こんにちは,スク東ブログへようこそ。まずは,前回までのあらすじから
<前回までのあらすじ>
今日からは,予備試験27年9問(民法)【司法試験27年17問】を実践的に検討しました。その際,正解は出たのですが,肢エが確定しなかった際に,肢オと利益衡量する方法を検討することになりました。では,はじまり,はじまり。
こんにちは,東さん。では,早速,昨日の続きを始めて行きましょう。
では,問題はこちらです。
AがBに対して融資をしていたところ,Bがその所有する建物をBの妻Cに贈与し,その旨の所有権移転登記手続をしたことから,Aが詐害行為取消訴訟を提起した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
- ア.Aは,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるほか,CからAへの所有権移転登記手続を請求することもできる。
- イ.Aは,BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することなく,BC間の贈与契約の取消しを請求することができる。
- ウ.Aは,詐害行為の取消しを請求するに際しては,B及びCの両方を被告として訴えを提起しなければならない。
- エ.Aは,BC間の贈与契約が債権者であるAを害すること及びそのことをB及びCが知っていたことを主張・立証しなければならない。
- オ.Aは,BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り,詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは,Cが主張・立証しなければならない。
1.ア ウ 2.ア エ 3.イ エ 4.イ オ 5.ウ オ
肢「オ.Aは,BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り,詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは,Cが主張・立証しなければならない。」は,正しいですか,間違ってますか。
なるほど,あまり考えないでしょうからね。
まあ,どちらか一方を判断する必要があります。肢エ,肢オの共通点は何でしょうか。
いいですね。結局,最終的にそこの判断を聞いてます。どういう基準で,主張立証すべき地位を判断するのでしょうか。
そうだと思います。ただ,共通する方向性を押えたいですね。いわゆる,権利の発生,変更,消滅などで利益を受ける者が主張・立証すべきだという考えです。
そして,利益を受ける者を考える際には,主張・立証がない時点で,どういうことが推定されるかをイメージすることが大事です。
そうですよね。なので,具体的に考えてみましょう。
肢「オ.Aは,BC間の贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば足り,詐害行為取消訴訟の口頭弁論終結時までにBの資力が回復したことは,Cが主張・立証しなければならない。」ですが,贈与契約の当時Bが無資力であったことを主張・立証すれば,どういったことが推定されますか。
いいですね。詐害行為をわざわざ請求するくらいなので,高額な場合を想定しましょう。そうすると,すぐに,資力が回復しないことがわかります。
この辺りが感覚的にわかると良いでしょうね。
そうですね,利益状況をイメージできれば,主張立証責任の分配も自然と導けるようになってます。逆に,間違えた時は,どこに気付かなかったのかを考えることが大事ですね。
そこに関しては,BC間の贈与契約が債権者であるAを害すること(Bの詐害行為)を,Aが主張立証すれば,「Cは(Bの詐害行為)を知っていた」と推定されることを説明したいですね。
確かにそうかもしれません。Aが,Bの詐害行為の主張立証に成功すると,外形上,詐害行為があることになります。こう考えるとどうでしょう。
そうですね。そこが,わかれば正解を導けます。できれば,簡単な肢で勝負したいですね。感覚はいろいろでしょうが,肢オの方が比較的判断しやすいかもしれません。大事なことは,筋を立てて判断することが重要だと思います。
では,今日は,これで終わります。この続きは,また明日,お楽しみに。
なお,以前,検討した内容を復習したい方はこちらをご確認ください。