予備試験29年7問(民法)肢エを検討する 第6回 賃貸借契約解除後の転貸借関係

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年7問(民法)肢エを検討することになりました。では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。早速,予備試験29年第7問(民法)肢「エ.AがBに建物を賃貸し,BがAの承諾を得てCに同建物を転貸した場合において,AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由とする解除により終了したときは,AがCに建物の返還を請求しても,Aが転貸借を承諾していた以上,BC間の転貸借契約におけるBのCに対する債務は履行不能とはならない。」を検討していきましょう。

この肢は,正しいですか,間違ってますか。

東花子さん

間違ってますね。

そうですね。どうしてでしょう。

考えている

判例があるようです(最判平9.2.25)。

なるほど,それだと,ただ結論を知っているだけで,忘れたら即アウトですね。

考えている

はい,そう思います。

なので,しっかり意味づけをしていきましょう。

東花子さん

よろしくお願いします。

まず,本件のように,AB間の賃貸借契約が債務履行により解除された場合,BCの転貸借契約はどうなりますか。

東花子さん

当然に終了すると思いました。解除により,転貸できなくなるので・・・。

なるほど,確かに,解除されると存立基盤が失われますからね。ただ,契約関係は,相対効です。賃貸借契約と転貸借契約はあくまでも,別契約です。

東花子さん

確かにそうです。ということは,当然には終了しないと考えべきですね。

いろいろな考え方があるようですが,それで大丈夫でしょう。他人物賃貸借も債権的に有効です。これらも踏まえると,当事者間では契約関係が終了しないこともイメージできるでしょう。

東花子さん

わかりました。

それでは,いつBのCに対する債務が履行不能になるのでしょう。

東花子さん

それは,AがCに建物の返還を請求をしたときだと思いました。

その通りですね。どうしてでしょうか。

考えている

うーん,問いの答えから考えてなんとなくそう思いました。

なるほど,それだと暗記的になります。では,一緒にそこを考えていきましょう。
まず,契約終了後,BはCのために転貸人としての義務を履行できそうですか。

東花子さん

なるほど,一度契約が終了した後でも,再度AB間で賃貸借契約を結ぶことはあり得ると思います。

そうですね。AもBとの契約解除後,新たな賃借人を探すのが面倒な時に,Bが反省して賃料を払ってくれれば再度契約することはありえます。

東花子さん

そう考えると転貸借契約が直ちに終わらないこともうなづけます。まだ,Bが転貸人の義務を履行する可能性もあるので・・・。

はい,そしてAB間で再契約さえ結べれば,かつてAはBに転貸の承諾していたのだから,Bは転貸人としての義務を果たすことができそうです。

東花子さん

そう思います。

しかし,ここまで踏まえて,AがCに対して建物を返還請求した際はどうでしょう。

考えている

その場合は,AはBとの契約をしない可能性が極めて高いですね。もちろん,AB間の再契約も0ではないでしょうが。

そうですね。0ではないので,履行「不能」ではないといいたいのでしょうが,AはCに返還請求を行っている時点で,転貸借を前提としたBとは,再契約をしないという意思が外形上あらわれていると見れそうです。
したがって,この時点で,BのCへの債務が社会通念上履行不能となります。

東花子さん

良くわかりました。契約解除後でも再契約の可能性も一応あるというのが,面白いなと思いました。

はい,ここは本当にイメージをしないとわからないと思いますので,ぜひ意識してみましょう。それでは,今日は,ここまでとします。この続きは,また明日お楽しみに。



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