予備試験29年6問(民法)肢イを検討する 第4回 転貸賃料に物上代位ができるか(最判平12.4.14) その2

こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから

<前回までのあらすじ>
花子さんは,予備試験29年6問(民法)肢「イ.Cが甲土地をDに賃貸し,さらにDが甲土地をEに転貸したときは,DをCと同視することを相当とする場合を除き,Aは,Dが取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。」を検討することになりました。なお,事実関係は,AのBに対する債権を被担保債権として,C所有の甲土地について抵当権(以下「本件抵当権」という。)が設定され,その旨の登記がされている場合であるを検討していきました。
304条の「債務者」に抵当不動産の賃借人も含めることもできるようなのですが,その結論は問題があるようです。
では,はじまり,はじまり。

東花子さん

スク東先生,こんにちは。

こんにちは,東さん。続きから行きましょうか。

東花子さん

はい,よろしくお願いします。

結局,抵当権者が,転貸賃料債権に物上代位を認めるのは,なぜまずいのでしょうか。確認のために条文も載せておきますね。

(留置権等の規定の準用)
民法第372条
第296条、第304条及び第351条の規定は、抵当権について準用する。

(物上代位)
民法第304条
1.先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
2.債務者が先取特権の目的物につき設定した物権の対価についても、前項と同様とする。

東花子さん

そうですね。もちろん,抵当権者も保護する必要はあるのでしょうが,転貸賃料は,転貸人の才覚よるものも含まれていると思いました。

なるほど,転貸によって,転貸人には利益を得ている場合がありますね。高く借りて,安く貸していたら赤字なってしまうので・・・。

東花子さん

まあ,そうですね。

その際に,不動産の交換価値であるとして転貸賃料にも,抵当権者が物上代位できると,転貸人が害されます。

考えている

転貸人からは,賃貸人の事情はコントロールできないので,なおさらです。

いいですね。転貸賃料債権は,当然に不動産の交換価値とはいえなさそうです。したがって,抵当権者に物上代位を認めないとする必要がありそうです。あとは,304条の条文をどう説明するかですね。

東花子さん

うーん,どうでしょう。

はい,この点について判例は,304条の「債務者」を物的責任を負うものとしてます。
抵当不動産の賃借人は,被担保債権の弁済について責任を負うべき立場ではない。
したがって,304条の「債務者」には含まれないとなります。

東花子さん

なるほど,304条「債務者」に当たらないので転貸賃料には,抵当権者は,物上代位できないのですね。良くわかりました。

そうですね。なかなか検討しない問題でしたが,条文を見ながら勉強すると理解が深まります。
条文を踏まえて,勉強しましょう。では,今日はこれで終わりにします。この続きはまた明日,お楽しみに。



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