こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年6問(民法)肢「イ.Cが甲土地をDに賃貸し,さらにDが甲土地をEに転貸したときは,DをCと同視することを相当とする場合を除き,Aは,Dが取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。」を検討することになりました。なお,事実関係は,AのBに対する債権を被担保債権として,C所有の甲土地について抵当権(以下「本件抵当権」という。)が設定され,その旨の登記がされている場合であるを検討していきました。
304条の「債務者」に抵当不動産の賃借人も含めることもできるようなのですが,その結論は問題があるようです。
では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。続きから行きましょうか。
結局,抵当権者が,転貸賃料債権に物上代位を認めるのは,なぜまずいのでしょうか。確認のために条文も載せておきますね。
(留置権等の規定の準用)
民法第372条
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。
(物上代位)
民法第304条
1.先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2.債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。
なるほど,転貸によって,転貸人には利益を得ている場合がありますね。高く借りて,安く貸していたら赤字なってしまうので・・・。
その際に,不動産の交換価値であるとして転貸賃料にも,抵当権者が物上代位できると,転貸人が害されます。
いいですね。転貸賃料債権は,当然に不動産の交換価値とはいえなさそうです。したがって,抵当権者に物上代位を認めないとする必要がありそうです。あとは,304条の条文をどう説明するかですね。
はい,この点について判例は,304条の「債務者」を物的責任を負うものとしてます。
抵当不動産の賃借人は,被担保債権の弁済について責任を負うべき立場ではない。
したがって,304条の「債務者」には含まれないとなります。
そうですね。なかなか検討しない問題でしたが,条文を見ながら勉強すると理解が深まります。
条文を踏まえて,勉強しましょう。では,今日はこれで終わりにします。この続きはまた明日,お楽しみに。