですね。まあ,自働債権の弁済期が到来してれば,一般に相殺できます。結局,受働債権の期限の利益は,通常,債務者のためにありますね(136条1項)。
その通りです。では,自働債権(本件,乙債権)の弁済期が,受働債権(本件,甲債権)よりも遅い場合に,相殺がなされるのは,なにが前提でしょう。
いいですね,その場合に,初めて双方の債権が弁済期に到来しますからね。ということは,どういう問題が生じますか。
その通りです。法的に保護すべき期待が債権者(本件であればB)にないようにも思えますからね。これで,問題の所在がでました。
いいですね。問題の所在を押さえないと,その疑問は生じません。議論が深まってきましたが,どうでしょう。
そうですね,考えてもらいましょう。では,今日は,ここまでします。この続きはまた明日お楽しみに。